社会保険の新規適用届とは、会社などの事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けるときに、事業主が提出する届出です。正式名称は「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」といいます。
法人の場合は、役員報酬を受け取って常勤で働く社長1人だけの会社でも対象になり、適用の要件を満たした日から5日以内に提出する必要があります。
業態区分(事業の種類)や給与計算の締切日・給与支払日など、会社として決めておかないと書けない欄があるため、書き始める前の準備が重要です。
この記事では、日本年金機構の現行の様式(2026年10月時点)に沿って、事業主記入欄と①〜㉖の欄の書き方を、公式資料と社長1人の会社の記入例を使って上から順に解説します。
あわせて、様式のダウンロード方法、役員だけの会社の従業員情報の書き方、記入誤りの多い事例、一緒に提出する書類・添付書類、電子申請(e-Gov)で作成する場合の注意点も整理していますので、ぜひ参考にしてください。

生島社労士事務所代表
生島 亮
いくしま りょう
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新規適用届(正式名称:健康保険・厚生年金保険 新規適用届)は、会社(事業所)を社会保険に加入させるための届出です。事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けることになったときに、事業所単位で提出します。

社長や従業員一人ひとりを社会保険に加入させる手続きは、新規適用届とは別の「被保険者資格取得届」で行います。新規適用届は事業所の届出、資格取得届は人の届出、と役割が分かれています。
そのため、新規適用届を出すときは、被保険者となる人全員分の資格取得届もあわせて提出します。扶養に入れる家族がいる場合は、被扶養者(異動)届も一緒に出します。
法人の場合、役員報酬を受け取って常勤で働く社長1人だけの会社でも、社会保険の適用を受ける対象になります。
一方で、無報酬の役員しかいない会社は、被保険者となる人がいないため、新規適用届は出しません。役員報酬の支給が始まるなど、適用の要件を満たした時点で提出します。
なお、強制適用の対象にならない個人事業所が、任意で社会保険の適用を受ける場合は、新規適用届ではなく「任意適用申請書」を提出します。
提出期限は、事実発生から5日以内です。期限の数え方や提出先、自社に提出が必要かどうかの判断は、「新規適用届の申請代行・必要書類」のページをご覧ください。
会社設立時の社会保険・労働保険の手続き全体は、「会社設立時の社会保険の手続きや必要書類を全解説」で解説しています。
新規適用届の記入欄は、大きく5つのまとまりに分かれています。書きたい欄が決まっている方は、表のリンクから該当する解説に進んでください。
| 記入欄 | 主な記入内容 | 迷いやすいポイント | 解説 |
|---|---|---|---|
| 事業主記入欄 | 提出日、所在地、事業所名称、電話番号 | 所在地は都道府県を除く。株式会社のフリガナは「カ」 | 事業主記入欄の書き方 |
| ①〜⑤ | 代表者の氏名・住所、問合せ先担当者 | ①のフリガナの書き忘れ | ①〜⑤の書き方 |
| ⑥〜⑭ | 業態区分、法人番号、本店・支店、内国・外国 | 業態区分は事業所業態分類票から選ぶ。⑦は記入不要 | ⑥〜⑭の書き方 |
| ⑮〜⑳ | 給与の締切日・支払日、昇給月、賞与支払予定月、媒体作成 | 当月払いか翌月払いか。賞与を払わない月は書かない | ⑮〜⑳の書き方 |
| ㉑〜㉖ | 給与形態、手当・現物給与、従業員情報、所定労働時間 | 役員だけの会社の従業員情報 | ㉑〜㉖の書き方 |

新規適用届は、欄の数こそ多くありませんが、給与の締切日や賞与の予定月など、会社として決めておかないと書けない欄があります。
ここでは、様式の入手方法と、書き始める前に揃えておくものを確認します。
様式(PDF・Excel)と公式の記入例のダウンロード方法
新規適用届の様式は、日本年金機構のページ「事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」からダウンロードできます。
このページには、次の資料がまとめて掲載されています。
| 資料 | 形式 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | PDF・Excel | 届書そのもの |
| 新規適用届(記入例) | 書き方の見本 | |
| 事業所業態分類票 | ⑥業態区分(事業の種類)を選ぶとき | |
| 届出に不備や記入誤りの多い事例の紹介 | Webページ | 提出前の確認 |
様式はA4で、1ページ目が記入欄、2ページ目が記入方法と添付書類の説明です。記入欄が「表面・裏面」に分かれている作りではありません。ネット上には古い様式の記入例も残っているので、欄番号が①〜㉖になっている最新の様式を使いましょう。

Excel版は、入力してから印刷して提出できます。ただし、パソコンの設定によって印刷位置がずれる場合があると公式に注記されているので、印刷前に余白やレイアウトを確認してください。
電子申請で提出する場合は、Excelのファイルは使いません。e-Govの画面に直接入力します(詳しくは「よくある質問」で解説します)。
書く前に決めておくこと・手元に用意するもの
書き始める前に、手元に置く資料と、会社として決めておくことを揃えておくと、途中で手が止まりません。
手元に用意するもの
- 法人(商業)登記簿謄本:所在地・会社名・会社法人等番号の確認に使います。添付書類にもなるので、取り寄せておきましょう
- 法人番号(13桁):国税庁の「法人番号公表サイト」で、会社名や所在地から調べられます
- 事業所業態分類票:⑥業態区分を選ぶときに使います
- 代表者の氏名・フリガナ・住所
会社として決めておくこと
- 給与計算の締切日と給与支払日(当月払いか翌月払いか)
- 昇給月と賞与支払予定月
- 給与形態(月給・日給など)、諸手当、現物給与(社宅や定期券の現物支給など)の有無
- 役員・従業員の人数と働き方(役員報酬の有無、常勤か非常勤か、パート・アルバイトの月の勤務日数と週の勤務時間)
- フルタイムで働く人の所定労働日数・所定労働時間
- 年金事務所からの問い合わせに対応する担当者
この記事では、社長1人で始める会社を想定して、次の会社を例に説明します。
| 項目 | この記事の例(架空の会社) |
|---|---|
| 会社 | 株式会社 みらいウェブ |
| 事業 | Web制作(業態区分は「16 情報通信業」) |
| 役員・従業員 | 社長1人(常勤・役員報酬あり)。雇っている従業員はいない |
| 給与の締め・支払い | 毎月15日締め・当月25日払い |
| 昇給・賞与 | 昇給月は決めていない。賞与は支払わない |
| 健康保険 | 協会けんぽ |
| 手続き | 社労士に頼まず、自社で手続き |
この表の給与日は、書き方を示すために設定した架空の会社の給与規程です。実際の届書には、自社で定めた締切日・支払日を記入してください。昇給月は未定、賞与の支払予定はないものとします。
様式の一番上にある「事業主記入欄」には、提出日と、事業所の所在地・名称・電話番号を書きます。事業所名称は登記簿謄本の記載を確認して書きます。
提出日と事業所所在地
提出日には、届書を提出する日を和暦で記入します。公式の記入例では「令和7年4月3日提出」となっています。
事業所所在地は、都道府県を除いて記入し、フリガナと郵便番号も書きます。公式の記入例では「〒168-8599 杉並区高井戸1-2-3」のように、都道府県名を省いた形です。
所在地には、実際に事業を行う事業所の所在地を書きます。登記上の本店所在地と事業所の所在地が異なる場合、実際の事業所の所在地を管轄する年金事務所に提出します。その所在地を確認できる賃貸借契約書のコピーなども添付してください。個人事業所で住民票上の住所と事業所の所在地が異なる場合も、所在地を確認できる書類が必要です。

事業所名称のフリガナ(株式会社は「カ」)と電話番号
事業所名称は、登記簿謄本のとおりに書きます。
フリガナは、会社の種類の部分を次のように略して書くと決められています。
| 会社の種類 | フリガナの書き方 |
|---|---|
| 株式会社 | カ |
| 特例有限会社 | ユ |
| 合名会社 | メ |
| 合資会社 | シ |
| 上記以外(合同会社、一般社団法人など) | 略さずに書く |
公式の記入例では、「株式会社 健保産業」のフリガナを「カ ケンポサンギョウ」と書いています。
合同会社は略し方が決まっていないので、「合同会社 〇〇」なら「ゴウドウガイシャ 〇〇」のように略さずに書きます。
電話番号には、事業所の代表電話番号を記入します。
①〜⑤は、事業主(法人の場合は代表者)と、問い合わせ先の欄です。①のフリガナと②の問合せ先担当者名は、空欄にしてはいけない欄です。
①事業主(代表者)氏名と③住所
①には、法人の場合は代表者(代表取締役など)の氏名とフリガナを書きます。③には、代表者の住所と郵便番号を書きます。個人事業所の場合は、事業主本人の氏名と住所です。
公式の記入例では、①に「厚年 良子(コウネン ヨシコ)」、③に「〒168-7900 杉並区浜田川3-2-1」のように書いています。
①のフリガナは必ず書きましょう。フリガナの書き忘れは、日本年金機構が「記入誤りの多い事例」として挙げている項目で、書いていないと再提出が必要になります(提出前の確認の章で詳しく解説します)。

②問合せ先担当者名
②には、届出の内容について年金事務所から問い合わせがあったときに対応する人の名前と、内線番号を書きます。様式の記入方法で「必ず記入してください」とされている欄です。
社長1人の会社なら、社長自身の名前を書きます。事務担当者がいる会社なら、その担当者の名前と内線番号です。
社会保険労務士に手続きを依頼している場合は、⑫の欄と、様式右上の「社会保険労務士記載欄」を社労士が書きます。
④⑤事業主代理人(定めていない場合)
④⑤には、事業主代理人を定めている場合だけ、その人の氏名・フリガナ・住所を書きます。定めていない場合は、何も書きません。
事業主代理人とは、事業主の選任により、事業主の義務に関わるすべての事務を行う人のことです。欄の見出しも「事業主代理人の有る場合」となっています。
設立したばかりの会社で事業主代理人を定めることは少なく、公式の記入例でも④⑤は空欄です。
「手続きを担当している社員」や「依頼した社労士」を書く欄ではない点に注意しましょう。問い合わせの担当者は②、社労士は⑫に書きます。
⑥〜⑭は、事業の種類や法人番号など、事業所の区分を書く欄です。一番迷いやすいのは⑥業態区分(事業の種類)なので、事業所業態分類票の使い方から説明します。⑦や⑫〜⑭のように、書かなくてよいことが多い欄もあります。
⑥業態区分(事業の種類)は「事業所業態分類票」から選ぶ
⑥には、日本年金機構の「事業所業態分類票」から、主に行っている事業に当たる分類を選び、「項番」と「業態分類(事業の種類)」の名称を書きます。
分類票の項番は、法人用(左の列:01〜43)と個人事業所用(右の列:51〜93)に分かれています。株式会社や合同会社は、左の列の項番を使います。
公式の記入例では、⑥に「06」「食料品・たばこ製造業」と書いています。

分類は、会社名ではなく、実際に主として行っている事業で選びます。定款の目的に複数の事業が並んでいても、主な事業を1つ選びましょう。
設立したばかりの会社に多い業種の例は、次のとおりです。
| 主な事業 | 項番(法人) | 業態分類 |
|---|---|---|
| Web制作、ソフトウェア開発、アプリ運営 | 16 | 情報通信業 |
| 経営コンサルタント、デザイン、広告 | 27 | 専門・技術サービス業 |
| ネットショップ(通信販売) | 22 | 無店舗小売業 |
| 美容室、エステ | 30 | 対個人サービス業 |
| 税理士・社労士などの事務所 | 43 | 有資格者が法律・会計関係業務を行う事業 |
各種サービス業に当たる分類を選んだ場合は、分類票の「業態分類」の名称に加えて、実際に行う事業の種類も具体的に書きます。これは日本年金機構の様式の記入方法に明記されています。
どの分類に当たるか迷う場合は、管轄の年金事務所に確認できます。
⑦適用年月日は記入不要
⑦の適用年月日は、様式に「※記入不要」と書かれている欄です。空欄のまま提出します。
適用年月日は、年金事務所が届出の内容を確認して決めるものです。会社側が「この日から適用してほしい」と書く欄ではありません。
書き方の記事としては、「⑦は何も書かない」とだけ覚えておけば十分です。
⑧個人・法人等区分と⑨法人番号等
⑧は、株式会社・合同会社などの法人なら「1.法人事業所」の数字を○で囲みます。個人事業主は「2.個人事業所」です。
⑨は、法人番号(13桁)と会社法人等番号(12桁)の両方がある場合、原則として「1.法人番号」を○で囲み、13桁の法人番号を書きます。公式の記入例も、「1.法人番号」を選んで13桁を書いています。
| 番号 | 桁数 | 確認できる場所 |
|---|---|---|
| 法人番号 | 13桁 | 国税庁の法人番号公表サイト |
| 会社法人等番号 | 12桁 | 登記簿謄本 |
よくある取り違えは、登記簿謄本に載っている会社法人等番号(12桁)を、「1.法人番号」の欄に書いてしまうことです。桁数が違うので、書く前に数えて確認しましょう。
⑨で「1.法人番号」を選ぶ場合、様式の記入方法と日本年金機構の提出案内では、法人番号指定通知書等のコピーの添付が案内されています。通知書が手元にない場合は、国税庁の法人番号公表サイトで法人名・所在地・法人番号を表示した画面の印刷物でも提出できます。

⑩本店・支店区分と⑪内・外国区分
⑩と⑪は、様式の記入方法に説明がない欄です。どちらも、当てはまる数字を○で囲みます。
⑩は、届け出る事業所が本店なら「1.本店」、支店なら「2.支店」を選びます。設立したばかりの会社が本店の所在地で届け出る場合は「1.本店」です。
⑪は、日本の法律に基づいて設立した会社なら「1.内国法人」、外国会社の日本支店などは「2.外国法人」を選びます。
支店や営業所を、本店とは別の適用事業所として届け出る場合の扱いは、この記事では扱いません。迷う場合は年金事務所に確認しましょう。
⑫社会保険労務士名・⑬健康保険組合名称・⑭厚生年金基金番号
⑫〜⑭は、3つとも「当てはまる場合だけ書く」欄です。
| 欄 | 書く場合 |
|---|---|
| ⑫社会保険労務士名 | 届出を社会保険労務士に委託している場合 |
| ⑬健康保険組合名称 | 健康保険組合に加入している場合 |
| ⑭厚生年金基金番号 | 厚生年金基金に加入している場合(基金番号と名称) |
自社で手続きをして、協会けんぽに加入し、厚生年金基金に入っていない会社なら、3つとも空欄です。公式の記入例でも、⑫〜⑭は空欄になっています。
社労士に依頼した場合は、社労士が⑫と、様式右上の社会保険労務士記載欄を書きます。業界の健康保険組合に加入する予定がある場合は、⑬に組合の名称を書きます。
⑮〜⑳は、給与の締切日と支払日、昇給月、賞与支払予定月、算定基礎届・賞与支払届の用紙の送付希望を書く欄です。設立直後はまだ決めていないことが多いので、書き方とあわせて決め方も説明します。
⑮給与計算の締切日と⑱給与支払日
⑮には給与計算の締切日の日付を書きます。⑱は、「当月」か「翌月」を○で囲み、給与支払日の日付を書きます。
公式の記入例は、⑮が「20日」、⑱が「翌月」に○をして「10日」です。つまり「毎月20日締め・翌月10日払い」の会社の書き方です。

図中の月末締めは給与計算の期間を示したもので、届書の⑮欄に書く数字の見本ではありません。
ほかの例で書くと、次のようになります。
| 給与の締め・支払い | ⑮締切日 | ⑱支払日 |
|---|---|---|
| 20日締め・翌月10日払い(公式の記入例) | 20日 | 翌月に○・10日 |
| 15日締め・当月25日払い | 15日 | 当月に○・25日 |
月末締め・月末払いの場合、日本年金機構の紙の様式・記入方法には「末日」を欄にどう表すかの指定がありません。電子申請の入力チェックでは日付欄は1〜31の数字です。月末を「31日」などと自己判断で書き換えず、提出先の年金事務所に記入方法を確認してください。
役員報酬しか払っていない会社も、実際の報酬の締切日・支払日を確認して書きます。これから従業員を雇う場合も、届書に架空の給与日を入れず、自社で定めた給与規程に合わせてください。
社会保険料をいつの給与から控除するかは、「会社設立後の社会保険料はいつから支払う?」をご覧ください。
⑯昇給月と⑲賞与支払予定月
⑯には年間の昇給月(昇給後の給与を支払う月)を、⑲には年間の賞与支払予定月を書きます。それぞれ最大4つまで書けます。同じ月を2回書くことはできません。
公式の記入例では、⑯が「07」月、⑲が「06」月と「12」月です。
⑲に書いた月は、日本年金機構に登録されます。⑳で用紙の送付を希望した場合は、登録した月の前月に、従業員の氏名などを印字した賞与支払届の用紙が送られてきます(⑳の選び方は次の節で説明します)。
予定月に賞与を支払わなかった場合は、賞与支払届の代わりに「賞与不支給報告書」を提出します。提出がないと、年金機構から催告状が届きます。賞与を払う予定がないのに月を書くと、その月が来るたびに不支給報告書が必要になる点に注意しましょう。
この記事の例では、昇給月が未定で賞与の支払予定もないため、⑯と⑲に仮の月は記入していません。これらは実際の年間の予定月を書く欄です。予定が決まっている会社はその月を記入してください。電子申請で⑯⑲が必須入力でないことだけを根拠に、紙の様式でも一律に空欄でよいとは判断できません。
あとで昇給月や賞与支払予定月が変わった場合は、「事業所関係変更(訂正)届」で登録を変更します。
⑰算定基礎届媒体作成と⑳賞与支払届媒体作成
⑰と⑳は、日本年金機構から、従業員の氏名などを印字した届書の用紙を送ってもらうかどうかを選ぶ欄です。⑰は毎年7月に提出する算定基礎届、⑳は賞与支払届についての希望です。
選択肢は⑰も⑳も同じ3つです。
| 選択肢 | 意味 |
|---|---|
| 0.必要(紙媒体) | 被保険者の氏名などを印字した紙の用紙を送ってもらう |
| 1.不要(自社作成) | 送付を希望しない。電子申請や給与ソフトなどで自社で作成する |
| 2.必要(社労士電子送付用) | 委託を受けた社労士が、オンライン事業所年金情報サービスで被保険者データを受け取る場合 |
「2.必要(社労士電子送付用)」は、社労士が使う選択肢です。自社で手続きする会社が選ぶものではありません。「2」を選ぶと、紙の用紙は送られてこなくなります。
公式の記入例では、⑰⑳とも「1.不要(自社作成)」に○をしています。⑳で「0.必要(紙媒体)」を選んだ場合は、⑲に書いた賞与支払予定月の前月に用紙が送られてきます。「1.不要(自社作成)」を選んだ場合は送られてこないので、賞与支払届は自社で作成します。
自社で手続きする場合は、用紙の送付を希望するなら「0」、自社で作成するなら「1」を選びます。この記事の例の会社は自社作成を想定し、⑰⑳とも「1」を選んでいます。会社の提出方法に合わせて選び、社労士へ委託していないのに「2」を選ばないようにしましょう。
電子申請の画面では、「2」の選択肢の名前が「必要(電子媒体)」と表示されます。紙の様式とは表記が違いますが、選ぶ番号は同じです。

算定基礎届の対象者や書き方を詳しく知りたい場合は、次の記事をご覧ください。
算定基礎届とは?対象者や書き方・注意点をわかりやすく社労士が解説
㉑〜㉖は、給与の形、手当や現物給与、役員・従業員の人数と働き方、所定労働時間を書く欄です。役員だけの会社が迷いやすい㉔従業員情報は、数字の例を示して説明します。
㉑給与形態・㉒諸手当の種類・㉓現物給与の種類
㉑と㉒は、当てはまる項目の数字を○で囲みます。㉓は、お金以外のもので支給する給与がある場合だけ、当てはまる数字を○で囲みます。
| 欄 | 選択肢 |
|---|---|
| ㉑給与形態 | 1.月給/2.日給/3.日給月給/4.歩合給/5.時間給/6.年俸制/7.その他(内容も書く) |
| ㉒諸手当の種類 | 1.家族手当/2.住宅手当/3.役付手当/4.通勤手当/5.精勤手当/6.残業手当/7.その他 |
| ㉓現物給与の種類 | 1.食事/2.住宅/3.被服/4.定期券/5.その他 |
迷いやすいのが、㉒の手当と㉓の現物給与の区別です。基本給の給与形態は㉑、現金で支払う諸手当は㉒、通貨以外で支給する給与は㉓で示します。
- 通勤費を現金で払う → ㉒「4.通勤手当」
- 定期券そのものを買って渡す → ㉓「4.定期券」
- 社宅を貸している → ㉓「2.住宅」
この記事の例のように、役員報酬を毎月決まった額で支払う場合は、㉑「1.月給」を選びます。諸手当や現物給与を支給していない例では、㉒㉓の選択肢は囲んでいません。実際に支給しているものがあれば、該当する項目を選んでください。
㉔従業員情報(役員だけの会社の書き方)
㉔には、次の3つを書きます。
- 従業員数(役員含む)
- 社会保険に加入する従業員数(様式の記入方法では「被保険者となる条件を満たす従業員の人数」)
- 社会保険に加入しない従業員がいる場合は、その人数と勤務形態
3の勤務形態は、㋐役員(報酬の有無、常勤・非常勤の人数)、㋑嘱託職員等、㋒パート、㋓アルバイトに分けて書きます。㋑〜㋓は、平均的な1か月の勤務日数と1週の勤務時間も書きます。
公式の記入例は、従業員数4人、社会保険に加入する従業員数3人、加入しない従業員は㋓アルバイト1人(1月12日・1週5時間)です。
社内での呼び方が㋐〜㋓に当てはまらない場合は、定年後に再雇用した人は㋑、それ以外の人は㋒に書きます。
役員だけの会社の書き方の例は、次のとおりです。この記事の例の会社は、雇っている従業員はいませんが、1の従業員数は「役員含む」なので、社長も人数に入ります。2には、加入要件を満たす人の人数を書きます。
| 会社の例 | 1.従業員数 | 2.加入する従業員数 | 3.加入しない従業員 |
|---|---|---|---|
| 社長1人・役員報酬あり(この記事の例) | 1人 | 1人 | なし |
| 社長(報酬あり)+無報酬の非常勤取締役1人 | 2人 | 1人 | ㋐役員1人〔報酬 0.無・非常勤1人〕 |
法人の代表者や役員も、勤務の実態や役員報酬などから被保険者の要件を満たす場合は、社会保険の加入対象です。役員報酬の金額が低いこと(保険料の計算に使う標準報酬月額の一番低い等級より少ないこと)だけを理由に、加入しなくてよいとは判断できません。
なお、無報酬の役員しかいない会社は、そもそも新規適用届を出しません(「社会保険の新規適用届とは?」の章で説明したとおりです)。

㉕所定労働日数・所定労働時間と㉖備考
㉕には、その事業所で働く「通常の労働者」、つまりフルタイムで働く人の、1か月の所定労働日数と1週の所定労働時間を書きます。
公式の記入例は、「1月20日・1週40時間0分」です。
| 例 | ㉕の書き方 |
|---|---|
| 1日8時間・週5日勤務 | 1月20日・1週40時間0分(公式の記入例) |
| 1日7時間30分・週5日・月20日勤務 | 1月20日・1週37時間30分 |
㉕は「事業所に勤務する通常の労働者」の所定労働日数・時間を書く欄です。この記事の例は社長1人で、通常の労働者に当たる従業員を雇っていないため、記入例では空欄としています。従業員がいる会社は、実際に定めた日数・時間を記入してください。
㉖備考は、様式の記入方法に記載事項の指定がありません。この記事の例では、補足事項がないため空欄にしています。
新規適用届の作成はスポットで依頼できます
ここまで読んで「自分で書くのは手間がかかる」「この書き方で合っているか不安」と感じた場合は、社労士に任せる方法もあります。社労士クラウドでは、新規適用届や資格取得届などの社会保険の手続きを、顧問契約なしのスポットで代行しています。
書き終えたら、提出する前に、日本年金機構が公表している「記入誤りの多い事例」と、空欄にしてよい欄を確認しましょう。
日本年金機構が挙げる記入誤りの多い事例
日本年金機構は、新規適用届で不備や記入誤りの多い事例として、次の2つを挙げています。不備や記入誤りがある場合は、受付した届書が返されることがあり、どちらも再提出が必要になると案内されています。
1.添付書類の不備
登記簿謄本(個人事業所の場合は事業主の世帯全員の住民票)が添付されていない、または提出日からさかのぼって90日を超えて発行されたものが添付されている例です。
登記簿謄本は、窓口・郵送で提出する場合は90日以内に交付された原本を添付します。電子申請の場合は、スキャンした画像ファイルで提出できます。住民票は、個人番号の記載がない原本(90日以内)です。
2.事業主(代表者)氏名のフリガナ漏れ
①事業主(代表者)氏名の欄に、漢字の氏名だけを書いて、フリガナを書き忘れる例です。
手書きの届書で起きやすい誤りです。提出前に①のフリガナ欄を見直しましょう。
⑨で「1.法人番号」を選んだ場合は、法人番号を確認できる書類も添付漏れがないか確認しましょう。通知書がない場合の代替資料は、次の添付書類の節で説明します。
空欄でよい欄・記入不要の欄のまとめ
新規適用届には、記入不要の欄と、会社の実態によって記入する欄があります。この記事の例に沿って整理します。
| 分類 | 欄 | この記事の例での扱い |
|---|---|---|
| 記入不要 | ⑦適用年月日 | 空欄 |
| 該当するときに書く | ④⑤事業主代理人、⑫社会保険労務士名、⑬健康保険組合名称、⑭厚生年金基金番号、㉒諸手当、㉓現物給与、㉔の3(加入しない従業員) | いずれも該当しないため空欄 |
| 予定・補足があるときに書く | ⑯昇給月、⑲賞与支払予定月、㉖備考 | 昇給月は未定、賞与予定・補足事項はないため空欄 |
| 実態に合わせて書く | ⑮締切日、⑱支払日、㉑給与形態、㉔の1・2、㉕所定労働日数・時間 | ⑮は15日、⑱は当月25日、㉑は月給、㉔は各1人。通常の労働者がいないため㉕は空欄 |
| 記入する | 提出日、所在地、名称、①代表者氏名とフリガナ、②問合せ先担当者名、③住所、⑥業態区分、⑧個人・法人等区分、⑨法人番号(法人) | 会社・届出の内容を記入 |
この表の空欄は、社長1人の架空の会社という設定での記入例です。電子申請で必須入力でないことだけを根拠に、どの会社でも紙の届書を空欄にできると判断しないでください。
新規適用届を書き終えたら、一緒に提出する届書と、添付書類を揃えます。
一緒に提出する届書(資格取得届・被扶養者(異動)届・口座振替申出書)
新規適用届と一緒に提出する届書は、次の3つです。
| 届書 | 提出する場合 |
|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 | 必ず。被保険者となる人全員分 |
| 健康保険 被扶養者(異動)届 | 扶養に入れる家族がいる場合 |
| 健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書 | 保険料の口座振替を希望する場合 |
新規適用届は事業所の届出なので、社長や従業員一人ひとりの加入は資格取得届で行います。
たとえば、社長1人の会社で配偶者を扶養に入れる場合は、新規適用届、社長の資格取得届、被扶養者(異動)届の3つを提出します。保険料を口座振替で払いたい場合は、口座振替納付(変更)申出書も加えます。
被扶養者(異動)届の手続きは、「被扶養者(異動)届」のページで解説しています。
添付書類(法人/個人事業所/所在地が登記と違う場合)
新規適用届の添付書類は、事業所の形によって違います。
| 事業所の形 | 添付書類 | 条件 |
|---|---|---|
| 法人 | 法人(商業)登記簿謄本 | 提出日からさかのぼって90日以内に交付されたもの。窓口・郵送は原本、電子申請はスキャンした画像で提出できる |
| 個人事業所(強制適用) | 事業主の世帯全員の住民票 | 原本。個人番号の記載がないもの。90日以内に交付されたもの |
| 個人事業所(強制適用) | 代表者の公租公課の領収書(所得税、事業税、市町村民税、国民年金保険料、国民健康保険料) | 日本年金機構の必要書類一覧に掲載。コピー可、原則1年分。該当する書類の詳細は提出先に確認 |
| 所在地が登記簿・住民票と違う場合 | 賃貸借契約書のコピーなど、所在地を確認できる書類 | — |
登記簿謄本は、法務局の窓口のほか、オンラインでも交付請求ができます。
紙で提出した登記簿謄本の原本は、希望すれば返却してもらえます。電子申請で画像を提出した場合は、原本を会社で保管しておきましょう。
法人が⑨で「1.法人番号」を選ぶときは、法人番号指定通知書等のコピーも日本年金機構の案内上の添付書類です。通知書がない場合は、国税庁法人番号公表サイトで法人名・所在地・法人番号を表示した画面の印刷物で代用できます。事業所ごとの提出書類は、日本年金機構の新規加入に必要な書類一覧で確認してください。
提出先・提出期限
新規適用届の提出先は、事業所の所在地を管轄する年金事務所、または事務センターです。提出方法は、電子申請、郵送、窓口持参の3つから選べます。
提出期限は、事実発生から5日以内です。期限の数え方や、期限に遅れた場合の対応は、「会社設立後に社会保険の加入手続きが5日過ぎたら?」で解説しています。
電子申請の方法と必要なものは、次の「よくある質問」で説明します。
新規適用届はExcelや電子申請(e-Gov)で作成できますか?
郵送や窓口で提出する場合は、日本年金機構のExcel版の様式に入力して印刷し、そのまま提出できます。PDF版を印刷して手書きしてもかまいません。
電子申請では、Excelのファイルは使えません。新規適用届は、電子申請でCSVファイルを添付して申請できる届書(資格取得届や算定基礎届など9種類)に入っておらず、日本年金機構の届書作成プログラムにも対応していません。電子申請で出す場合は、e-Govの画面に直接入力します。
電子申請では、所在地、事業所名称、代表者の氏名(カナ・漢字)と住所、⑥業態区分、⑧個人・法人等区分、⑨法人番号(法人の場合)、㉔の社会保険に加入する従業員数などは、入力しないと先に進めない必須項目です。⑮給与計算の締切日と⑱給与支払日は「1〜31」の数字で入力します。
e-Govで電子申請をするには、電子証明書またはGビズIDが必要です。電子申請に対応した市販の労務ソフトで作成する方法もありますが、新規適用届に対応しているかは製品ごとに確認しましょう。
資格取得届も同時に書く必要がありますか?
必要です。新規適用届と一緒に、被保険者となる人全員分の資格取得届を提出します。
社長1人の会社でも、社長本人の資格取得届が必要です。無報酬の役員は被保険者にならないので、その人の分の資格取得届は出しません。
扶養に入れる家族がいる場合は、被扶養者(異動)届もあわせて提出します。
資格取得届の手続きは、「社会保険の資格取得届」のページで解説しています。
書き間違えたまま提出してしまった場合はどうすればいいですか?
不備や記入誤りがあると、届書が返されることがあります。その場合は、誤りを直して再提出します。
受付が済んだ後に誤りに気づいた場合は、直したい項目によって使う届書が違います。
| 直したい項目 | 使う届書 |
|---|---|
| 事業所の名称・所在地 | 適用事業所名称/所在地変更(訂正)届(管轄内・管轄外で様式が違う) |
| 昇給月、賞与支払予定月、現物給与、媒体作成、事業主・電話番号、健康保険組合、法人番号・会社法人等番号、個人・法人等区分、本店・支店区分、内・外国区分 | 事業所関係変更(訂正)届 |
| 業態区分、給与計算の締切日、給与支払日 | 公式の案内が見当たらないため、管轄の年金事務所に確認 |
どの届書を使うか迷う場合は、提出した年金事務所に連絡して確認しましょう。
新規適用届は、記入欄1枚の届書ですが、業態区分や給与の締切日など、会社として決めておかないと書けない欄があります。書き方のポイントは次の3つです。
- 日本年金機構の最新の様式と、事業所業態分類票を使う
- 書く前に、給与の締切日・支払日や、役員・従業員の人数と働き方を決めておく
- 提出前に、①代表者氏名のフリガナと、添付書類(90日以内の登記簿謄本など)を確認する
社労士クラウドのスポット申請代行サービス
社労士クラウドなら、新規適用届と資格取得届などの社会保険の手続きを、顧問契約なしのスポットで依頼できます。
次のような場合は、スポット申請代行の利用も検討してください。
- 設立直後で忙しく、届書を書く時間が取れない
- 業態区分や給与の締切日など、どう書けばいいか迷う欄がある
- 役員だけの会社で、従業員情報の書き方に自信がない
- 記入誤りや添付漏れで差し戻されたくない
- 5日以内の提出期限が近い

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