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社労士に依頼するメリットと注意点!費用相場も解説

「従業員を雇ったけれど、どんな手続きが必要なのか分からない」「社会保険の書類づくりに時間を取られて本業に集中できない」と悩む経営者の方は少なくありません。

社会保険労務士(社労士)に依頼できるのは、社会保険・労働保険の手続きの代行、労務管理の相談、就業規則の作成、給与計算、雇用関係の助成金の申請などです。手続きは会社自身でも行えますが、社労士に任せることで、手続きにかかる時間や誤りへの不安を減らせます。一方で費用が発生するほか、資料の準備や最終的な判断は会社が行うことになります。

依頼の方法には、毎月定額で相談と手続きを任せる顧問契約と、必要な手続きだけを1件ごとに頼むスポット依頼があります。この記事では、社労士に依頼するメリットとデメリット・注意点、依頼できること、顧問とスポットの違い、依頼するタイミング、費用相場、選び方と依頼の流れを解説します。

この記事を監修した人

生島社労士事務所代表

生島 亮

いくしま りょう

https://sharoushi-cloud.com/

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社労士に依頼する5つの大きなメリット

社労士に依頼すると、手続きの手間や間違いを減らせるだけでなく、法改正への対応や労務トラブル、助成金の活用について専門家の支援を受けられます。人事労務の担当者を置けない中小企業ほど、その効果は大きくなります。

煩雑な手続き業務から解放され、本業に集中できる

従業員の入社や退社にともなう社会保険・雇用保険の手続きや、毎年の労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届など、会社には提出期限の定められた手続きが継続して発生します。

これらを社労士に任せれば、書類の作成や役所への提出に充てていた時間を、営業やサービスの開発といった本業に回せます。担当者を新しく雇うより、コストを抑えられることもあります。

頻繁な法改正や複雑な手続きにも対応し、コンプライアンスリスクを回避できる

労働・社会保険の法律は、育児・介護休業法や社会保険の適用拡大などで毎年のように改正されます。社労士は改正の内容を正確に把握し、手続きや就業規則の見直しに反映します。

届出の漏れや遅れがあると、保険料をさかのぼって納めることになったり、従業員の給付が遅れたりすることがあります。専門家が手続きを担うことで、こうした事態を防ぎやすくなります。

専門知識に基づき、労使トラブルを未然に防止・解決する

未払い残業代やハラスメント、解雇をめぐるトラブルは、一度起きると解決に時間と費用がかかります。社労士は、就業規則や雇用契約書の整備、労働時間の管理方法について助言し、トラブルの発生を未然に防ぎます。

トラブルが起きたときも、法律に沿った対応を助言します。なお、あっせんや調停などの手続きで会社の代理人になれるのは、研修と試験を経て付記を受けた特定社会保険労務士に限られます(社会保険労務士法2条2項)。

助成金の活用をサポートし、経営基盤を強化する

雇用に関する助成金(厚生労働省の雇用関係助成金)は種類が多く、要件や申請の書類も細かく決まっています。社労士に依頼すれば、自社が使える助成金の要件の確認から、申請書類の作成・提出までを任せられます。

たとえば、有期雇用の従業員を正社員に転換したときのキャリアアップ助成金では、転換の制度を就業規則などに定めてから実施する必要があります。要件は助成金ごと・年度ごとに変わるため、取り組む前に相談しておくと、要件を満たさないまま進めてしまうことを防げます。

客観的・専門的なアドバイスで、より良い組織づくりに貢献する

賃金制度や評価制度、採用や人材の定着など、「人」に関する悩みも相談できます。社外の専門家の視点から、自社のルールが法律や一般的な水準に合っているかを確認できます。

社労士に依頼できること

社労士に依頼できる主な業務は、次のとおりです。手続きの代行だけでなく、日々の労務相談や、就業規則の作成・見直し、給与計算なども任せられます。

業務主な例
社会保険・労働保険の書類の作成と提出の代行従業員の入社・退社の手続き
労働保険の年度更新
社会保険の算定基礎届・月額変更届・賞与支払届
会社が初めて加入するときの新規適用
労働者名簿・賃金台帳などの帳簿の作成労働基準法で作成が義務づけられた帳簿
労務相談(労務管理の相談・助言)労働時間・休日・賃金の決め方
ハラスメントや問題社員への対応
トラブルの予防
就業規則・社内規程の作成と見直し就業規則の新規作成・法改正に合わせた変更
賃金規程・育児介護休業規程
給与計算毎月の給与・賞与の計算
社会保険料・雇用保険料の控除
雇用関係の助成金の申請要件の確認
申請書類の作成・提出
個別の労働紛争の代理あっせん・調停などでの代理(特定社会保険労務士だけが行える)

相談できる内容をさらに詳しく知りたい方や、気づかないうちに法律違反になっている例を確かめたい方は、次の記事をご覧ください。

社労士(社会保険労務士)に相談・依頼できることは?場面別の相談例とタイミングを解説社労士(社会保険労務士)に相談・依頼できることは?場面別の相談例とタイミングを解説

社労士にしか頼めないことと、会社が自分でできること

社会保険・労働保険の手続きや帳簿の作成は、会社自身で行うことができます。社労士でなければならないのは、他人から頼まれて、報酬を得て、手続きの書類の作成や提出の代行、帳簿の作成を仕事として行う場合です(社会保険労務士法2条1項1号〜2号・27条)。これが、いわゆる社労士の独占業務です。

そのため、社労士の資格を持たない代行会社に、報酬を払って社会保険の手続きを任せることは、原則としてできません。ただし、税理士が税理士の業務に付随して行う場合など、法令で定められた例外があります(同法27条ただし書・同法施行令2条)。

一方、労務管理の相談・助言そのものは、社労士でなければできない業務ではありません(相談の内容によっては、弁護士法などほかの法律の制限を受けることがあります)。毎月の給与の金額を計算すること自体も同じです。ただし、賃金台帳の作成や保険の手続きまで含めて報酬を得て任せる場合は、前述した独占業務の規定が適用されます。なお、年末調整は税理士の業務のため、社労士は関われません。給与計算を社労士に依頼するときは、年末調整を税理士に頼むか自社で行うかも決めておきましょう。

社労士に依頼するデメリットと注意点

社労士に依頼するデメリットは、費用がかかる点です。また、すべてを任せきりにはできず、対応できる業務の範囲が事務所によって異なることにも注意が必要です。

費用がかかり、頼む業務が少ないと割高になることがある

顧問契約は、手続きが少ない月でも毎月定額の費用がかかります。スポット依頼は1件ごとの料金なので、手続きが多い会社では、合計すると顧問契約より高くなることもあります。

依頼する前に、1年間で発生しそうな手続きの件数を書き出し、顧問とスポットのどちらが自社に合っているかを比較・検討しておきましょう。

資料の準備と最終的な判断は会社がする

社労士に任せられるのは、書類の作成・提出と、専門家としての助言です。従業員の情報や賃金・勤怠の資料を用意するのは会社側であり、労働条件や処分の内容を最終的に判断するのも会社です。

資料の提出が遅れると、期限までに手続きができないこともあります。入社や退社が決まったら、早めに社労士へ連絡しましょう。

どこまで任せるかの業務範囲を明確にする

依頼の内容があいまいなまま契約すると、契約に含まれていない業務として追加の費用がかかることがあります。給与計算や就業規則の見直し、助成金の申請は、顧問料とは別料金にしている事務所も多くあります。

契約の前に、次の点を確認し、契約書や見積書に明記してもらいましょう。

  • 依頼したい業務(入退社の手続き、給与計算、就業規則など)
  • 書類の作成だけか、役所への提出まで任せるか
  • 相談できる範囲と、連絡の方法
  • 料金に含まれる業務と、別料金になる業務

顧問契約とスポット依頼の違い

社労士との契約には、毎月定額で相談と手続きを継続して任せる顧問契約と、必要な手続きだけを1件ごとに頼むスポット依頼(単発の依頼)があります。

顧問契約スポット依頼
向いている会社従業員の入社・退社が毎月のようにある
労務の相談を日ごろからしたい
法改正への対応を継続して任せたい
設立したばかりで従業員が少ない
年1回の手続きや、就業規則の作成など特定の業務だけを頼みたい
まず1件頼んでみたい
よい点いつでも相談できる
会社の状況を理解したうえで対応してもらえる
手続きが多い会社は割安になりやすい
毎月の固定費(顧問料)がかからない
必要なときに必要な分だけ頼める
気をつける点手続きが少ない月も費用がかかる継続的な助言は受けにくい
依頼のたびに見積もり・申込みの手間がある
費用体系月額(従業員数で変わる)業務ごとの料金

目安として、従業員の入社や退社が毎月発生する、相談したいことが月に何度もある、従業員が10人を超えて増えているといった会社には、顧問契約が向いています。入社・退社が年に数回で、年1回の手続きが中心なら、スポット依頼から始めると費用を抑えられます。

顧問契約の必要性や、従業員数ごとの顧問料の相場は、次の記事で詳しく解説しています。

社労士との顧問契約は必要?顧問料の相場や業務内容、メリット・デメリットを解説社労士との顧問契約は必要?顧問料の相場や業務内容、メリット・デメリットを解説

社労士に依頼すべきタイミング

社労士への依頼が適しているのは、手続きが一度に集中するときや、提出期限の短い手続き、年に1回の手続きを確実に済ませたいときです。

会社設立・初めて従業員を雇うとき

法人を設立すると、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入手続きが必要になります。初めて労働者を雇うときは、労働保険(労災保険・雇用保険)の加入手続きも必要です。

社会保険の新規適用届は適用事業所になった日から5日以内、労働保険の保険関係成立届は保険関係が成立した日の翌日から10日以内と、提出期限が短く定められています。創業期の多忙な時期にこれらを確実に済ませたいときは、社労士への依頼が向いています。手続きの流れは「会社設立時の社会保険の手続きや必要書類」で解説しています。

従業員の退職手続きに不安があるとき(離職票対応など)

従業員が退職すると、社会保険の資格喪失届や、雇用保険の資格喪失届を提出します。離職票の交付が必要な場合は、ハローワークに提出する離職証明書(離職票のもとになる書類)も作成します(59歳以上の人が離職するときは、本人の希望にかかわらず必要です)。離職票の交付が遅れたり記載に誤りがあったりすると、退職者の失業給付の手続きに影響します。

退職の手続きはスポットでも依頼できます。必要な手続きの一覧は「従業員の退職で会社側が行う退職手続き」をご覧ください。

従業員が増えて手続きが煩雑になったとき

従業員が増えると、入社・退社の手続きや給与計算の負担が増加し、届出の漏れも起きやすくなります。経営者や兼任の担当者だけでは手が回らなくなったときが、顧問契約を検討する目安となります。

また、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出る義務があります。義務の内容は「就業規則の作成は義務?作り方や違反時の罰則」で解説しています。

労働保険の年度更新と社会保険料の定時決定のとき

労働保険の年度更新(毎年6月1日〜7月10日)と、社会保険料を決め直す算定基礎届(毎年7月1日〜7月10日)は、年に1回、ほぼ同じ時期に行う業務です。年に1回しか行わないため手順を忘れやすく、計算の誤りも起きやすい手続きといえます。

この時期だけスポットで依頼する会社も多くあります。具体的な手続きの内容は「労働保険の年度更新とは」と「算定基礎届とは」で説明しています。

社労士に依頼する場合の費用相場

社労士に依頼する場合の費用相場は、業務の種類や従業員数によって異なります。主な業務ごとの依頼料の目安は、次のとおりです。

業務相場の目安
入社・退社の手続き(社会保険・雇用保険)1人あたり1万円前後
会社の新規加入(社会保険・労働保険の両方)5万〜10万円程度(従業員が数人の場合)
労働保険の年度更新・社会保険の算定基礎届それぞれ1万〜4万円程度(従業員10人未満の場合)
給与計算(毎月)従業員5人で月2.5万円前後
就業規則の作成本則の新規作成で16万〜25万円程度から
顧問契約(相談と手続き)従業員5人程度で月2万〜3万円程度
※社労士事務所の公開料金をもとにした目安です。手続きは顧問契約のない会社がスポットで依頼する場合、顧問契約は相談と手続きを含む月額で、給与計算は毎月の計算だけの金額です。従業員の人数や書類の数などで変わります。

新規加入の手続きでは、加入する人の資格取得届が人数分、別料金になることが多くあります。退職の手続きで離職票を作成する場合も別料金にしている事務所が多いため、事前に見積もりで確認しておきましょう。

給与計算の料金の決まり方と人数別の目安は「給与計算を社労士に依頼する場合の費用相場」、就業規則の作成費用は「就業規則の作成を社労士に依頼する場合の費用」で詳しく解説しています。

社労士の選び方

社労士を選ぶときは、料金の安さだけでなく、頼みたい業務に対応しているか、相談しやすいかを確かめましょう。次の5点が目安です。

確かめること見るところ
頼みたい業務に対応しているか給与計算・就業規則・助成金・スポットの依頼を受けていない事務所もある
自社の業種や規模に慣れているか同じ業種・同じくらいの人数の会社を担当した経験
料金と業務の範囲がはっきりしているか見積もりで、料金に含まれる業務と別料金の業務が分かれているか
連絡手段と対応の速さ電話・メール・チャットのどれで相談できるか。オンラインで全国から頼めるか
自社のシステムに合わせられるか使っている給与計算ソフトや勤怠管理のシステムで、データをやり取りできるか

社労士は、事務所のホームページや知人の紹介のほか、都道府県の社会保険労務士会から探すこともできます(全国社会保険労務士会連合会「各都道府県の社労士会を探す」)。気になる事務所には、依頼したい業務と従業員数を伝えて見積もりを取り、比較・検討しましょう。

社労士に依頼する流れ

社労士への依頼は、一般的に次の流れで進みます。スポット依頼なら1件ごとにこの流れを繰り返し、顧問契約なら契約締結後は継続して任せることになります。

  1. 依頼したい業務と期限を整理する
  2. 事務所に問い合わせ、見積もりを受け取る
  3. 業務の範囲と料金を確かめて、契約する(手続きの代行に委任状などが必要な場合もある)
  4. 従業員の情報や賃金などの資料を提出する
  5. 社労士が書類を作成・提出し、結果(届出の控えなど)を受け取る

社労士に依頼するときによくあるQ&A

社労士への依頼を考えている方から、よくいただく質問にお答えします。

会社に社労士は必要ですか?

会社に顧問の社労士を置く義務はありません。一方で、社会保険・労働保険の手続きを行う義務は会社にあるため、社労士に頼まない場合は、経営者や社内の担当者が自ら手続きを行うことになります。

手続きの件数や従業員数、担当者が割ける時間、誤りがあった場合の影響などを考慮して、自社で行うか社労士に任せるかを判断しましょう。

個人事業主も社労士に依頼できますか?

個人事業主も社労士に依頼できます。従業員を雇うと、原則として労災保険の手続きが必要になり、加入の条件を満たす人を雇えば雇用保険の手続きも必要です。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、法律で定められた業種の個人事業所で、常時5人以上の従業員を使用する場合に加入が必要です。2029年10月からは業種の限定がなくなる予定ですが、その時点ですでにある、今の適用業種以外の個人事業所は、当分の間対象外とされています(2026年10月時点の制度)。自社が該当するかどうかは、次の記事で確認できます。

個人事業主が従業員1人、5人以下を雇う場合の社会保険加入の条件は?手続きや注意点も解説個人事業主が従業員1人、5人以下を雇う場合の社会保険加入の条件は?手続きや注意点も解説

税理士と社労士の違いは?

税理士は税金の専門家、社労士は人事・労務と社会保険の専門家です。それぞれに、資格がないと報酬を得て行えない業務があります。

社労士税理士
専門分野人事・労務
(労働法、社会保険の法律)
税務・会計
(法人税法、所得税法など)
資格がないと報酬を得て行えない業務の例労働・社会保険の手続きの代行
労働者名簿・賃金台帳の作成
税務代理
税務書類の作成
税務相談
主な依頼内容社会保険の手続き
給与計算
就業規則の作成
助成金の申請
労務の相談
決算・申告
記帳の代行
年末調整
税務調査の対応
節税の相談

給与計算は、社労士にも税理士にも依頼できます。一方、年末調整は税理士の業務のため、社労士は関われません。給与計算を社労士に依頼する場合は、年末調整を顧問税理士に頼むか自社で行うかを決め、社労士と税理士の間で給与データをどのように受け渡すかも決めておきましょう。

自社の課題や業務内容に応じて、社労士への依頼を検討しよう

  • 社労士に依頼できるのは、社会保険・労働保険の手続き代行、労務管理の相談、就業規則の作成、給与計算、雇用関係の助成金の申請など
  • 手続きは会社自身でも行えるが、報酬を支払って代行を依頼できる相手は、原則として社労士
  • 顧問契約は毎月定額で相談と手続きを任せ、スポット依頼は必要な手続きだけを1件ごとに頼む形式
  • 相場は業務と人数で変わる。入社・退社の手続きは1人あたり1万円前後が目安
  • 料金と業務の範囲を見積もりで確認し、依頼したい業務に対応している社労士を選ぶ

手続きにかかる時間と間違いの危険を考えると、社労士に任せると安心です。迷ったときは、まず1件、スポットで依頼してみるのも一つの方法です。

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