毎年、多くの労働関連の法令や社会保険の法改正がありますが、事業主のみなさんがタイムリーに、且つ全てをもれなく把握し対応することは本当に大変ですね。しかし法改正の連絡は余裕をもって行政からあらゆる方法で通知されていますので、知らなかったは当然通用しませんよね。
どのようなものが今後改正となるのか、その内容と必要となる対応について、まずは一緒に点検して参りましょう。
2024年度4月以降施行の法改正について、専門家である社会保険労務士が解説いたします。
生島社労士事務所代表
生島 亮
いくしま りょう
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労働基準法
- 労働条件の明示事項の追加
- 建設業、自動車運転、医師に対する時間外・休日労働の上限規制の適用
- 裁量労働制の見直し
労働基準法・職業安定法
- 求人募集時の明示事項の追加
障害者雇用促進法
- 法定雇用率の変更・対象事業主の範囲の変更、障害者雇用カウント方法の変更
厚生年金保険法
- パート・アルバイト等の短時間労働者の社会保険適用拡大 ※2024年10月より
労働保険の保険料の徴収等に関する法律
- 労災保険算出に用いる労災保険率の改訂等
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人を雇用した際には労働基準法第15条に定められた内容を、契約締結時に明示しなければならないというルールがありますが、その明示すべき事項に追加があります。詳しくはこちらのコラムで紹介しておりますので、ご参照ください。
本件は2024年4月1日施行の法改正ですが、対象となるのは「2024年4月1日以降に締結される雇用契約」ですので、例えば2024年4月1日入社の方で2023年3月に雇用契約を締結している場合については、今回の対象とはなりません。また、すでに雇い入れている従業員に対して、新たな項目を追加して再度労働条件を通知することも不要です。
労働条件の明示は、対象となるのは正社員、アルバイト、パートなど雇用区分に関わらず、雇用関係のあるすべての従業員が対象となっています。
社会保険の適用事業所に対して行う調査があります。この場合は、
・新規に社会保険に加入した後に行われるもの
・すでに適用済み事業所へ定期的に行われるもの
とあります。
未適用の事業所(加入していない事業所)への調査もあります。
人を雇用した際には労働基準法第15条に定められた内容を、契約締結時に明示しなければならないというルールがありますが、その明示すべき事項に追加があります。詳しくはこちらのコラムで紹介しておりますので、ご参照ください。
本件は2024年4月1日施行の法改正ですが、対象となるのは「2024年4月1日以降に締結される雇用契約」ですので、例えば2024年4月1日入社の方で2023年3月に雇用契約を締結している場合については、今回の対象とはなりません。また、すでに雇い入れている従業員に対して、新たな項目を追加して再度労働条件を通知することも不要です。
労働条件の明示は、対象となるのは正社員、アルバイト、パートなど雇用区分に関わらず、雇用関係のあるすべての従業員が対象となっています。
労働基準法第36条には時間外労働の上限規制が定められており、残業時間の上限は、原則として月45時間以内・年360時間以内とされています。臨時的な特別の事情があり、労使が合意する場合でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内、月100時間未満(休日労働含む)と定められ、これは大企業が2019年4月から、中小企業は2020年4月から施行となっていますが、建設業やトラック・バス・タクシードライバー、医師についてはその業務形態上、すぐに労働時間の上限規制を設けることは難しいため、一定の期間を猶予期間とすることとなっておりました。
その猶予期間が終わり、いよいよ2024年4月からは、ほかの業種や職種と同様に、時間外労働の上限規制が適用されます。
事業主は時間外・休日労働に関する協定書を労使で締結して、労働基準監督署へ届出をすることで、残業をさせることができます。どういった内容で締結したらいいのかお悩みがある場合は、ぜひ専門家である社会保険労務士へご相談ください。
時間外労働の上限はそれぞれ以下の通りとなります。
・建設業について
原則月45時間以内、年360時間以内
特別条項(臨時的な特別の事情があり、労使が合意する場合)
年720時間以内、複数月平均80時間以内、月100時間未満(休日労働含む)、時間外労働が月45時間を超えることが出来るのは年6回
※ただし、災害時における復旧及び復興の事業に限り、2024年4月1日以降も特別条項のうち、複数月平均80時間以内と月100時間未満(休日労働含む)については、適用されません。
・医師について
原則月45時間以内・年間360時間以内
特別条項付きの36協定を締結している場合
月100時間未満(休日労働含む)、年間960時間以内
特例水準の指定を受けた場合は月100時間未満(休日労働含む)、年間1860時間以内
特例水準についてはこちらのコラムでもご紹介しておりますので、ご参照ください。
・自動車運転者
原則月45時間以内・年間360時間以内
特別条項付きの36協定を締結している場合
年間960時間以内
また、厚生労働省より改善基準告示として、以下についても新たに示されています。
トラックドライバー
- 1日の拘束時間は13時間を超えないことを原則とし、最大でも15時間
- 1年・1月の拘束時間は、年3,300時間以内、月284時間以内
- 1日の休憩期間は、11時間以上を基本とし、9時間を下回らない
- 運転時間は2日平均1日9時間以内
バスドライバー
- 1日の拘束時間は13時間を超えないことを原則とし、最大でも15時間
- 1年・1月の拘束時間は、年3,300時間以内、月284時間以内
- 1日の休憩期間は、11時間以上を基本とし、9時間を下回らない
- 運転時間は2日平均1日9時間以内
タクシードライバー(日勤のドライバーの場合)
- 1日の拘束時間は13時間を超えないことを原則とし、最大でも15時間
- 1月の拘束時間は、月284時間以内
- 1日の休憩期間は、11時間以上を基本とし、9時間を下回らない
労働基準法第38条の3に定められている専門業務型裁量労働制、および労働基準法第38条の4に定められた企画業務型裁量労働制を導入している、または今後導入をしたいと考えている事業主の方が対象となります。
・専門業務型裁量労働制とは、業務の性質上、その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量に委ねる必要があるため、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し事業主が具体的な指示をすることが困難なものとして定められた20の業務の中から、対象となる業務等を労使協定で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使協定であらかじめ定めた時間労働したものとみなす制度です。
これはで専門業務型裁量労働では本人の同意が不要でしたが、今回の改正により同意を得ることが必要となりました。今回の法改正で対応をしなければならないのは以下となります。
労使協定に以下を追加
①裁量労働制の適用について本人の同意を得ること
②同意をしなかった場合に不利益な取り扱いをしないこと
③同意撤回の手続き、同意と同意の撤回に関する記録を保存すること
・企画業務型裁量労働制とは、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査および分析の業務で あって、業務の性質上、これを適切に遂行するには、その遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、業務遂行の手段や時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務等について労使委員会で決議し、労働基準監督署長に決議の届出を行い、労働者を実際にその業 務に就かせた場合、労使委員会の決議であらかじめ定めた時間労働したものとみなす制度です。
今回の改正では、労使委員会運営規定の内容追加などがあり、対応しなければならないことは以下となります。
労使委員会の運営規程に以下を追加
①労使委員会に対象労働者に適用される賃金・評価制度の内容について説明すること
②労使委員会は制度の実施状況の把握と運用の改善を行うこと
③労使委員会の開催頻度を6ヶ月以内ごとに1回とすること
2024年4月1日以降、新たに、または継続して裁量労働制を導入するためには、裁量労働制を導入するすべての事業場で労働基準監督署に協定届・決議届を行う必要があります。継続導入する事業場では2024年3月末までに届出を行う必要があります。
労働基準法第15条労働条件の明示の法改正と同様に、職業安定法施行規則も改正となります。職業紹介事業者だけでなく、自社における求人募集時の明示事項が追加となっております。
- 従事すべき業務の変更の範囲
- 就業場所の変更の範囲
上記①②は将来の配置転換など今後の見込みを含め、労働契約期間中の変更の範囲を明示すること
- 有期労働契約を更新する場合の基準
契約更新の有無、更新基準、通算契約期間または回数の上限
自社サイトなどに求人を掲載している場合は対応が必要となります。
障害に関係なく、希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる「共生社会」実現の理念の下、全ての事業主に、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります(障害者雇用促進法第43条)。今回の改正では、以下が実施されます。
・障害者の法定雇用率の引き上げ
2024年4月より、民間企業の法定雇用率は2.5%へと引き上げられます。それにより、障害者を雇用しなければならない対象事業主はこれまでの43.5人以上(常時雇用する労働者数)から40人以上となり、対象事業主が拡大となっております。
・障害者雇用における障害者の算定方法が変更となります。 週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者および重度知的障害者について、雇用率上、0.5カウントとして算定できるようになります。
短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の規模要件について、すでに2022年10月からは101~500人が適用となっていましたが、2024年10月より51~100人へ適用拡大となります。
対応する必要がある事業主は、以下となります。
・1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる「特定適用事業所」であること。
特定適用事業所に勤務する以下の条件にすべて該当するパートやアルバイト等の短時
間労働者は社会保険へ加入させなければいけません。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 所定内賃金が月額8.8万円以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
社会保険の加入条件など詳しい情報はこちらのコラムでご紹介しております。ご確認ください。また、要件に該当するかどうかなど、正しく状況を判断したい場合は、専門家である社会保険労務士へぜひご相談ください。
労災保険料を算出する際の料率について2004年4月1日施行予定の法改正があります。
改定予定は主に以下3つとなります。
- 労災保険率が業種平均で0.1/1000引き下げとなります。(4.5/1000→4.4/1000)全54
業種中引き下げが17業種、引き上げが3種、それ以外は昨年と同様となります。
- 一人親方などの特別加入に関わる第二種特別加入保険料が改定となります。
全25区分中、引き下げとなるのが5区分です。
- 請負による建設の事業に関わる労務費率(請負金額に対する賃金総額の割合)が改定
となります。 労災保険料については業種によりその料率が細かく決められています。ご自身が該当する業種の料率に改定があるかどうかを確認しましょう
社会情勢や技術の進歩、世の中の変化などの現代の実情に法律を対応させるために、法改正は行われます。様々な統計データや有識者会議を経て国会議員や内閣がその内容を作成し、国会に提出します。委員会や国会での審議を経て可決されると法律が改正されることとなります。
法改正に対応するということは、現代の実情にあった対応をすることと言えます。例えば育児休業法の改正などがそれにあたります。要は、法改正に対応していない事業所は、現代の労働者の働き方のニーズに対応できていないとも言えるのではないでしょうか。
法改正は毎年と言っていいほど行われており、また、その中身も複雑化、難解化を極めており、対応することが本当に大変です。また、経過措置など特例的なものも存在するため、「どこまで対応したのかわからなくなった」という事業主のお声もよく耳にします。
御社の現状を把握し、必要な対応があるのかどうか、ある場合は何をしたらいいのかをお知りになりたい場合は、ぜひ専門家である社会保険労務士へご相談ください。ご状況を丁寧にお伺いし、必要な手続きのみ対応させていただくスポット契約も大変便利で好評です。一度、活用してみませんか?いつでもご相談をおまちしております。
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