数年前から行政サービスも様々なデジタル化が進んでいますが、事業主のみなさんにとって身近なものは、マイナンバーカードにおける健康保険証利用ではないでしょうか。2024年12月より、これまで発行されていた「現行の健康保険証」は新規発行されなくなります。
事業主のみなさんにとって、今後の社会保険の手続きはどんな変化があるのでしょう。2024年12月以降に新たに人を雇い入れた場合や、もし従業員の方に「マイナ保険証」が欲しいと言われたらどうしたらいいでしょうか。マイナンバーカードを持っていない従業員に対しては何をしたらいいでしょうか。
今後の健康保険証について、事業主が知っておくべきこと、対応しなければならないことについて、専門家である社会保険労務士が解説いたします。
生島社労士事務所代表
生島 亮
いくしま りょう
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これまで日本は諸外国に比較してデジタル化が遅れていると言われていましたが、コロナウイルスの感染症対策を機に様々なことがデジタル化されています。行政への届出には押印が不要になり電子申請の推進などがあげられます。
社会における抜本的なデジタル化の必要性が顕在化しているなか、日本のデジタル社会の基盤であるマイナンバー、マイナンバーカードについて国民の利便性向上等の観点から、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)等の一部改正」を行うことになりました。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化について、政府は施行日を2024年12月2日に定めると決定しています。
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令和5年4月1日より、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる「オンライン資格確認」を進めるため、保険医療機関・薬局においてシステム導入が原則として義務づけられており、順次導入が進められています。
システムが導入されている医療機関等ではマイナンバーカードを使ったオンライン資格確認が可能となりますので、マイナンバーカードを使って医療機関等を受診することができ、マイナポータルではこれまで受けた健診や薬、医療費などの情報が確認できるようになります。
上記を利用するためには、マイナンバーカードを健康保険証として利用するための利用申し込みをする必要があります。具体的な方法については後述します。
2024年12月2日より「現行の健康保険証」を新たに発行することはなくなり、「マイナ保険証」へ移行していきますが、経過措置として現行の保険証の有効期限は1年間とされています。
オンライン資格確認ができるようなシステムの導入は順次進められているとはいえ、医療機関や薬局等でまだシステム導入が終わっていないところもあると考えられますので、このような経過措置が取られています。
よって、「マイナ保険証」に移行されても、「現行の健康保険証」が完全に廃止になるまでは「現行の健康保険証」は保管をしておく必要があります。
マイナンバーカードを持っていない方についても、前述の通りいきなり令和6年12月2日から「現行の健康保険証」が使えなくなるというわけではなく、経過措置があります。ただし、転職等により保険者が変わる場合においては、令和6年12月2日以降であれば新たな会社では現行の保険証は発行されません。このようなケースによっては「現行の健康保険証」の有効期限が早く終了することもあります。
そのため、マイナンバーカードを持っていない方や、マイナンバーカードによるオンライン資格確認を受けることができない状況にある方については、必要な保険診療等を受けられるよう、「資格確認書」が提供されることとなります。
これまで通り、加入要件を満たしている場合においての資格取得届や、算定基礎届、賞与支払届などの届け出や、退職時の喪失届、被扶養者異動届など、協会けんぽや健保組合等の保険者に対し行ってきた手続きをする必要があります。これら手続きについては「マイナ保険証」へ移行しても従前と変わりません。
令和6年12月2日以降は、「現行の健康保険証」は発行されなくなるため、新たに雇い入れた方に対し従来行っていた「保険者から健康保険証が届いたら従業員の方へお渡しする」ということが原則なくなります。マイナンバーカードを健康保険証としての利用登録を済ませている方については、手続きが終了し情報が反映すれば、すぐにマイナンバーカードを健康保険証(マイナ保険証)として利用することができます。
また、限度額適用認定証および限度額適用・標準負担額減額認定証については、従来は事前に保険者に申請が必要でしたが、オンライン資格確認が導入された医療機関であれば原則として、申請・証類提示なしで限度額が適用されます。事業主経由で事前申請をしていた場合は対応することがなくなります。
社会保険の加入条件など詳しい情報はこちらのコラムでご紹介しております。ご確認ください。また、要件に該当するかどうかなど、正しく状況を判断したい場合は、専門家である社会保険労務士へぜひご相談ください。
「マイナ保険証」の利用申し込みは本人が行うため、事業主が行うことはありません。
既に従業員がマイナンバーカードを持っている場合は、従業員本人が以下の方法でマイナンバーカードの健康保険証利用の申し込みをします。この申し込みは生涯で1回のみですので、たとえば転職や退職等があったとしても、利用申し込みを再度する必要はありません。
以下のいずれかの方法で、従業員本人が利用申し込みをします。
①医療機関や薬局に設置する顔認証付きカードリーダーで申し込みをする
②マイナンバーカードとカードリーダー機能を備えたデバイス(スマートフォン、パソコン、ICカードリーダー)を用いて、マイナポータルから申し込みをする
③セブン銀行ATMから申し込みをする
まずはマイナンバーカードの発行手続きを経てから、上記いずれかの方法で「マイナ保険証」の利用申し込みをします。
事業主の皆様は、加入している保険者からの案内については、常に確認をする必要があります。毎月の納付書が送付される郵送物に同封されている案内やリーフレットがあれば、必ず目を通してください。また、「マイナ保険証」の利用登録は全国的にはまだ少ないようですが、マイナンバーカードそのものの発行数は8割程度になっており、「マイナ保険証」への移行は2024年に大きく前進する見込みです。
一方で「マイナンバーカード」を取得するかどうかはあくまで個人の判断であり、義務ではないため、強制することはできませんので、その点にご留意頂きながら、早めに従業員の方への情報共有を進めて頂ければと思います。
従業員を雇っている事業主の方にとっては、社会保険や労災保険、雇用保険等の様々な保険加入が義務付けられています。従業員の日常に一番身近にあるものの1つが「健康保険」です。日本は国民皆保険のもと、医療制度の整備がなされているため、安心して医療を受けることができており、従業員やその扶養家族の方にもなくてはならないものです。小さなお子さんがいる方であれば風邪をひくなどで利用する頻度は高く、また治療と就業の両立をしている方では、長期にわたり医療を受けている方も中にはいると思います。
一旦の経過措置があるとはいえ、新たな制度へ移行するなどこれまでと違うことがあるとなれば、今まで通りの医療が受けられるのか不安に思う従業員の方もいらっしゃると思います。事業主の皆様におかれましては、安心かつスムーズな移行が行えるよう、ご準備いただければと思います。
一方でマイナ保険証については段階的な移行を進めていくため、国のアナウンスのタイミングなどは、アンテナを張っていなければなかなか得られない情報がたくさんあります。これらに加え、2024年10月の社会保険適用拡大など別の法改正も絡んでくるため、何をいつまでにするべきなのかが分かりづらいというお声もあります。
不安なことやよくわからないと思うことがおありでしたら、ぜひ専門家である社会保険労務士へご相談ください。顧問契約が不要なスポット相談がとても便利です。ご状況を丁寧にお伺いし、必要な手続きのみ対応させていただくスポット手続きは大変手軽だとご好評をいただいております。一度、活用してみませんか?いつでもご相談をおまちしております。
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