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社会保険の資格取得届の書き方を記入例付きで社労士が解説!報酬月額や備考欄も

社会保険の資格取得届の書き方。記入例付きで解説

社会保険の資格取得届とは、従業員を健康保険・厚生年金保険に加入させるときに、事業主が提出する届出です。

正式名称は「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」といい、70歳以上の人の「厚生年金保険 70歳以上被用者該当届」と同じ用紙を使います。

資格取得届は、従業員1人ごとに、入社した日から5日以内に提出します。添付書類は原則として必要ありません。

欄の数は多くありませんが、取得年月日、マイナンバーか基礎年金番号か、報酬月額、備考欄の4つは、書き方に迷う人が多い欄です。

この記事では、日本年金機構の現行の様式(2026年11月時点)に沿って、①〜⑫の欄の書き方を、架空の会社が最初の従業員を雇った場面の記入例で解説します。あわせて、出す人・出さない人の見分け方、添付書類が必要になる場合、提出期限と提出先、記入誤りの多い例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を監修した人

生島社労士事務所代表

生島 亮

いくしま りょう

https://sharoushi-cloud.com/

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社会保険の資格取得届とは?

資格取得届は、従業員一人ひとりを社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入させるための届出です。会社を社会保険に加入させる「新規適用届」とは役割が違い、新規適用届は事業所の届出、資格取得届は人の届出です。

従業員を採用したら、その人が社会保険の加入条件を満たすかを判断し、満たす場合は資格取得届を出します。1枚の用紙に4人まで書けるので、同じ日に複数人が入社したときはまとめて提出できます。

正社員だけでなく、加入条件を満たすパート・アルバイトや、労務の対価として役員報酬を受け取る役員も対象です。年金を受け取っている人でも、加入条件を満たしていれば届出が必要です。

70歳以上の人を雇ったときも、同じ用紙を使います。過去に厚生年金保険に加入していた人などは、備考欄に○をつけて「70歳以上被用者該当届」としても届け出ます(くわしくは「⑩備考」の節で解説します)。

提出期限や添付書類など、手続き全体の流れは「社会保険の資格取得届」のページで解説しています。

なお、雇用保険の加入は、ハローワークに出す別の届出です。社会保険の資格取得届を出しても、雇用保険の手続きは済みません。雇用保険の手続きは、「雇用保険の資格取得届」のページで解説しています。

資格取得届の書き方・記入例と記入欄の早見表

資格取得届の記入欄は、一番上の提出者記入欄と、被保険者ごとの①〜⑫に分かれています。表の★印は、書き方に迷う人が多い欄です。書きたい欄が決まっている方は、表のリンクから該当する解説に進んでください。

記入欄主な記入内容迷いやすいポイント解説
提出者記入欄提出日、事業所整理記号・事業所番号、所在地・名称、事業主氏名、電話番号新規適用届と一緒に出すときは、まだ番号がない提出者記入欄の書き方
①〜⑤被保険者整理番号、氏名、生年月日、種別、取得区分①は書かない。④の種別は男性1・女性2①〜⑥の書き方
★⑥マイナンバーまたは基礎年金番号どちらかを必ず書く。基礎年金番号なら⑪住所も書く⑥の書き方
★⑦取得年月日入社日と初出勤日がずれるとき⑦の書き方
⑧被扶養者の有無「1.有」なら被扶養者(異動)届も出す⑧の書き方
★⑨報酬月額(通貨・現物・合計)通勤手当も入れる。現物がなくても「0」と合計を書く⑨の書き方
★⑩備考選択肢のどれにも当たらなければ○は不要。短時間労働者・70歳以上被用者・再雇用などは○⑩の書き方
⑪⑫住所、資格確認書の発行要否マイナンバーを書けば住所は不要⑪⑫の書き方
資格取得届の様式の全体図。提出者記入欄、①〜⑥、⑦〜⑫の3つのブロックに分けたもの

この記事では、次の会社が最初の従業員を雇った場面を例にします。社会保険の新規適用届の書き方で使った会社と同じ設定です。

項目この記事の例(架空の会社・従業員)
会社株式会社 みらいウェブ(Web制作、協会けんぽ)。社長1人の会社で、社長はすでに社会保険に加入済み
従業員社保 健太(シャホ ケンタ)さん。平成10年5月20日生まれの男性
入社日令和8年12月1日(正社員として雇用。初日から出勤)
給与月給。基本給250,000円、通勤手当10,000円。残業は見込んでいない
家族扶養に入れる家族はいない
マイナンバー本人確認のうえ、マイナンバーで届け出る

この表の内容は、書き方を示すために設定した架空のものです。実際の届書には、自社と従業員の情報を記入してください。

社会保険の資格取得届の記入例。株式会社みらいウェブが正社員1人を雇ったときに全部の欄を記入した見本

資格取得届を書く前に準備すること

資格取得届は、従業員から集める情報がそろっていれば、短い時間で書ける届書です。書き始めてから手が止まらないように、様式と、誰の分を出すかと、従業員から集める情報を先にそろえておきましょう。

様式(PDF・エクセル)と公式の記入例のダウンロード方法

資格取得届の様式は、日本年金機構のページ「2-1:従業員を採用したとき」からダウンロードできます。PDF版とエクセル版の届書、公式の記入例、届書の詳細説明が、同じページにまとめて掲載されています。

2026年10月に、備考欄に「6.特定減額特例対象者の任意取得」が加わった様式になっています。ネット上には古い様式の記入例も残っているので、備考欄の選択肢が1〜6まである最新の様式を使いましょう。

様式はA4で、1ページ目が記入欄、2ページ目が各欄の記入方法です。記入方法のページを手元に置いて見比べながら書くと、迷いにくくなります。

エクセル版は、入力してから印刷して提出できます。ただし、パソコンの設定によって印刷位置がずれる場合があると公式に注記されているので、印刷する前に余白やレイアウトを確認してください。

電子申請で出す場合は、様式のファイルは使わず、e-Govの画面などに入力します(くわしくは「提出期限・提出先・提出方法」の節で紹介します)。

資格取得届を出す人・出さない人(正社員・パート・役員・70歳以上・60歳以上の再雇用)

資格取得届を出すかどうかは、雇用の形ではなく、働き方と雇われる期間で決まります。主なケースは次のとおりです。

雇う人資格取得届書き方の注意
正社員出す試用期間中でも、初日から加入する
パート・アルバイト(契約で決めた1週の労働時間(所定労働時間)と1月の労働日数が、正社員の4分の3以上)出す正社員と同じ書き方
パート・アルバイト(4分の3未満)特定適用事業所などで、週20時間以上・2か月を超えて使う見込み・学生でない場合に出す備考の「3」に○
役員(労務の対価として報酬を受け取る人)出す役員報酬がなければ出さない。非常勤の役員などは働き方の実態で判断する
70歳以上の人75歳未満は出す(健康保険に加入するため)。75歳以上は、70歳以上被用者に当たる人だけ出す過去に厚生年金保険に加入していたなどの要件に当たれば、備考の「1」に○
60歳以上で、退職後すぐに再雇用した人資格をいったん失って取り直す取扱いをする場合に出す(資格喪失届と一緒に)備考の「4」に○。添付書類が必要
2か月以内の期間を定めて雇う人出さないその期間を超えて雇う見込みがあれば、最初から出す
日々雇い入れる人出さない1か月を超えて引き続き使用されるようになったら出す

従業員が10人以下の会社では、パート・アルバイトが加入するかは、ほとんどの場合「4分の3以上か」で決まります。

週20時間以上などで加入する「短時間労働者」の基準は、一定の人数以上の企業などの特定適用事業所や、労使で合意して申し出た任意特定適用事業所に当てはまるものだからです。

特定適用事業所の人数の基準は、2027年10月から段階的に引き下げられる予定なので、自社が当たるかは年金事務所に確認しておくと安心です。

なお、短時間労働者の加入の条件にあった賃金の額の要件は、2026年10月に撤廃されています。

役員の加入条件は、「会社役員の社会保険加入は義務?」で解説しています。

従業員から集める情報(マイナンバー・基礎年金番号・被扶養者にする家族など)

資格取得届を書くには、従業員から次の情報を集めます。入社の手続きで書類を受け取るときに、あわせて集めておくと、5日以内の期限に間に合わせやすくなります。

  • 氏名とフリガナ(住民票に登録されているもの)
  • 生年月日と性別
  • マイナンバー(本人確認をしたうえで)
  • マイナンバーがない人は、基礎年金番号と住民票の住所
  • 扶養に入れたい家族の有無
  • 雇用契約書や労働条件通知書(入社日・給与・所定労働時間の確認)

マイナンバーと基礎年金番号のどちらも書いていない資格取得届は、再提出が必要になります。マイナンバーを書くときは、マイナンバーカードなどで本人確認を行ってください。

外国籍の従業員で、マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない人などは、資格取得届とあわせて「厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届」も提出します。

提出者記入欄(提出日・事業所整理記号・事業所番号)の書き方

様式の一番上の提出者記入欄には、提出日と、事業所の情報を書きます。

資格取得届の提出者記入欄の記入例。事業所整理記号と事業所番号は空欄にせず、通知書のとおりに書く

すでに社会保険に加入している会社は、事業所整理記号と事業所番号を空欄にせず、必ず記入しましょう。

提出日には、届書を提出する日を和暦で記入します。

事業所整理記号と事業所番号は、社会保険に加入したときに年金事務所から付された記号・番号です。適用通知書や、毎月届く保険料の納入告知書(納付書)に書かれています。

事業所整理記号は、「00-ケイト」のように、数字2桁の郡市区符号と、英数字やカナ1〜4文字の事業所記号を組み合わせたものです。事業所番号は数字です。どちらも、通知書のとおりに写します。

例の会社はすでに社会保険に加入しているので、適用通知書に書かれた記号・番号をそのまま記入します。

一方で、会社を設立したばかりで、新規適用届と資格取得届を一緒に出す場合は、まだ記号・番号が付されていません。

電子申請で1件ずつ入力する場合は、日本年金機構の案内に沿って、都道府県コード、郡市区符号「00」、事業所記号「Z」、事業所番号「99999」を入力します。都道府県コードは日本年金機構の「都道府県コード一覧」の番号で、たとえば東京都は「21」です。

紙で出す場合は、記号・番号の欄の書き方が様式に載っていません。提出する年金事務所に確かめておきましょう。

事業所の所在地・名称・事業主氏名・電話番号は、新規適用届などで届け出た内容と同じものを書きます。

①〜⑥ 氏名・種別・マイナンバーなどの書き方

①〜⑥は、加入する従業員本人を特定するための欄です。①は書かなくてよく、⑥はマイナンバーか基礎年金番号のどちらかを必ず書きます。

資格取得届の①〜⑥の記入例。①被保険者整理番号は空欄のまま、⑥はマイナンバー12桁を書く

①被保険者整理番号

①被保険者整理番号は、記入不要です。番号は日本年金機構が割り当てるので、事業所が書く必要はありません。社内の社員番号を書く欄ではないので、空欄のまま提出します。

②氏名と③生年月日

②氏名には、住民票に登録されているとおりの氏名を書きます。フリガナはカタカナで書きます。氏と名の間は分けて書きます。

例の会社の従業員なら、氏に「社保」(シャホ)、名に「健太」(ケンタ)と書きます。

③生年月日は、元号の番号に○をつけ、年・月・日を2桁ずつ書きます。元号の番号は、昭和が「5」、平成が「7」、令和が「9」です。

平成10年5月20日生まれの社保さんの場合は、「7.平成」に○をつけ、「100520」と書きます。

④種別とは(男・女・坑内員・基金)

④種別は、被保険者の区分を表す欄です。一般の会社の従業員なら、男性は「1」、女性は「2」に○をつけます。

種別の番号は、次のように分かれています。

区分男性女性坑内員
一般(厚生年金基金に入っていない)123
厚生年金基金に入っている567

坑内員は、鉱山の坑内で働く人のことです。

⑤取得区分

⑤取得区分は、ふつうの入社なら「1.健保・厚年」に○をつけます。健康保険と厚生年金保険の両方に加入するという意味です。

「3.共済出向」は共済組合から公庫などへ出向した職員、「4.船保任継」は船員保険の任意継続被保険者の場合に使うもので、一般の会社で選ぶことはほとんどありません。

⑥マイナンバーと基礎年金番号はどちらを書くか

⑥には、原則としてマイナンバー(12桁)を書きます。マイナンバーを書くときは、番号法に基づく本人確認(番号の確認と、本人であることの確認)を必ず行ってください。

マイナンバーを持っていないなどの理由で書けない場合は、基礎年金番号(10桁)を左詰めで書きます。基礎年金番号は、基礎年金番号通知書や年金手帳で確認できます。

基礎年金番号を書いた場合は、⑪住所も必ず記入します。マイナンバーを書いた場合は、住所の記入は必要ありません。

例の会社の社保さんは、マイナンバーで届け出るので、⑥にマイナンバーを書き、⑪住所は空欄にします。

⑦〜⑫ 取得年月日・報酬月額・備考などの書き方

⑦〜⑫には、加入する日、扶養家族の有無、給与の額、特別な事情の有無を書きます。書き方に迷う人が多いのは、⑦取得年月日、⑨報酬月額、⑩備考の3つです。

資格取得届の⑦〜⑫の記入例。⑦は入社日、⑨は現物がなくても㋑に0、㋒に合計を書く

⑦取得年月日とは(入社日と初出勤日がずれるとき)

⑦取得年月日には、従業員が会社に使用されるようになった日を書きます。日本年金機構の記入方法では、「事実上の使用関係が発生した日」とされています。

ふつうは、雇用契約で働き始める日、つまり入社日です。例の会社の社保さんは令和8年12月1日に入社しているので、「9.令和」の欄に「081201」と書きます。

試用期間があっても、取得年月日は試用期間の初日です。試用期間が終わってから加入させるのではありません。

入社日と、実際に働き始めた日がずれるときも、取得年月日は「事実上の使用関係が発生した日」です。日本年金機構は、雇用契約の開始日と勤務の開始日が違う場合は、給与の支払いが始まる日を参考に判断するとしています。たとえば、日給制の会社で、雇用契約の開始日がたまたま休みの日曜日に当たり、初出勤が翌日の月曜日になった場合は、雇用契約の開始日が取得年月日になります。休みの日でなければその日から働いていたはずなので、使用関係はその日に始まっていると考えられます。

判断に迷うときは、届け出る前に年金事務所や社労士に確認しておくと安心です。

なお、取得年月日の記入漏れは、日本年金機構が挙げる記入誤りの多い例の1つで、書いていないと再提出が必要になります。

⑧被扶養者欄(被扶養者(異動)届を一緒に出す場合)

⑧には、健康保険の被扶養者がいるかどうかを書きます。扶養に入れる家族がいれば「1.有」、いなければ「0.無」に○をつけます。

「1.有」に○をつけた場合は、資格取得届とは別に、被扶養者(異動)届も提出します。家族が扶養に入れるかどうかは、収入などで判断されます。条件と手続きは、「被扶養者(異動)届」のページで解説しています。

例の会社の社保さんは扶養に入れる家族がいないので、「0.無」に○をつけます。

⑨報酬月額(基本給・手当から通貨・現物・合計を出す)

⑨報酬月額には、入社したときの給与の月額を書きます。㋐通貨、㋑現物、㋒合計の3つの欄があり、現物の支給がなくても、㋑に「0」、㋒に合計を書く必要があります。

㋐通貨には、基本給だけでなく、名称を問わず、働いた対価として金銭で支払うものをすべて合計して書きます。通勤手当も含めます。所得税では非課税になる通勤手当も、社会保険では報酬に入ります。

例の会社の社保さんなら、次のようになります。

欄書く金額内訳
㋐通貨260,000円基本給250,000円+通勤手当10,000円
㋑現物0円現物の支給なし
㋒合計260,000円㋐+㋑

残業代が見込まれる場合は、その見込み額も㋐に入れます。資格取得届は最初の給与を払う前に出すので、残業代は見込みで書くことになります。見込みと実際の残業代が違っても、あとから資格取得届の金額を直すことはできず、毎年の算定基礎届などで見直されます。

一方で、臨時に払うものや、年3回以下の賞与は入れません。週給の場合は、週給を7で割り、30倍した額を書きます。

㋑現物には、食事・住宅・定期券など、金銭以外で支給するものを書きます。食事と住宅は、厚生労働大臣が都道府県ごとに定めた価額で金額に直します。

⑩備考(70歳以上・短時間労働者・再雇用など)

⑩備考は、特別な事情がある人だけ番号に○をつける欄です。選択肢のどれにも当たらない正社員を雇った場合は、○をつけません。例の会社の社保さんも、○はつけません。

選択肢と、○をつける場合は次のとおりです。

番号選択肢○をつける場合
170歳以上被用者該当70歳以上被用者に当たる人(過去に厚生年金保険に加入していた人など)を雇った
2二以上事業所勤務者の取得ほかの会社でも社会保険に加入して働いている人を雇った
3短時間労働者の取得(特定適用事業所等)特定適用事業所などで、短時間労働者として加入する人を雇った
4退職後の継続再雇用者の取得60歳以上の人を退職後すぐに再雇用し、資格を取り直す取扱いをする
5その他上のどれにも当たらない特別な事情がある
6特定減額特例対象者の任意取得特定減額特例対象者が、本人の申し出で加入する

短時間労働者の○のつけ忘れも、日本年金機構が挙げる記入誤りの多い例の1つです。短時間労働者は、毎年の算定基礎届での報酬の決め方が一般の被保険者と違うので、○がないと正しく決められない場合があります。

「2」に○をつけた場合は、従業員本人が、資格取得日から10日以内に「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を出す必要があります。「4」に○をつけた場合は、同じ日付の資格喪失届もあわせて出します。

70歳以上で、過去に厚生年金保険に加入していたなどの要件に当たる人(70歳以上被用者)を雇った場合は「1」に○をつけます。70歳以上の人は厚生年金保険の被保険者にはならず、厚生年金保険料はかかりません。ただし、届け出た給与の額によっては、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になることがあります。なお、在職中に70歳になった人には、この届書は使いません。70歳になったときの手続きは「70歳到達届」で行います。ただし、同じ事業所で引き続き働き、70歳になった時点の給与の額(標準報酬月額相当額)が70歳になる前の標準報酬月額と変わらない場合は、70歳到達届を省略できます。

75歳以上の人は健康保険に加入しないので、過去に厚生年金保険に加入していた人を雇った場合に、70歳以上被用者該当届としてだけ出します。協会けんぽの会社では、このとき「1」と「5」の両方に○をつけ、「5」の( )に「該当届のみ」と書きます。

「6」は、2026年10月から加わった選択肢です。最低賃金の減額の特例を受けている人の一部(特定減額特例対象者)は原則として加入の対象外ですが、本人が申し出れば加入できます。このときは、本人からの申出書とあわせて資格取得届を提出し、⑦取得年月日は書きません。

⑪住所と⑫資格確認書の発行要否

⑪住所は、⑥にマイナンバーを書いた場合は記入不要です。基礎年金番号を書いた場合は、住民票の住所とフリガナを書きます。

海外に住んでいる、短期間の在留であるなどの理由で住民票の住所を書けない人は、居所を書き、理由の番号に○をつけます。

⑫資格確認書の発行要否は、マイナンバーカードを健康保険証として使えない人など、資格確認書の発行が必要な人だけチェックを入れる欄です。当てはまる人は様式2ページ目の記入方法に載っているので、入社のときに従業員に確認しておきましょう。

資格取得届の添付書類と一緒に出す届書

資格取得届の添付書類は、原則として必要ありません。ただし、60歳以上の人を退職後すぐに再雇用した場合や、国民健康保険組合に引き続き加入する場合などは、添付書類や別の書類が必要です。また、扶養に入れる家族がいる場合や、会社がまだ社会保険に加入していない場合は、ほかの届書も一緒に出します。

添付書類が必要になる場合(60歳以上の継続再雇用・国保組合・特定減額特例)

添付書類や別の書類が必要になるのは、次の3つの場合です。

場合必要な書類注意点
60歳以上の人を、退職後1日の間もなく再雇用した退職日が分かる書類(就業規則・退職辞令のコピーなど)と、再雇用されたことが分かる雇用契約書のコピー。または、退職日と再雇用日を記載した事業主の証明書同じ日付の資格喪失届も一緒に出す。備考の「4」に○
国民健康保険組合に引き続き加入する(国保組合の理事長が認めた場合)国保組合用の資格取得届と、健康保険被保険者適用除外承認申請書事実発生から14日以内に出す。資格取得届の5日とは期限が違う
特定減額特例対象者が、本人の申し出で加入する従業員からの申出書(特定減額特例対象者 被保険者資格取得申出書)備考の「6」に○。⑦取得年月日は書かない

60歳以上の再雇用では、資格取得日の時点で60歳以上であることを確認してから届け出てください。添付書類の不備も、日本年金機構が挙げる記入誤りの多い例に入っています。

一緒に出す届書(被扶養者(異動)届・新規適用届)

資格取得届と一緒に出すことが多い届書は、次の2つです。

届書一緒に出す場合
健康保険 被扶養者(異動)届扶養に入れる家族がいる(⑧で「1.有」)
健康保険・厚生年金保険 新規適用届会社がまだ社会保険に加入していない

会社を設立したばかりで、社長や従業員を初めて社会保険に加入させるときは、新規適用届と、加入する人全員分の資格取得届をあわせて提出します。社長1人の会社でも、社長本人の資格取得届が必要です。

新規適用届の書き方は、次の記事で解説しています。

社会保険の新規適用届の書き方を記入例付きで社労士が解説!業態区分や給与欄も社会保険の新規適用届の書き方を記入例付きで社労士が解説!業態区分や給与欄も

資格取得届の提出期限・提出先・提出方法

資格取得届の提出期限は、事実発生(入社日など)から5日以内です。

なお、特定減額特例対象者が申し出て加入する場合は、従業員からの申出書とあわせて、速やかに提出します。

提出先は、事業所の所在地を管轄する年金事務所、または事務センターです。

健康保険組合に加入している会社は、日本年金機構と健康保険組合の両方に届書を出します。協会けんぽの会社は、日本年金機構に出すだけで済みます。

提出方法は、電子申請、郵送、窓口持参の3つから選べます。電子申請は、e-Govで電子証明書かGビズIDを使って申請する方法のほか、日本年金機構の届書作成プログラムや、電子申請に対応した労務ソフトを使う方法があります。

資格取得届を出し忘れていたことが後から分かると、資格取得届を出したうえで、本来加入するはずだった時点にさかのぼって保険料を納めることになります。従業員が老齢厚生年金を受け取っている場合は、さかのぼって年金の支払いが止まり、すでに受け取った年金を返すことになる場合もあります。

期限を過ぎてしまったときの対応は、次の記事で解説しています。

会社設立後に社会保険の加入手続きが5日過ぎたら?間に合わない場合の対処法と必要書類を解説会社設立後に社会保険の加入手続きが5日過ぎたら?間に合わない場合の対処法と必要書類を解説

資格取得届でよくある記入誤りと、提出後に誤りに気づいたとき

資格取得届に不備や記入誤りがあると、一度受け付けた届書が返されることがあります。出す前に、日本年金機構が挙げている記入誤りの多い例と見比べておきましょう。

日本年金機構が挙げる記入誤りの多い例

日本年金機構は、資格取得届で不備や記入誤りが多い例として、次の6つを挙げています(2026年10月時点)。

  • ⑦取得年月日の記入漏れ
  • ⑥マイナンバーの記入漏れ(書けない場合は基礎年金番号)
  • 基礎年金番号を書いたときの⑪住所の記入漏れ
  • 短時間労働者の⑩備考の○のつけ忘れ
  • ⑨報酬月額の㋑現物・㋒合計の記入漏れ
  • 60歳以上の人を退職後すぐに再雇用するときの添付書類の不備

このうち、⑨報酬月額は、㋐通貨だけを書いて、㋑現物と㋒合計を空けたまま出してしまう例が多いとされています。現物の支給がなければ㋑に「0」、㋒に合計を書けば防げます。

提出したあとに誤りに気づいたとき

届書が返された場合は、指摘された箇所を直して、もう一度提出します。

受け付けが済んだあとに誤りに気づいた場合は、管轄の年金事務所に連絡して、訂正の手続きを確認してください。取得年月日や報酬月額を直す場合は、出勤簿や賃金台帳など、正しい内容が分かる書類を求められることがあります。氏名や生年月日の誤りには、それぞれ専用の訂正の届書があります。

なお、⑨報酬月額のうち、残業代の見込みが実際と違った場合は、訂正の対象になりません。基本給や手当など、毎月決まって払う給与の額を間違えた場合は訂正できます。

まとめ

資格取得届は、従業員1人ごとに、入社から5日以内に出す届書です。書き始める前に、出す人かどうかを判断し、マイナンバーや給与の情報を従業員から集めておけば、迷いやすいのは取得年月日・報酬月額・備考などの一部の欄だけです。添付書類は原則として必要ありませんが、扶養に入れる家族がいれば被扶養者(異動)届を、会社がまだ社会保険に入っていなければ新規適用届を、一緒に出します。

提出前に、次の点を見直しておきましょう。

  • ⑥マイナンバーか基礎年金番号のどちらかを書いた(基礎年金番号なら⑪住所も)
  • ⑦取得年月日は、使用されるようになった日(ふつうは入社日)
  • ⑨報酬月額は、通勤手当や見込みの残業代を含め、㋑現物の「0」と㋒合計まで書いた
  • ⑩備考は、短時間労働者・70歳以上被用者・60歳以上の再雇用などに当たれば○をつけた
  • 提出期限の5日以内に間に合う

入社が決まったら、まずは日本年金機構の最新の様式をダウンロードして、従業員から集める情報を確認するところから始めてください。

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  • 入社の手続きが重なり、5日以内の提出期限に間に合いそうにない
  • パート・役員・70歳以上の人など、加入するかどうかの判断に迷う
  • 取得年月日や報酬月額など、どう書けばいいか迷う欄がある
  • 記入誤りや添付書類の不備で差し戻されたくない

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