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月額変更届(給与変更届)を申請しなかったらどうなる?出し忘れた場合の罰則対応方法を解説

「給与変更届(随時改定)をしなかったらどうなるのか」「月額変更届を出し忘れたらどんな影響があるのか」と不安に感じていませんか?

従業員の給与に大きな変動があった際、事業主は速やかに月額変更届を年金事務所に提出する義務があります。この手続きを怠ると、社会保険料の計算が正確に行われず、罰則を受ける可能性や、従業員とのトラブルを招くリスクも考えられます。

特に経理・人事担当者にとっては、月額変更届を適切に提出し、従業員に不利益が生じないようにすることは重要です。

そこで、この記事では、月額変更届の提出義務や、出し忘れた場合のリスクと対応方法について詳しく解説します。社会保険の被保険者である従業員の標準報酬月額に著しい高低が生じる場合の対処法や、必要な書類についても触れています。

事業者が随時改定をしなかった場合のリスクを理解し、手続きを正確に行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。ぜひ最後までお読みいただき、社会保険手続きを適切に行うための参考としてください。

この記事を監修した人

生島社労士事務所代表

生島 亮

いくしま りょう

https://syarou-shi.com/

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随時改定(月額変更)の重要性

随時改定(または月額変更届)は、従業員の報酬に大きな変動があった際に、社会保険料を正しく計算し、適切な金額を徴収するために欠かせない手続きです。 この重要な手続きを怠ると、企業と従業員の双方に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

随時改定が必要となる主な理由は、次の2つです。

  1. 社会保険料の計算基礎となる「標準報酬月額」を、実際の報酬に即して修正するため
  2. 昇給や降給など、固定的賃金の変動を社会保険料に正確に反映させるため

標準報酬月額は、毎月の給与や賞与などを基に算出されますが、実際の報酬と乖離していると、適正な社会保険料を負担できなくなります。

例えば、昇給があった場合、それに応じて標準報酬月額を引き上げ、社会保険料を増額しなければなりません。 逆に、給与が下がった場合は、標準報酬月額を下げることで、過剰な保険料の支払いを防ぐ必要があります。

このように、随時改定は、会社と従業員が公平な社会保険料を負担するために重要な役割を果たしているのです。

しかし、この手続きを怠ると、様々なリスクが生じます。

まず、会社側には、法令違反に問われるリスクがあります。 社会保険料を正しく徴収することは事業主の義務であり、怠ると罰則の対象になることもあるのです。

次に、従業員とのトラブルも懸念されます。 保険料の過不足が発生すると、従業員の将来の年金額などに影響を及ぼしかねません。 場合によっては、従業員から不信感を持たれ、労使関係が悪化する恐れもあります。

さらに、随時改定を後回しにすると、多額の追徴金を一度に支払わなければならなくなり、会社の資金繰りを圧迫するリスクもあります。ちなみに100万円以上年金事務所から納付を求められるケースは非常に多いです。

このように、随時改定は、単なる事務手続きではなく、会社経営に関わる重大な責務と言えるでしょう。社会保険料の支払いで倒産する企業も少なくありません。

従業員の報酬に変化があったら、速やかに随時改定の要否を確認し、必要な手続きを遅滞なく行うことが何より大切です。 そうすることで、社会保険制度への適切な対応を通じ、会社と従業員の利益を守ることができるのです。

生島社会保険労務士
生島社会保険労務士

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随時改定(月額変更届)をしなかった場合の影響や罰則

随時改定(月額変更届)を提出しないことは、社会保険料の適正な徴収を妨げ、様々な問題を引き起こす可能性があります。 ここでは、随時改定を怠った場合に生じうる主な影響や罰則について詳しく解説します。

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法令違反として処罰される可能性

随時改定は、健康保険法や厚生年金保険法で定められた事業主の義務です。 この手続きを怠ると、法令違反として処罰の対象となる可能性があります。

具体的には、故意に手続きを怠った場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることがあります。 たとえ故意でない場合でも、長期間放置していると義務違反とみなされ、罰則を受けるリスクがあるのです。

法令を遵守し、従業員の社会保険を適切に管理することは、経営者の重要な責務と言えるでしょう。

年金事務所から指摘・調査される可能性

随時改定が行われていないと、年金事務所から指摘や調査を受ける可能性があります。 年金事務所は定期的に事業所の社会保険手続きをチェックしており、不備があれば是正を求めてきます。

特に、長期間にわたって随時改定が行われていない場合、詳しい調査が行われることがあります。 その結果、過去の標準報酬月額の見直しや、延滞金を含む保険料の追徴が発生することもよくあります。そして近年特に調査がふえております。

このような事態を避けるためにも、報酬に変動があれば速やかに随時改定の手続きを進めることが賢明です。

従業員とのトラブルにつながる可能性

随時改定を行わないと、従業員との間にトラブルが生じるリスクがあります。従業員の給与が昇給しても、その変動が社会保険料に反映されなければ、従業員が将来受け取る年金や給付額に影響を及ぼす可能性があるためです。適正な保険料が支払われていないと、退職後や年金受給の際に予想していた金額を受け取れないことが判明し、企業に対する不信感が生じる原因となります。

さらに、過去に遡って社会保険料を徴収する必要がある場合、従業員に対して追加で保険料を請求しなければならないケースも考えられます。これは従業員にとって予期せぬ負担となり、信頼関係が損なわれる可能性があります。また、等級の変更による過不足が発生すると、企業側にも追加の手続きが生じ、事務負担が増えるだけでなく、従業員との間でトラブルに発展するリスクが高まります。

こうした事態を防ぐためにも、随時改定を忘れずに行い、従業員の給与変動を適切に社会保険料へ反映させることが重要です。

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社会保険料の未収や過払いが発生する可能性

随時改定を行わないと、社会保険料の未収や過払いが発生し、会社の財務にも影響を及ぼしかねません。

給与の変動を反映せずに社会保険料を納付し続けると、本来納めるべき金額とのずれが生じます。 後になって多額の追徴金を請求されれば、会社の資金繰りを圧迫するリスクがあります。

一方、過剰に納付していた場合は、還付を受けられるとはいえ、一時的な資金の流出は避けられません。

このように、随時改定は、会社の財政状態を健全に保つ上でも欠かせない手続きなのです。

随時改定は、単なる事務手続き以上に、会社経営に深く関わる重要事項です。 報酬の変動にいち早く対応し、適正な社会保険料の納付と従業員の福利厚生の両立を図ることが、経営者の責務と言えるでしょう。

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月額変更届を出し忘れた場合の対応方法

月額変更届(随時改定)の提出を失念してしまった場合、速やかな対応が求められます。 放置すれば、様々な問題を引き起こしかねません。 ここでは、出し忘れに気づいた際の具体的な対応方法を解説します。

年金事務所に連絡し、速やかに月額変更届を提出する

月額変更届を出し忘れたことに気づいたら、まずは年金事務所に連絡しましょう。状況を説明し、速やかに月額変更届を提出するための手続きを開始します。この届出は、報酬の変動に伴い社会保険料を正しく計算するために必要な重要な書類です。提出が遅れると、従業員や企業の負担する保険料に誤差が生じる恐れがあります。

過去に遡って報酬の変動があった場合は、遡及して保険料を再計算する必要があります。この場合も、年金事務所と相談し、適切な遡及手続きを進めることが重要です。速やかに対応することで、罰則やトラブルを未然に防ぐことができます。

さらに、報酬変更から長期間が経過している場合には、遅延理由書の提出を求められることがあります。遅延理由書には、提出が遅れた理由や対象となる被保険者の情報を正確に記載し、月額変更届と一緒に年金事務所に提出しましょう。

従業員への対応

月額変更届を出し忘れた場合、従業員への適切な対応も重要です。特に、報酬の変動に応じた社会保険料が正しく反映されていなかった場合、従業員からの信頼を損なう恐れがあります。従業員に対して、どのような理由で届出が遅れたのかを誠実に説明し、今後どのような対応をするかを明確に伝えることが大切です。

また、場合によっては過不足の保険料が発生する可能性があり、その際には適切な精算手続きを行い、従業員への影響を最小限に抑えることが求められます。誠実な対応を心掛けることで、従業員との信頼関係を維持し、トラブルを防ぐことができます。

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月額変更届の提出が必要になるタイミング

月額変更届(随時改定)は、従業員の報酬に大きな変動があった場合に提出が義務付けられています。具体的には、以下の3つの要件をすべて満たす場合に必要です。

  1. 昇給や降給により固定的賃金に変動があった場合
  2. 変動月からの3か月間の報酬の平均額が、現在の標準報酬月額と比較して2等級以上の差がある場合
  3. その3か月間のすべてにおいて、支払い基礎日数が17日(短時間労働者は11日)以上である場合

※固定的賃金とは、基本給や役職手当などの毎月固定で支払われる賃金のこと。

上記3つの条件が揃った場合、企業は速やかに管轄の年金事務所に月額変更届を提出する必要があります。

特に注意すべきは、昇給や降給などの給与変動があった際には、変更後の報酬を受け取った月から4か月目までに手続きを完了することです。たとえば、4月に昇給があった場合、7月までに改定が適用されるため、それまでに提出を完了させましょう。

もし提出を怠ると、本来の社会保険料との差額が発生し、従業員や企業に不利益が生じるリスクがあります。

月額変更届(随時改定)のことでよくある質問

月額変更届(随時改定)の手続きについて、よくある質問にお答えします。 特に、提出を忘れてしまった場合の対処方法や影響について、詳しく解説します。

出し忘れた場合、いつまで遡及適用されるの?

月額変更届の提出を失念してしまった場合、遡及適用が可能な期間が気になるところです。 結論から言うと、原則として過去2年分まで遡って適用することができます。

この期間は、健康保険法と厚生年金保険法に基づいて定められています。 つまり、2年以上前の月額変更については、遡って標準報酬月額を改定することはできないのです。

ただし、この2年の期間は、事業主が月額変更届を提出すべきだった日から起算されます。 例えば、2023年4月に昇給があったにもかかわらず、届出を忘れていたことが2025年6月に発覚した場合、2023年5月までさかのぼって標準報酬月額を改定できます。

したがって、月額変更届の提出漏れに気づいたら、速やかに年金事務所に相談し、できる限り早期に届出を行うことが大切です。 これにより、従業員の社会保険料や将来の年金額に不利益が生じるリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

出し忘れた場合、年末調整に影響する?

月額変更届の提出漏れは、社会保険料の計算に誤りを生じさせるため、年末調整にも影響を与える可能性があります。

年末調整では、1年間の社会保険料の控除額を計算し、過不足額を精算します。 しかし、月額変更届が提出されていないと、正しい標準報酬月額に基づいた計算ができません。

その結果、本来控除されるべき社会保険料が控除されなかったり、逆に過剰に控除されてしまったりするケースが考えられます。 このような誤りは、従業員の税額に直結する問題です。

特に、遡及して標準報酬月額を改定した場合、過年度分の社会保険料に過不足が生じることがあります。 この場合、年末調整の修正が必要になるため、従業員への丁寧な説明と対応が求められます。

月額変更届の提出漏れを防ぐには、従業員の報酬変動を定期的にチェックし、速やかに届出を行う体制を整えることが重要です。 また、万が一漏れがあった場合は、早期に対処し、年末調整への影響を最小限に食い止めることが肝要と言えるでしょう。

月額変更届は、一見すると単なる事務手続きに思えるかもしれません。 しかし、その影響は社会保険料の適正徴収だけでなく、従業員の税務にも及ぶ重要な届出なのです。 提出漏れのリスクを理解し、確実に手続きを行うことが、企業と従業員の双方にとって大切だと言えます。

標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集

「報酬」・「賞与」にはどのようなものが含まれるか。

「報酬」及び「賞与」は、「労働者が、労働の対償として受けるすべてのもの」と規定されており、労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計に充てられるすべてのものを包含するものです(『健康保険法の解釈と運用』(法研)より)。

具体的事例

①現実に提供された労働に対する対価に加え、給与規程等に基づいて使用者が経常的(定期的)に被用者に支払うものは、「 報酬等」に該当します。労働の提供と対償の支払が時間的に一致する必要はなく、将来の労働に対するものや、病気欠勤中や休業中に支払われる手当であっても労働の対償となり、「報酬等」に該当します。また、雇用契約を前提として事業主から食事、住宅等の提供を受けている場合(現物給与)も「報酬等」に含まれます。

【例】賃金、給料、俸給、賞与、インセンティブ、通勤手当、扶養手当、管理職手当、勤務地手当、休職手当、休業手当、待命手当

②労働の対償として受けるものでないものは、「報酬等」に該当しません。

【例】傷病手当金、労働者災害補償保険法に基づく休業補償、解雇予告手当、退職手当、内職収入、財産収入、適用事業所以外から受ける収入

③事業主が負担すべきものを被保険者が立て替え、その実費弁償を受ける場合、労働の対償とは認められないため、「報酬等」に該当しません。

【例】出張旅費、赴任旅費

固定的賃金の変動が発生した後、3か月以内に再度固定的賃金が変動した場合には、それぞれの固定的賃金変動を随時改定の対象とするか。

それぞれの固定的賃金変動を随時改定の契機として取り扱います。仮に固定的賃金変動が毎月発生した場合には、それぞれの月の賃金変動を契機として、その都度2等級以上の差が生じているかを確認し、随時改定の可否について判断します。なお、2等級以上の差を判断するに当たっては、固定的賃金のみならず、非固定的賃金を含めた報酬月額全体で比較を行います。

まとめ:報酬(給与)変更があったら月額変更届の必要性をすぐに確認する

本記事では、月額変更届(随時改定)について、その重要性や提出が必要となるタイミング、出し忘れた場合の影響や対応方法など、様々な観点から詳しく解説してきました。

ここで改めて強調したいのは、従業員の報酬に変更があった際は、月額変更届の提出要件を速やかに確認し、必要な手続きを迅速に行うことが非常に重要だということです。

月額変更届は、社会保険料を適正に計算し、従業員の社会保障を守るために欠かせない手続きです。 この届出を怠ると、法令違反に問われるリスクがあるだけでなく、従業員とのトラブルや社会保険料の過不足など、様々な問題を引き起こしかねません。

特に、昇給や降給など、従業員の報酬に大きな変動があった場合は注意が必要です。 変動月から3か月間の平均報酬が、現在の標準報酬月額と2等級以上の差があれば、月額変更届の提出が義務付けられています。

もし、提出し忘れたことに気づいたら、できるだけ早く年金事務所に相談し、指示に従って手続きを進めましょう。 遅延理由書の提出や、遡及適用の可否など、状況に応じた対応が求められます。

従業員の給与計算を担当する人事・経理部門の方は、報酬の変更をいち早くキャッチし、月額変更届の提出要否を確認する体制を整えておくことが大切です。 定期的に社会保険の実務知識を学び、法改正にも対応できるよう備えておくことをおすすめします。

月額変更届は、一見すると煩雑な手続きに思えるかもしれません。 しかし、それは従業員の社会保障を守り、企業を法的リスクから守るための重要な届出なのです。

従業員の報酬に変更があったら、まずは月額変更届の提出要件を確認すること。 これを徹底することが、社会保険の適正な運用と、従業員の福利厚生の向上につながるのです。

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