労働保険(労災保険と雇用保険)の年度更新は、従業員を雇用している事業主が毎年必ず行わなければならない重要な手続きです。
しかし、日々の業務に追われる中で手続きを後回しにしたり、うっかり忘れてしまったりするケースも珍しくありません。さらに、手続きを怠ると、延滞金や追徴金といった経済的なペナルティだけでなく、助成金の受給不可、企業の信用低下など、事業運営に重大な影響を及ぼすリスクがあります。
この記事では、年度更新の申告・納付期限を過ぎた場合の影響や、遅れてしまった場合の具体的な対応方法を詳しく解説します。また、手続きをスムーズに進めるためのポイントについてもご紹介します。
この記事を参考に、確実に年度更新を行い、不要なトラブルを回避しましょう。
生島社労士事務所代表
生島 亮
いくしま りょう
https://sharoushi-cloud.com/社会保険手続きの自動販売機|全国のあらゆる社会保険手続きと労務相談を「顧問料なしのスポット」で代行するWebサービス【社労士クラウド】の運営者|懇切丁寧 ・当日申請・フリー価格・丸投げOK| 1,800社以上の事業主様や顧問先の社保周りを解決されたい士業の先生にご利用頂いており、顧問契約も可能です|リピーター率8割以上
労働保険料の年度更新とは、事業主が前年度(毎年4月1日から翌年3月31日まで)に支払った労働者の賃金を基に、労災保険料と雇用保険料を確定し、新年度の概算保険料を算定・申告・納付する手続きです。これは、従業員を雇用する事業主に課せられた毎年必須の義務です。
労働保険料は原則として前払い制であり、年度更新によって前年度の保険料の過不足を精算します。例えば、払い過ぎた保険料は還付され、不足分については追加納付が必要です。また、今年度に廃業して保険関係を廃止した場合や、現在従業員を雇用していなくても今後雇用予定がある場合も、年度更新手続きを行う必要があります。
申告・納付の期限は例年6月1日から7月10日まで(土日祝日を除く)と設定されています。この期限を過ぎてしまうと、政府による保険料の強制決定や追徴金の発生といったリスクがあります。そのため、期間内に確実に手続きを済ませることが重要です。
次項では、申告手続きや期限超過時の影響について詳しく解説します。
労働保険の年度更新とは?手続き方法や対象期間、申告書作成時の注意点をわかりやすく解説
労働保険の年度更新を期限内に申告しなかった場合や、保険料の納付が遅れた場合、事業主にはさまざまな影響が生じます。これには、延滞金や追徴金の発生だけでなく、助成金の申請資格喪失や取引先への信用低下といったリスクも含まれます。
さらに、最悪の場合には行政指導や法的処分の対象となる可能性もあります。
こうしたリスクを防ぐためには、申告・納付期限の重要性を理解し、適切に対応することが不可欠です。以下では、期限を過ぎた場合に考えられる具体的な影響について詳しく解説します。
追徴金が科される
労働保険料を「納期限」(通常の期限または督促による指定期限)までに完納しない場合、延滞金が課されます。この延滞金は、法定納期限の翌日から納付されるまでの日数に応じて計算され、保険料額に年率14.6%(最初の2か月間は軽減措置あり)を乗じて算出されます。延滞金は税務申告上の経費として扱えないため、企業にとってはさらに負担が大きくなります。
また、督促を受けた後の指定期限までに納付を完了しない場合、さらに追徴金が発生する可能性があります。このような延滞金や追徴金は、未納期間が長引くほど金額が増え、企業の財務負担が大きくなるため注意が必要です。
労働保険料の納付期限を守ることは、延滞金の発生を防ぎ、企業の信用を維持するためにも重要です。期限内に手続きを完了するよう計画的な準備を心がけましょう。
延滞処分が行われる
労働保険保険料の納付期限を大幅に超過した場合、労働基準監督署からの延滞処分を受けることがあります。この処分には、事業所への調査指導や是正指導が含まれ、違反が重大であると判断された場合には、罰金や追加費用が課される可能性もあります。
延滞処分には以下の段階があります。
- 督促状の送付
納付期限を過ぎても保険料が納付されない場合、まず「督促状」が送付されます(労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第27条、国税通則法 第37条)。督促状を受け取った場合は、速やかに対応することが重要です。 - 財産調査の実施
督促状の送付後も納付が確認できず、相談もない場合には、金融機関や取引先、法務局、市町村などを通じて「財産調査」が行われます(国税徴収法 第141条)。これにより、事業主の資産状況が確認されます。 - 財産差し押さえ
財産調査の結果、納付の意思が見られない場合、未納の保険料に相当する債権(預金、売掛金など)や不動産が「財産差し押さえ」の対象となります(国税徴収法 第47条)。これは滞納金の強制回収を目的とした最終手段です。
延滞処分に至ると、事業の運営に深刻な影響を与える可能性が高まります。こうしたリスクを回避するためには、早期に納付を行い、万が一遅れた場合でも速やかに関係機関に相談することが重要です。
給付額の40%相当額を限度に費用が徴収される
事業主が労働保険料を滞納している間に、従業員が業務上または通勤途中で負傷し労災保険の給付を受けた場合、その給付額の40%を上限とする費用が事業主に請求される場合があります。これは「費用徴収」と呼ばれ、労働者災害補償保険法第31条(第1項第2号)に基づく措置です。
給付額が大きくなるほど事業主の負担額も増え、場合によっては数百万円規模の請求が発生することもあります。特に、大規模な労災事故が発生した場合には、財務面での影響が非常に大きくなる可能性があります。
滞納中の労働保険料に加え、給付に伴う費用徴収が課されることで、事業主の負担はさらに増大します。このようなリスクを避けるためにも、労働保険料の適時納付と年度更新手続きの確実な実施が不可欠です。
雇用に関する助成金が受けられない
労働保険料を滞納している事業主は、キャリアアップ助成金の正社員化コースなどをはじめとする雇用に関連する各種助成金の支給対象外となる可能性があります。この措置は、雇用保険法第62条に基づき、雇用保険料を財源とする助成金の適正な運用を確保する目的で設けられています。
助成金は、事業の安定運営や従業員の定着、新規採用の推進、人材育成を支える重要な財源です。しかし、労働保険料を滞納することで、これらの支援が受けられなくなり、採用計画が遅れるだけでなく、経営の停滞や事業拡大の妨げになるリスクがあります。
入札資格などに必要な納入証明書が発行されない
公共事業や自治体の入札に参加する際には、「労災・雇用保険料納入証明書」の提出が求められることが一般的です。この証明書は、労働保険料が未納でないことを証明する重要な書類です。
しかし、労働保険料を完納していない場合には、この納入証明書が交付されません。その結果、入札参加資格を失ったり、経営事項審査(建設業における評価制度)を受けられなくなったりするリスクがあります。これにより、新規案件の受注が困難になるだけでなく、事業の信頼性や成長機会を大きく損なう可能性があります。
従業員とのトラブルにつながる可能性
労働保険料の未納は、従業員が雇用保険給付を受ける際に大きな影響を与える場合があります。例えば、失業手当や育児休業給付の申請時に問題が発生し、支給が遅れる、または受給資格を満たさないと判断されるリスクがあります。こうした状況は、従業員との信頼関係を損なう原因となり、トラブルや不満を引き起こす可能性が高まります。
特に、未納の事実が周知されると、労働条件や企業体制への不安が従業員の間で広がり、士気の低下や離職率の増加を招く恐れもあります。このような問題は、企業のイメージダウンや採用活動への悪影響にもつながります。労働保険料の適切な納付は、従業員の福利厚生を守り、企業の健全な運営を維持するためにも欠かせない要素です。
会社の信用に影響を与える
労働保険の年度更新を期限内に行わず、未申告や未納の状態が続くと、取引先や金融機関からの信用を損なう可能性があります。特に、金融機関との取引においては、労働保険料の適切な納付は企業の信用力を示す重要な要素とされます。このような状況が信用情報に影響を及ぼすと、融資審査で不利な扱いを受けたり、取引条件が厳しくなったりするリスクが高まります。
また、公共事業への参加や自治体の入札においても、労働保険料の納付証明書が必要となる場合が多く、未納状態が判明すれば入札資格を失うことにもつながります。これにより、新規契約の機会を逸するだけでなく、既存の取引先から信頼を失い、事業の継続性に重大な影響を及ぼす可能性があります。
適切な労働保険手続きは、取引先や金融機関からの信頼を維持し、健全な経営基盤を支えるための必須条件です。
年度更新の申告期限を過ぎてしまった場合は、速やかな対応が求められます。放置すると延滞金や追徴金が発生するだけでなく、事業運営や従業員の保障にも悪影響を及ぼす可能性があります。
以下では、具体的な対応方法について解説します。
速やかに管轄の労働基準監督署へ連絡する
申告期限を過ぎた場合、最初に行うべき対応は、速やかに管轄の労働基準監督署へ連絡することです。労働基準監督署では、遅延の状況に応じた具体的な指示や必要な書類の案内を受けることができます。
特に、申告が遅れた理由が正当である場合、担当者と相談しながら適切な対応を進めることで、追徴金や延滞金といったリスクを軽減できる可能性があります。早急に状況を説明し、指示を仰ぐことが重要です。
問い合わせの際は、事業所番号や過去の申告内容が記載された書類を手元に準備しておくと手続きがスムーズになります。また、申告期限を過ぎても迅速に対応すれば、延滞金や追徴金を最小限に抑えることができるため、申告を忘れていることに気がついたら早めの行動を心がけてください。
速やかに申告書を作成・提出し、納付を行う
申告期限を過ぎた場合、次に重要なのは速やかに申告書を作成し提出することです。申告書には、前年度の確定保険料と新年度の概算保険料を計算し、正確に記入する必要があります。計算に不安がある場合は、管轄の労働基準監督署や社労士に相談しながら進めると安心です。
申告書を提出した後は、納付期限を確認し、速やかに保険料を支払うことが求められます。保険料の納付は、銀行やコンビニエンスストアのほか、電子納付も利用可能です。特に電子申請や電子納付は手続きが効率化され、ミスを防ぎやすく、時間の短縮にもつながるため非常に便利です。
迅速な提出と納付は、延滞金や追徴金の発生を防ぐだけでなく、事業運営におけるリスクを最小限に抑えるための最善策です。
詳しくは事項の「労働保険の年度更新を申告・納付する流れ」で解説しています。
必要に応じて社労士に相談する
労働保険の手続きに不慣れな場合や、計算が複雑で困難な場合は、社労士に相談することを検討してください。社労士は、申告書の作成や正確な計算をサポートする専門家です。また、必要に応じて労働基準監督署とのやり取りを代行してもらうことも可能です。
特に年度更新の遅れが事業運営に影響を及ぼす場合、専門家の力を借りることで迅速かつ正確に対応できます。社労士との相談には、事業所番号や過去の申告書類などを用意して臨むとスムーズです。
遅れた場合の問い合わせ先
対応の遅れがリスクの拡大につながるため、迅速に適切な窓口へ問い合わせることが重要です。以下は、状況に応じた主な問い合わせ先です。
- 管轄の労働基準監督署
年度更新の申告手続きや必要書類について、直接案内を受けることができます。最寄りの監督署の所在地や連絡先は、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。 - 都道府県労働局
特殊な事例や追加の確認事項がある場合には、都道府県労働局が適切な窓口となります。特に広域にわたる事業所や複雑な手続きが必要な場合に相談することをおすすめします。 - ハローワーク
雇用保険に関する手続きや質問がある場合は、ハローワークが対応窓口となります。未納や申告遅延が雇用保険給付に影響を及ぼす可能性がある場合、早急に相談してください。
問い合わせの際は、事業所番号や未提出の申告内容がわかる書類を準備し、具体的な状況を正確に伝えることがスムーズな対応につながります。適切な窓口へ早めに連絡を取り、迅速な解決を目指しましょう。
労働保険の年度更新の手続きは、労働保険料の計算、申告書の作成・提出、そして保険料の納付という3つのステップで構成されます。
以下では、それぞれのステップを詳しく解説します。
前年度の確定保険料と今年度の概算保険料を計算する
労働保険料の計算は、年度更新手続きの最初に行うステップです。
以下の3つの手順で、前年度の確定保険料と今年度の概算保険料を算出します。
- 前年度の確定賃金総額を集計する
前年度(昨年4月から今年3月までの1年間)に従業員へ支払った賃金総額を正確に集計します。賃金には、基本給、残業代、各種手当が含まれます。 - 前年度の確定保険料を算出する
集計した前年度の賃金総額を基に、法定の保険料率を適用して確定保険料を計算します。この金額は、実際の保険料負担額を確定させるための基準となります。 - 今年度の概算保険料を算出する
今年度(今年4月から翌年3月までの1年間)の予想される賃金総額を見積もり、同じく保険料率を用いて概算保険料を計算します。この金額は、年度内に支払うべき保険料として扱われます。
保険料の計算には、賃金台帳や給与明細といった正確なデータが必要です。不明点やミスが生じないよう、必要に応じて社労士に確認することをおすすめします。
「労働保険 年度更新申告書計算支援ツール(賃金集計表)」を活用すれば、前年の賃金総額を簡単に集計でき、計算ミスを防ぐことが可能です。このツールを利用することで、労働保険料の算出から申告書作成まで効率的に進められます。
以下の記事で年度更新申告書計算支援ツールの使い方とダウンロード先を解説しています。
⇒【社労士監修】年度更新申告書計算支援ツール・入力ガイドの使い方
申告書を作成・提出する
保険料の計算が完了したら、次に行うのは申告書の作成です。この申告書には、前年度の確定保険料と今年度の概算保険料を正確に記入します。
具体的には、以下の内容を記載する必要があります:
- 前年度の賃金総額と確定保険料
前のステップで集計したデータをもとに、確定保険料を正確に記入します。 - 今年度の概算保険料
今年度の予想賃金総額をもとに算出した概算保険料を記載します。 - 昨年度の概算保険料との差額
昨年度に申告した概算保険料額との差額を計算し、精算額として反映します。
申告書の提出方法には、電子申請と郵送、窓口があります。ただ、期限が過ぎている場合は、管轄の労働基準監督署に提出方法を確認してください。
保険料の計算方法や申告書の記入例についてさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
労働保険年度更新申告書の書き方を記入例付きでわかりやすく解説
労働保険料を納付する
申告書を提出した後は、保険料の納付を行います。納付方法には、金融機関の窓口、口座振替、電子納付などがあり、事業所の状況に応じて選択可能です。ただし、納付期限を過ぎている場合は、まず管轄の労働基準監督署に相談し、適切な納付方法を確認してください。
納付期限を過ぎると延滞金が発生するため、速やかに支払いを完了させることが重要です。特に延滞期間が長引くほど、追加の負担が大きくなるため注意が必要です。
納付後には納付証明書を取得しておくことをお勧めします。これは、後日入札や助成金申請などの際に求められる場合があるため、事業運営をスムーズに進めるためにも大切な手続きとなります。
年度更新の手続きを円滑に進めるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。ここでは、期限を守り、余計なトラブルを防ぐための具体的な対策を解説します。
申告・納付期限のスケジュール表を作成しておく(リマインダー)
労働保険の年度更新の手続きでは、例年5月下旬から6月初旬に、管轄の労働基準監督署または都道府県労働局から緑色または青色(または両方)の封筒が事業所宛に送付されます。この封筒には、年度更新に必要な申告書類や案内が同封されていますので、到着後すぐに内容を確認してください。
申告書類の提出期間は、通常6月1日から7月10日までですが、初日が土日祝日と重なる場合は翌営業日から開始されます。そのため、これらの期限を見逃さないために、スケジュール表を作成し、リマインダー機能を活用することが有効です。
例えば、カレンダーアプリや専用のタスク管理ツールに期限日を登録し、数日前に通知が届くよう設定しておけば、手続き忘れのリスクを軽減できます。また、リマインダーを作成しておくことで、仮に申告書類が届いていない場合にも、早めに管轄の労働基準監督署へ問い合わせるなど、迅速な対応が可能になります。
さらに、スケジュール表には、書類の準備や計算作業など、各ステップの締切日を具体的に記載することで、作業漏れや遅延を防ぎやすくなります。年度更新の手続きを円滑に進めるためには、こうした事前の計画と管理が欠かせません。特に多忙な時期に差し掛かる事業所では、リマインダーの活用が効果的です。
事前に必要な書類の準備や保険料の計算を済ませておく
年度更新では、賃金台帳や給与明細を基に保険料を計算します。事前に必要書類を整理し、前年度の確定保険料と今年度の概算保険料を算出しておくことで、申告書の作成がスムーズになります。
手続き期間の6月1日から7月10日は労働基準監督署が混み合うため、5月のゴールデンウィーク明けに準備を始めるのがおすすめです。賃金台帳の内容を確認し、不備があれば修正しておきましょう。
さらに、給与計算後に毎月賃金総額を集計しておくと、通知後の対応が簡単になります。不明点があれば、社労士や労働基準監督署に相談するのも有効です。早めの準備が手続きの円滑化につながります。
社労士に申告代行を依頼する
社会手続きが複雑で負担を感じる場合は、社会保険労務士(社労士)に申告代行を依頼するのが効果的です。社労士は保険料の正確な計算や申告書の作成、労働基準監督署とのやり取りを代行する専門家であり、手続きのミスや遅れを防ぐ助けとなります。
特に、年度更新が初めての方や業務が忙しく時間を確保しづらい場合には、プロのサポートを受けることで効率よく進められます。依頼時には、賃金台帳や給与明細などの必要書類を事前に準備しておきましょう。
また、最近では顧問契約なしでスポット(単発)対応をお手頃な価格で提供するサービスや社労士事務所が増えています。その中でも、社労士クラウドは業界最安値で代行依頼が可能です。
社労士クラウドでは、労働保険の年度更新における申告書の作成や提出代行を、社労士との顧問契約なしでスポット契約にてご利用いただけます。
⇒労働保険の年度更新のスポット提出代行の料金を確認する
労働保険料の申告や納付に関するよくある質問をまとめました。手続きの参考にしてください。
延滞金はいつから発生しますか?
延滞金は、法定納期限を過ぎた翌日から発生します。具体的には、次の条件に該当する場合に延滞金が課されます。
- 法定納期限を過ぎても納付していない場合
- 発行された督促状の指定期限を過ぎても納付していない場合
延滞金は、年14.6%(1日あたり0.04%)の割合で計算されます。ただし、最初の50日間は軽減措置として年7.3%(1日あたり0.02%)の割合が適用されます。延滞金の計算では、以下のルールが適用されます。
- 労働保険料に1,000円未満の端数がある場合は切り捨て
- 計算後の延滞金額に100円未満の端数がある場合は切り捨て
以下の条件を満たす場合、延滞金は徴収されません。
- 督促状の指定期限までに完納した場合
- 督促対象の労働保険料が1,000円未満の場合
- 計算された延滞金が100円未満の場合
- 天災や災害など、不可抗力によるやむを得ない理由で納付できない場合
- 納付義務者の住所不明により掲示督促が行われた場合
延滞金の詳細や具体的な計算方法については、厚生労働省の公式ページや管轄の労働基準監督署に問い合わせて確認しましょう。また、場合によっては分割納付の相談も可能です。早めの対応で負担を最小限に抑えることが重要です。
労働保険では末締め翌月払いの給与の取扱いとは?
末締め翌月払いの給与は、「支払日」ではなく「賃金締切日(支払い確定日)」を基準に集計されます。たとえば、3月末締めで4月20日に支払われる給与は、3月分として前年度の賃金総額に含まれます。このルールは、年度更新の対象期間である前年度の4月1日から3月31日までの確定保険料や、今年度の概算保険料の計算に適用されます。
例えば、令和7年3月末締めで令和7年4月20日に支払われた給与の場合、令和6年度(令和6年4月1日〜令和7年3月31日)の対象となります。
労働保険料を3回分割納付にした場合の支払い時期は?
労働保険料は原則として一括納付ですが、概算保険料が40万円以上(または片方の保険料が20万円以上の場合)の場合、延納(分割納付)を選択することが可能です。
延納を利用する際は、申告書の該当欄に分割納付の希望を記載し、以下のスケジュールで支払います。
納付期限は以下の通りです。
納付期別 | 全期(第1期) | 第2期 | 第3期 |
納付期限 | 7月10日 | 10月31日 | 1月31日 |
口座振替納付期限 | 9月6日 | 11月14日 | 2月14日 |
各期の納付期限を厳守することが求められます。納付期限を過ぎると延滞金が発生する可能性があるため、カレンダーアプリなどを活用して期限を管理しましょう。また、分割納付の詳細や申請手続きについては、労働基準監督署や厚生労働省の案内を確認してください。
労働保険の年度更新は、企業が法令を遵守し、従業員の雇用保険や労災保険の適正な運用を維持するための重要な手続きです。期限を過ぎてしまうと、延滞金や追徴金が課されるほか、助成金の受給が難しくなる場合や、企業の信用を損なうリスクがあります。
特に、中小企業では日々の業務に追われ、手続きが後回しになることも少なくありません。しかし、年度更新の手続きは、事前の準備と期限管理を徹底することでスムーズに進めることが可能です。カレンダーやタスク管理ツールを活用し、スケジュールを計画的に立てることで、提出忘れを防ぎましょう。
また、手続きが煩雑で不安がある場合は、社会保険労務士(社労士)のサポートを活用することも選択肢の一つです。スポット対応で手頃な価格の代行サービスを提供する社労士事務所も増えていますので、必要に応じて依頼を検討してください。
年度更新の手続きを適切に行うことで、法的リスクを回避し、企業運営を安定させることができます。確実な対応を心がけ、次回以降の手続きにも役立てていきましょう。
全国のあらゆる社会保険手続きと労務相談を「顧問料なしのスポット」で代行するWebサービス【社労士クラウド】
懇切丁寧 ・当日申請・全国最安値価格| 1,800社以上の社会保険手続き実績|