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賞与を年4回以上支給する時の社会保険の手続きを年3回以下の場合との違いを含めて解説!

賞与の支給回数が年4回以上か年3回以下かによって、社会保険の手続きや保険料がどう変わるかご存じですか?

一般的に、年3回以下の支給は「賞与」として扱われますが、年4回以上になると「報酬」とされ、社会保険の取り扱いが異なります。ただし、4回目の支給がそれまでの3回と性質が異なる場合は、賞与として扱われるケースもあり、このような例外を把握することは重要です。

この記事では、年4回以上支給する場合の具体的な手続きや、支給の性質に基づく社会保険上のカウント方法、さらに注意すべきポイントについて解説します。支給回数に応じた正しい手続きを理解し、運用上のトラブルを未然に防ぎましょう。ぜひ最後までお読みいただき、賞与支給に関する適切な対策を身につけてください。

この記事を監修した人

生島社労士事務所代表

生島 亮

いくしま りょう

https://syarou-shi.com/

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賞与が年4回以上と3回以下で社会保険の手続きは変わってくる

社会保険において「賞与」とは、労働の対価として従業員に支給される金銭のうち、年3回以下の支給分を指します。これは、社会保険法で「賃金、給料、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、年3回以下の支給のもの」と定義されています。

賞与は通常、標準報酬月額には含まれず、支給ごとに「標準賞与額」に基づいて別途保険料が算定されます。

しかし、年4回以上の賞与は、「賞与に係る報酬」として社会保険上の報酬に含まれ、標準報酬月額の計算対象となります。

標準報酬月額とは、被保険者が受け取る月額の報酬を一定の幅で区切り、保険料を算出する基準となるものです。

これにより、賞与の支給回数に応じて社会保険料の計算方法が変わり、事業者側の手続きにも影響が出るため、具体的な違いを理解しておくことが重要です。

以下で、賞与の支給回数が年4回以上、年3回以下のケースに分けて、社会保険の手続きを解説します。

生島社会保険労務士
生島社会保険労務士

賞与支払届は3回支給と4回支給で取り扱いが大きく変わります。 社会保険に関する手続き(届出・種類)は複雑で多くの専門的知識を必要とするため、社労士に依頼することも検討してください。

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賞与が年4回以上支給する場合の手続き

年4回以上の賞与を支給する場合、社会保険上は「賞与に係る報酬」として取り扱われ、標準賞与額ではなく標準報酬月額に含まれます。

そのため、「賞与支払届」の提出は不要となります。

「賞与に係る報酬」は、毎年7月に行われる定時決定(算定基礎届)で報告し、標準報酬月額に加算して計算されます。

具体的には、1年間(7月〜翌年6月)の賞与合計額を12で割り、その結果を月々の報酬に加算して標準報酬月額を決定します。この手続きによって、賞与は月給と同様に社会保険料の算出基準に反映されます。

ただし、年4回以上の賞与支給が就業規則や賃金規程で正式に規定されていない場合には、「月額変更届(随時改定)」もしくは「賞与支払届」の提出が必要になるケースも考えられます。

月額変更届の提出が必要になる場合は、4回以上の賞与が報酬とみなされること、かつ標準報酬月額に変更があった場合です。

この場合は管轄の年金事務所に確認して、適切に対処する必要があります。

賞与の支給が年3回以下の場合の手続き

年3回以下の賞与は、通常の給与とは別に「賞与」として扱われるため、標準報酬月額には含まれません。この場合、賞与支給日から5日以内に「賞与支払届」を年金事務所に提出し、標準賞与額に基づいて保険料が算出されます。

標準賞与額とは、支給された賞与の総額から1,000円未満を切り捨てた額で、健康保険と厚生年金保険にそれぞれ上限が設けられています。

例:支給賞与:128万5,286円の場合の標準賞与額
標準賞与額=128万5,000円円

具体的には、健康保険の上限は年間573万円、厚生年金保険の上限は1ヶ月あたり150万円となっています。

賞与の保険料の算出方法

賞与の保険料額=標準賞与額×健康保険・厚生年金保険の保険料率

年3回以下の賞与支給に関しては、社会保険料の算出基準に影響しないため、定時決定や随時改定の手続きは不要です。

このため、比較的簡単な手続きで済む反面、保険料は標準報酬月額とは別に計算されるため、給与とは異なる形での負担が発生します。

届出を怠ると、被保険者の年金額が少なく計算されてしまうことがあるため、賞与支給時の手続きを確実に行うことが重要です。

賞与支払届の提出を忘れていた場合の対応策!未提出の場合の罰則のリスクも解説

年4回以上の賞与が報酬とみなされるケースとみなされないケース

賞与の支給が年4回以上になる場合、社会保険上では「報酬」として扱われるか、通常の「賞与」として扱われるかで、手続きや保険料負担の方法が異なります。

ここでは、賞与が報酬としてみなされるケースと、通常の賞与として扱われるケースについて詳しく見ていきます。

■注意
年4回以上の賞与を就業規則等で規定していない場合は、原則、管轄の年金事務所に確認と相談をしてください。

賞与が報酬とみなされる場合のケース

年4回以上の賞与支給が恒常的に行われており、就業規則にその支給回数が明記されている場合、これらの賞与は「賞与に係る報酬」として社会保険上の報酬に含まれます。したがって、標準報酬月額の対象となり、通常の「賞与支払届」の提出は不要です。

以下に、年4回以上の賞与が報酬として扱われる具体的なケースを紹介していきます。

同じ性質の賞与を年4回以上支給する場合

年4回以上の賞与が同じ性質であれば、社会保険上では「報酬」として標準報酬月額に含まれます。たとえば、すべての支給が業績に応じたインセンティブである場合、これらの支給分は報酬とみなされるため、標準報酬月額に基づいた保険料の負担が求められます。

このような賞与支給が就業規則などで正式に年4回と規定されている場合は、定時決定(算定基礎届)で月額報酬に反映されるため、月額変更届は不要です。

しかし、就業規則に支給回数の規定がない場合には、月額変更届が必要になることがあります。これは、標準報酬月額の変更が生じた際に、適切に手続きを行うためです。

支給条件に応じて異なる対応が求められるため、管轄の年金事務所で確認して、適切な手続きを行うことが重要です。

就業規則で年4回の支給が定められている場合

賞与支給が就業規則や賃金規程で明確に年4回以上と定められている場合、社会保険上で報酬とされます。

この場合、年間を通じた報酬として扱われ、標準報酬月額に反映されるため、賞与支払届の提出が不要となり、年に一度の定時決定で保険料を決定します。

年4回の支給が賞与としてみなされる場合のケース

一方、賞与の支給が年4回に達する場合でも、異なる性質のボーナスと見なされれば同一賞与とカウントされず、通常の「賞与」として扱われ、保険料が標準賞与額に基づいて計算されます。

以下に、具体的なケースを紹介していきます。

季節賞与とインセンティブ賞与をそれぞれ年2回ずつ支給する場合

年2回の季節賞与(夏季・冬季)と年2回のインセンティブ賞与が支給される場合、支給の性質が異なるため、それぞれは通常の「賞与」として扱われる可能性が高く、別途保険料が算出されます。

社会保険上、同一の性質を持たない賞与は「報酬」として扱われず、「標準賞与額」に基づいて保険料が計算されます。これにより、各賞与が給与とは別に扱われ、保険料の計算も標準報酬月額とは異なる方法で行われます。このように、支給の性質が異なる賞与を複数回支給する場合には、それぞれの賞与ごとに保険料負担が発生することを考慮する必要があります。

賞与を年4回以上支給する際の注意点

賞与を年4回以上支給する場合、社会保険上の手続きや届出に関するいくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。賞与の支給回数が増えることで、標準報酬月額や随時改定の影響を受ける可能性があり、保険料負担が変動する場合もあります。次に紹介するのは、年4回以上の賞与支給時における注意点です。

月額変更届(随時改定)にも反映させる

賞与が年4回以上支給される場合、随時改定が必要になるケースがあります。特に、就業規則に賞与支給の頻度が明記されていない状況では、4回目の賞与が「報酬」として標準報酬月額に含まれるため、報酬月額の変動に応じて「月額変更届」を提出する必要があります。

随時改定は、標準報酬月額に大幅な変動があった場合に、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定する手続きです。具体的には、報酬に変動が生じた月から3カ月間の平均報酬が、従来の標準報酬月額から2等級以上変動した場合に、4カ月目から新しい標準報酬月額が適用されます。これにより、賞与の支給が社会保険料に正確に反映され、保険料負担が適切に調整されることが確保されます。

場合によっては、年金事務所への確認が求められることもあるため、定期的な確認と適切な手続きを心がけることが重要です。

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月額変更届の提出を出し忘れてしまった場合の罰則や影響については下の記事で詳しく解説しています。

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定時決定(算定基礎届)にも反映させる

年4回以上の賞与支給が就業規則などで正式に規定されている場合、これらは「賞与に係る報酬」として標準報酬月額に含まれ、年に一度の「定時決定(算定基礎届)」に反映されます。具体的には、毎年7月の定時決定において、過去1年間(7月から翌年6月)の賞与合計額を12で割り、月々の報酬に加算する形で標準報酬月額を算出します。

この手続きによって、年間を通じた給与水準が正確に社会保険料に反映されることになり、月額変更届が不要なケースとなります。就業規則に基づく年4回以上の賞与支給は、事前に明確に支給ルールを定めておくことが重要であり、定時決定を通じて保険料が適切に計算されるよう備える必要があります。

賞与を年4回以上支給するメリットとデメリット

年4回以上の賞与を支給することは、社員のモチベーション向上や社会保険料の負担調整などのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも考えられます。

ここでは、年4回以上の賞与支給のメリットとデメリットを解説します。

メリット

・標準報酬月額が限度額以上なら保険料は一定

・社会保険の給付が増える可能性がある

標準報酬月額が限度額以上なら保険料は一定

標準報酬月額には上限が設けられており、報酬がその限度額を超えると、それ以上の増加分に対する保険料は発生しません。

例えば、厚生年金保険では標準報酬月額が65万円以上(報酬月額635,000円以上)の場合、どれだけ報酬が増えても保険料は一定です。そのため、高所得の従業員が年4回以上の賞与を受けても、社会保険料負担が増加しないのは大きなメリットです。

この制度により、年収が762万円以上の従業員の社会保険料は一定に抑えられます。一方、健康保険料は、標準報酬月額が最大139万円まで段階的に上昇する点に留意が必要です。したがって、賞与を複数回支給することで、会社も従業員も一定額の保険料負担に留めることが可能となります。

社会保険の給付が増える可能性がある

年4回以上の賞与が標準報酬月額に反映されると、従業員の社会保険給付額が増加する可能性があります。標準報酬月額に基づいて算定される傷病手当金や出産手当金などの給付は、報酬が増えることで支給額も上昇します。これにより、従業員が病気や出産で仕事を休む場合の経済的支援が充実します。

さらに、標準報酬月額が高くなることで、将来受け取る厚生年金の年金額も増える可能性があります。保険料の負担は上がるものの、長期的に見れば、給付の増加が従業員の経済的な安心感を高めるための一助となるでしょう。このように、賞与支給回数を増やすことは、従業員の福利厚生に寄与するメリットとして重要です。

デメリット

・給与が一定以下なら保険料の負担が増える

・標準報酬月額が限度額以上なら年金額に反映されない

給与が一定以下なら保険料の負担が増える

標準報酬月額が限度額に達していない従業員にとっては、年4回以上の賞与支給が保険料負担を増加させる可能性があります。これは、賞与が「報酬」として扱われ、標準報酬月額が引き上げられることで、社会保険料も比例して高くなるためです。

保険料が増えることで社会保険の給付額も上昇しますが、同時に月々の負担が増える点には留意が必要です。特に給与水準が一定以下の従業員には、この影響を考慮した支給方法を検討することが望まれます。

標準報酬月額が限度額以上なら年金額に反映されない

標準報酬月額が65万円の限度額を超える従業員の場合、年4回以上の賞与支給によって保険料が増加しても、将来の年金給付額には反映されないことがあります。

標準報酬月額が上限に達すると、追加の保険料負担が年金額の増加に結びつかないため、費用対効果が低下する可能性があります。このようなケースでは、従業員が支払う保険料の負担を増やさないためにも、賞与支給回数について慎重な判断が求められます。

賞与を年4回以上支給する時によくある質問

年4回以上の賞与支給は、社会保険の手続きや保険料への影響に関して、よくある疑問がいくつかあります。ここでは、その代表的な質問に対する回答を解説していきます。

賞与を年4回支給する場合に「賞与支払届」は必要?

年4回以上の賞与支給が「報酬」として標準報酬月額に含まれる場合、「賞与支払届」の提出は不要です。しかし、4回目の賞与が従来の3回と性質が異なるとみなされた場合には、「賞与支払届」が必要になることがあります。こうしたケースでは、賞与の支給内容や性質を考慮し、適切な処理を行うためにも、管轄の年金事務所に確認することをおすすめします

賞与支払届とは?書き方のポイントや記入例、提出先から手続きの流れを解説

賞与の回数が4回以上だと保険料はどうなる?

賞与を年4回以上支給する場合、標準報酬月額に加算されるため、保険料の計算方法が変わります。

具体的には、厚生年金保険の標準報酬月額が上限の65万円を超えると、支給額が増えても保険料は一定に保たれます。しかし、65万円未満の場合は、賞与が増えるごとに標準報酬月額も上がり、その結果、保険料も増加することになります。

賞与の支給回数が4回以上になる場合、保険料の負担額にも十分注意が必要です。

まとめ:賞与の回数と性質の違いで変わる社会保険手続きを理解しよう

賞与を年4回以上支給するか、3回以下にとどめるか、またその賞与がどのような性質を持つかによって、社会保険の手続きは大きく異なります。

たとえば、年4回以上の賞与が「報酬」として標準報酬月額に含まれる場合は、通常の「賞与支払届」の提出が不要になり、手続きが簡素化される一方で、保険料への影響も考慮する必要があります。

また、賞与の性質が異なる場合、たとえば、業績賞与や季節賞与が含まれている場合は、別途「賞与支払届」が必要となる可能性もあるため、管轄の年金事務所に確認することが推奨されます。

会社の方針や従業員の給与水準に応じて、どの方法が最も効果的かを慎重に検討し、必要な手続きをしっかりと理解することで、適切な対応ができるようになります。

月額変更届と賞与支払い届の必要性としない時のリスクについて

会社の方針や従業員の給与水準に応じて、どの方法が最も効果的かを慎重に検討し、必要な手続きをしっかりと理解することで、適切な対応ができるようになります。また、社会保険の手続きには複雑な要素が絡むため、不安や疑問がある場合は、専門家である社会保険労務士(社労士)に相談することをおすすめします。

社労士のサポートを受けることで、スムーズかつ正確な対応が可能になり、会社と従業員双方のメリットを最大限に活かすことができます。

社労士の顧問料の費用相場 社労士との顧問契約の必要性・顧問料の相場・サポート内容・メリットデメリットを徹底解説

生島社会保険労務士
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