労働保険料は、毎年「年度更新」という手続きで正しく申告・納付しなければなりません。しかし、前年度分の精算と今年度分の概算が絡むため、手続きは意外と複雑です。また、計算ミスや申告漏れ、納付の遅れがあれば、追徴金などのペナルティに発展します。
労働保険料の納付方法は、原則として一括ですが、分割納付や口座振替などの例外もあります。
そこで本記事では、労働保険料の納付方法を中心に支払い時期や期限などをわかりやすく解説しています。
労働保険料を期限厳守で正しく納付するために、ぜひ一度確認してください。

生島社労士事務所代表
生島 亮
いくしま りょう
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労働保険料の具体的な納付方法を解説する前に、まずは労働保険の仕組みを簡単に確認しておきましょう。
「労働保険」とは、労災保険と雇用保険の総称です。
労災保険 | 業務中や通勤途中のケガや病気に対して、治療費や休業補償などを給付 |
雇用保険 | 失業した場合の失業給付(基本手当)や、育児休業給付、介護休業給付などを給付 |
労働者を一人でも雇用している事業主は、原則として労働保険に加入し、保険料を納付する義務があります。
【社労士監修】労働保険とは?制度、労災・雇用保険の違いを簡単にわかりやすく解説
労働保険料の納付は、毎年6月1日から7月10日(7月10日が土日祝日の場合は翌営業日)に行われる「年度更新」という手続きを通じて行います。
年度更新では、前年度に概算で納付した労働保険料(労災保険料と雇用保険料)を精算し、次年度分の概算保険料を申告・納付する一連の流れを指します。
つまり、1年間の労働保険料を確定して過不足を調整する、非常に重要な手続きです。
労働保険料は「従業員に支払った賃金 × 保険料率」で計算されるため、前払いの段階では概算金額しかわかりません。そこで、年度更新時には前年度の実際の賃金総額をもとに「確定保険料」を算出し、概算分との差額を精算します。こうして正確な保険料を納付するのです。
この手続きは、労働者を一人でも雇用しているすべての事業所(労働保険適用事業所)に義務付けられています。
労働保険の年度更新とは?手続き方法や対象期間、申告書作成時の注意点をわかりやすく解説
労働保険料の納付方法には、現金納付・口座振替・電子納付などいくつかの種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。事前準備やコスト、運用体制などを考慮しながら、最適な方法を選ぶことが大切です。
下記の表に、主な納付方法とメリット・デメリットをまとめましたので、参考にしてください。
納付方法 | メリット | デメリット |
現金納付 | ・手続きが簡単でわかりやすい・その場ですぐに支払いが完了する | ・窓口(金融機関や労働局など)に行く手間と時間がかかる・納付期限を忘れやすい ・紛失や盗難のリスクがある |
口座振替 | ・納付忘れを防げる ・納付期限に猶予がある(法定納期限よりも引き落とし日が遅い) ・金融機関に行く手間が省ける | ・事前に口座振替の申し込み手続きが必要 ・残高不足で引き落としができない |
電子納付 | ・24時間いつでも納付できる ・金融機関に行く手間が省ける ・納付履歴が残る | ・事前にe-Govのアカウント取得や電子証明書の準備が必要な場合がある ・インターネットバンキングの契約が必要 ・操作に慣れが必要 |
どの方法にも一長一短がありますので、社内の運用体制や事前準備のしやすさを考慮しながら、必要に応じて社会保険労務士(社労士)に相談して検討すると安心です。
ここまで、労働保険の概要と年度更新時の納付方法についてご紹介しました。
次は、実際に年度更新の手続きを進める流れ(労働保険料の基本的な納付手続きの詳細)を詳しく見ていきましょう。
労働保険料を納付するまでの流れは、大きく分けて以下の4つのステップで行い、その最終段階で保険料を納付します。
- 前年度の労働保険料の確定と過不足分の調整
- 今年度の労働保険料の概算を算出
- 申告書の作成
- 申告と保険料の納付手続き
以下に、具体的な手続きのステップを解説します。
①前年度の労働保険料の確定と過不足分の調整
労働保険料の年度更新では、まず、前年度(4月1日から3月31日)に支払いが確定した賃金総額をもとに、労働保険料(労災保険料と雇用保険料)を確定させます。
前年度に概算で納付した保険料との間に過不足があれば、この段階で精算します。
労働保険料の対象となる賃金は、年度内に実際に支払われた金額ではなく、年度内に支払いが確定した賃金です。
例えば、給与の締め日が月末で、支払いが翌月20日の場合、3月分の賃金は3月末日に確定します。したがって、3月分の賃金は、4月に支払われたとしても、前年度(3月が属する年度)の賃金として集計します。
労働保険料の計算においては、賃金締切日を意識することが重要です。この点を間違えると、正確な労働保険料の算出ができません。
年度更新では、まず、前年度に概算で支払った労働保険料(概算保険料)を、実際に支払った賃金総額(確定賃金)に基づいて計算し直します。その結果、前年に支払った保険料が少なければ不足分を支払い、多ければ新年度の保険料に充当したり、還付を受けたりします。
【計算例】
◯令和6年7月に、概算保険料として20万円を納付していたとします。
令和6年4月1日から令和7年3月31日までの確定した賃金総額から計算した労働保険料(確定保険料)が25万円だったとしましょう。
また、令和7年4月1日から令和8年3月までに支払う予定の賃金総額(概算賃金)から計算した概算保険料が25万円だったとします。
この場合、次のような計算を行います。
1. 前年度の過不足分の計算:
前年の概算保険料20万円 – 前年の確定保険料25万円 = -5万円(5万円が不足)
2. 今年度の納付保険料の計算:
今年度の概算保険料25万円 + 前年度の不足金額5万円 = 30万円(今年度納付保険料)
上記のように、前払いした概算保険料と確定保険料との過不足を精算し、今年度の概算保険料と合わせて、毎年7月10日までに申告と納付を行うことになります。
この計算を正しく行うことが、年度更新の重要なポイントです。
労働保険料の計算は、少し複雑ですが、一つずつ丁寧に確認することで、正確に算出することができます。
労働保険料を正確に算出するためには、前年度に労働者に支払った賃金総額を正確に集計することが必要です。 ミスが発生しやすい作業ですので、「確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表(賃金集計表)」を作成し、賃金総額を集計することをおすすめします。
以下の記事で年度更新申告書計算支援ツールの使い方とエクセルのダウンロード先を解説しています。
【社労士監修】労働保険 年度更新申告書計算支援ツール・入力ガイドの使い方を解説
②今年度の労働保険料の概算を算出
前年度の労働保険料の確定と過不足分の調整が完了したら、次は、今年度(4月1日から翌年3月31日)の労働保険料の概算を算出します。
今年度の概算保険料は、今年度中に支払う見込みの賃金総額(概算賃金)に基づいて計算します。
概算保険料の計算方法は、以下のとおりです。
- 労災保険料: 概算賃金総額 × 労災保険料率
- 雇用保険料: 概算賃金総額 × 雇用保険料率
ここで注意すべき点は、保険料率が年度ごとに変更される可能性があることです。 必ず、最新の保険料率を確認し、計算するようにしましょう。
今年度支払う予定の賃金総額(概算賃金)は、前年度に支払った確定賃金の総額を参考に算出するのが一般的です。 大きな変動の予定がなければ、前年度と同額としても問題ありません。
ただし、以下のような場合は注意が必要です。
- 年度の途中で事業拡大による急激な人員増加を予定している
- 大幅な賃上げを予定している
上記の要因により、賃金総額の見込み額が前年度の2倍を超えて増加し、かつ、その増加によって概算保険料が13万円以上増加する場合は、「増加概算保険料」の申告と納付が必要になります。
賃金総額の見込み額が、前年度の2分の1から2倍の間におさまる場合は、前年度に確定した賃金額を用いて概算保険料を計算します。
【計算例】
一般事業で、前年度の確定賃金総額が1,000万円、今年度の賃金総額の見込み額も1,000万円の場合(労災保険料率3/1000、雇用保険料率15.5/1000と仮定)
- 労災保険料 1,000万円 × 3/1000 = 3万円
- 雇用保険料 1,000万円 × 15.5/1000 = 15万5千円
- 概算保険料 3万円 + 15万5千円=18万5千円
③申告書の作成
前年度の労働保険料の確定と過不足分の調整、そして今年度の概算保険料の算出が完了したら、それらの情報を基に「労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書」(以下、申告書)を作成します。
申告書には、前年度の賃金総額、確定保険料、概算保険料、そして過不足分の金額などを記入します。
申告書は、通常、毎年5月下旬から6月初旬に、管轄の労働基準監督署または都道府県労働局から、緑色または青色(あるいは両方)の封筒で事業所宛に送付されます。
労働保険事務組合に委託している場合は、事務組合から送付されることもあります。 もし申告書が届かない場合や、紛失してしまった場合は、管轄の労働基準監督署等または労働保険事務組合に問い合わせ、再発行を依頼しましょう。
申告書の作成にあたっては、記入例などを参考に、正しく記入するようにしましょう。 記入ミスがあると、保険料の計算が間違っていたり、手続きが遅れたりする可能性があります。
労働保険年度更新申告書の書き方を記入例付きでわかりやすく解説
④申告と保険料の納付手続き
申告書の作成が完了したら、次はいよいよ申告と保険料の納付手続きです。
原則として、毎年6月1日から7月10日までの期間(7月10日が土日の場合は翌営業日)に申告・納付を行います。
申告書の提出先と保険料の納付先は、主に下記のいずれかです。
- 金融機関(銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協、漁協、郵便局など)
- 所轄の労働基準監督署
- 都道府県労働局
さらに、e-Gov(電子政府の総合窓口)を使った電子申請・電子納付も可能です。
電子納付には、ペイジー(Pay-easy)やインターネットバンキングが利用できます。
口座振替を利用している場合は、指定した銀行口座から自動的に引き落としが行われます。
ただし、口座振替を利用している場合や、確定保険料と概算保険料を精算した結果、保険料の納付が不要な場合は、金融機関で申告書の提出はできません。
その場合は、労働基準監督署または都道府県労働局に直接申告書を提出してください。
下記に、代表的な納付方法とメリット・デメリットをまとめました。自社の状況や担当者の都合に合わせて、最適な方法を選択しましょう。
納付方法 | メリット | デメリット |
現金納付 | ・手続きが簡単でわかりやすい | ・金融機関や労働局の窓口に行く手間と時間がかかる ・納付期限を忘れやすい ・紛失や盗難のリスクがある |
口座振替 | ・納付忘れを防げる ・納付期限に猶予がある(法定納期限よりも引き落とし日が遅い) ・金融機関に行く手間が省ける | ・事前に口座振替の申し込み手続きが必要 ・残高不足で引き落としができない |
電子納付 | ・24時間いつでも納付できる ・金融機関に行く手間が省ける ・納付履歴が残る | ・事前にe-Govのアカウント取得や電子証明書の準備が必要な場合がある ・インターネットバンキングの契約が必要 ・操作に慣れが必要 |
それぞれの方法に一長一短がありますので、事前の準備や自社の運用体制に合わせて、社労士と相談して選びましょう。
労働保険料の納付は原則として一括納付です。ただ、一定の条件を満たす場合は、例外的な納付方法も認められています。
ここでは、分割納付(延納)、口座振替による納付、労働保険事務組合への委託という3つの納付方法について解説しています。
分割納付(延納)の条件と期限
分割納付(延納)は、労働保険料の納付額が一定額以上の場合に、3回に分けて納付できる制度です。 分割納付を利用することで、一度に多額の保険料を支払う負担を軽減できます。
分割納付が認められる条件は、以下のいずれかに該当する場合です。
- 概算保険料の額が40万円以上(労災保険または雇用保険のどちらか一方の保険関係のみ成立している場合は20万円以上)
- 労働保険事務組合に労働保険事務を委託している
分割納付の納付期限は、以下のようになります。
- 第1期: 6月1日から7月10日
- 第2期: 10月1日から10月31日
- 第3期: 翌年1月1日から1月31日
ただし、事業開始日によっては、分割納付の回数や期限が異なる場合があります。
例えば、年度の途中で事業を開始した場合、第1期の納付期限までに事業が開始されていない場合は、第2期、第3期での分割納付(2回払い)、または一括納付となります。
詳細は、所轄の労働基準監督署または労働局に確認しましょう。
分割納付は、資金繰りが厳しい中小企業にとって、非常に便利な制度です。 しかし、納付期限を過ぎると延滞金が発生する可能性がありますので、注意が必要です。 また、分割納付を利用する場合でも、申告書の提出は必要です。
口座振替による納付
口座振替は、指定した金融機関の口座から労働保険料が自動的に引き落とされる納付方法です。
最大のメリットは、納付忘れを防ぎながら、金融機関や労働局の窓口に出向く手間を省けることにあります。また、通常の納付期限(7月10日)よりも引き落とし日が遅く設定されるため、資金繰りに余裕を持ちやすい点も大きな利点です。
ただし、口座振替を利用するには事前の手続きが必要です。
具体的には、「労働保険料等口座振替納付書送付(変更)依頼書 兼 口座振替依頼書」を金融機関に提出しなければなりません。この用紙は、労働基準監督署や労働局で入手できるほか、厚生労働省のホームページからダウンロードすることもできます。
提出期限は、口座振替を開始したい納付期限のおおむね2ヶ月前ですが、金融機関によって締め切りが異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
提出から振替開始までには一定の期間が必要ですので、早めに手続きを行うことをおすすめします。
労働保険事務組合に委託による納付
労働保険事務組合は、事業主に代わって労働保険に関する事務手続きを行う団体です。 一定の要件を満たす事業主は、労働保険事務組合に事務処理を委託することができます。
労働保険事務組合に委託するメリットは、以下のとおりです。
- 労働保険料の申告・納付手続きを代行してもらえる
- 労働保険関係の各種届出(従業員の入社・退社など)を代行してもらえる
- 通常3回の分割納付が、事務組合によってはさらに細かく分割できる場合がある
労働保険事務組合への委託は、特に中小企業の事業主にとってメリットが大きいと言えるでしょう。 労働保険に関する事務手続きの負担を軽減し、本来の業務に集中することができます。 また、保険料の分割納付の回数が増えることで、資金繰りの改善にもつながります。
ただし、労働保険事務組合に委託する場合は、以下の点に注意が必要です。
- 委託手数料がかかる
- 委託できる事業主に条件がある(業種、従業員数など)
労働保険事務組合への加入を検討している場合は、まずは労働保険事務組合に問い合わせ、詳細を確認しましょう。
労働保険料の納付は、手続きが複雑で、注意すべき点がいくつかあります。 計算ミス、納付遅れ、仕訳処理など、注意点は多岐にわたります。
ここでは、労働保険料の納付で失敗しないための注意点について、詳しく見ていきましょう。
賃金総額が大幅に変わった場合の納付方法
年度の途中で、事業規模の拡大や縮小などにより、賃金総額が大幅に変わる場合があります。
当初の見込み額と比べて、賃金総額が2倍を超えて増加する、または2分の1未満に減少する場合は、労働保険料の額を修正する必要があります。
賃金総額が2倍を超えて増加し、かつ、その増加によって算出される労働保険料の額が13万円以上となる場合は、「増加概算保険料」の申告・納付が必要です。
増加概算保険料は、増加後の賃金総額に基づいて計算した概算保険料から、既に申告済みの概算保険料を差し引いた額となります。 増加概算保険料の申告・納付は、賃金総額が増加した日から30日以内に行う必要があります。
一方、賃金総額が2分の1未満に減少した場合は、原則として保険料の還付を受けることはできません。
ただし、労働保険事務組合に委託している場合など、一定の要件を満たす場合は、減額が認められることがあります。
賃金総額が大幅に変動した場合は、速やかに労働基準監督署または労働保険事務組合に相談するようにしましょう。
労災保険料や雇用保険料の料率の変更を確認する
労災保険料率と雇用保険料率は、年度によって変更されることがあります。 保険料率は、厚生労働省のホームページやパンフレットなどで確認できます。 また、労働基準監督署や労働局、社会保険労務士に問い合わせることも可能です。
最新の保険料率を確認せずに、前年度と同じ料率で計算してしまうと、保険料の過不足が生じる可能性があります。
必ず、最新の保険料率を確認し、正しく計算するようにしましょう。 保険料率の変更は、年度更新の手続きを行う上で、特に注意すべきポイントです。
納付期限を守る
労働保険料の納付期限は、毎年7月10日が原則(分割納付の場合は各納期の期限)です。この期限を過ぎると、延滞金が課されるだけでなく、最悪の場合は労働保険の給付を受けられなくなる可能性もあります。
延滞金は、納付期限の翌日から日数に応じて加算されていくため、期限を守ることが非常に重要です。
納付期限を確実に守るためには、申告書類が届く前に必要な書類の準備や保険料計算を済ませておくのがおすすめです。あるいは、社労士に申告代行を依頼することで、手続きや計算の手間を軽減し、期限を過ぎるリスクを低減できます。
労働保険の年度更新の期限を過ぎたら? 遅れた場合の罰則・リスクと対処法を解説
雇用保険の仕訳方法によって勘定科目が異なる
労働保険料のうち、雇用保険料は、会社負担分と従業員負担分があります。 従業員負担分は、毎月の給与から控除し、会社負担分と合わせて納付します。 雇用保険料の仕訳は、経理処理において注意が必要です。
雇用保険料の仕訳では、「法定福利費」「立替金」「預り金」などの勘定科目を使用します。 どの勘定科目を使用するかは、会社の経理処理の方法によって異なります。
例えば、従業員負担分を給与から控除する際に「立替金」で処理する場合と、「預り金」で処理する場合があります。
また、労働保険料を納付した際の仕訳では、会社負担分を「法定福利費」として計上します。
雇用保険料の仕訳は、少し複雑ですが、正しく処理することで、正確な財務諸表を作成することができます。 仕訳方法に迷った場合は、税理士や社会保険労務士に相談することをおすすめします。
労働保険料の申告や納付に関するよくある質問をまとめました。手続きの参考にしてください。
労働保険料の納付書はいつ届きますか?
労働保険料の納付書(労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書)は、通常、毎年6月上旬頃に、所轄の労働基準監督署または都道府県労働局から、緑色または青色の封筒で事業所宛に郵送されます。
労働保険事務組合に委託している場合は、事務組合から送付されます。
もし、6月中旬を過ぎても納付書が届かない場合は、所轄の労働基準監督署等または労働保険事務組合に問い合わせましょう。
納付書が届かないまま放置すると、納付期限を過ぎてしまう可能性があります。 納付書は、年度更新の手続きに必要な大切な書類です。 届いたら、紛失しないように大切に保管しましょう。
労働保険料はクレジットカードで支払いができますか?
原則として、労働保険料の納付にクレジットカードは利用できません。 ただし、例外的に、電子納付の場合に限り、一部のサービスでクレジットカード払いが可能な場合があります。
例えば、「Pay-easy(ペイジー)」を利用した電子納付では、一部の金融機関でクレジットカード払いが可能です。 しかし、すべての金融機関やクレジットカード会社が対応しているわけではありませんので、事前に確認が必要です。 また、クレジットカード払いの場合、決済手数料がかかる場合があります。
現状では、労働保険料の納付は、現金納付、口座振替、電子納付(ペイジー、ネットバンキング)が主な方法です。 クレジットカード払いを希望する場合は、利用可能なサービスがあるかどうか、事前に確認しましょう。
労働保険料はどこで納付できますか?
労働保険料は、以下の場所で納付できます。
- 金融機関(銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協、漁協、郵便局など)
- 所轄の労働基準監督署
- 都道府県労働局
また、e-Gov(電子政府の総合窓口)を利用した電子納付(ペイジー、ネットバンキング)も可能です。 口座振替を利用している場合は、指定口座から自動的に引き落とされます。
最も一般的な納付場所は、金融機関です。 ほとんどの金融機関で、労働保険料を納付することができます。 労働基準監督署や労働局の窓口でも納付できますが、開庁時間や場所が限られていますので、注意が必要です。
電子納付は、24時間いつでもどこでも納付できる便利な方法です。 ただし、事前にe-Govのアカウント取得や電子証明書の準備が必要な場合があります。 自社に合った納付場所・納付方法を選択しましょう。
納付書を紛失した場合、どうすればいい?
労働保険料の納付書を紛失してしまった場合は、速やかに所轄の労働基準監督署等または労働保険事務組合に連絡し、再発行の手続きを行いましょう。 再発行には、多少時間がかかる場合がありますので、余裕を持って手続きを行うことが大切です。
納付書がなくても、納付自体は可能です。 金融機関の窓口で、労働保険料を納付したい旨を伝え、必要な情報を伝えれば、納付書なしで納付できる場合があります。 ただし、金融機関によっては対応していない場合もありますので、事前に確認が必要です。
納付書は、労働保険料を納付するための大切な書類です。 紛失しないように、大切に保管しましょう。 万が一、紛失してしまった場合は、速やかに再発行の手続きを行うことが重要です。
労働保険料の納付について相談できる窓口は?
労働保険料の納付に関して疑問や不安がある場合は、まずは以下の窓口を検討してみましょう。
- 所轄の労働基準監督署
- 都道府県労働局
- 労働保険事務組合(委託している場合)
- 社会保険労務士
労働基準監督署や都道府県労働局は、労働保険制度や手続きに関する専門的な知識を持っているため、基本的な質問や書類の確認などを気軽に相談できます。労働保険事務組合に委託している場合は、事務組合が相談窓口となります。
一方、社会保険労務士(社労士)は労働保険の専門家です。
- 年度更新の手続きが初めてで手順がわからない
- 計算や書類作成を効率化したい
- 不備や遅延によるリスクをなくしたい
こうした場合は、社労士に依頼するとより詳しいアドバイスや代行サービスを受けられ、安心して手続きを進められます。特に複雑なケースや他の社会保険と併せて相談したい場合は、積極的に社労士の専門知識を活用するのがおすすめです。
この記事では、主に継続事業の労働保険料(労災保険料・雇用保険料)の納付方法や、注意点について解説しました。労働保険料は事業主にとって重要な義務であり、原則として毎年7月10日までに納付しなければなりません。
納付方法には、現金納付や電子納付のほか、事前手続きを行うことで口座振替を利用することもできます。特に口座振替を選択すると、納期にゆとりが生まれるというメリットがあり、資金繰りにも役立ちます。
また、労働保険料は一括納付が原則ですが、一定の条件を満たすことで分割納付(最大3回)が可能です。資金繰りに不安がある場合は、ぜひ活用を検討してみてください。
労働保険料の納付手続きは複雑でわかりにくい部分が多いかもしれません。しかし、本記事で紹介した納付方法を1つずつ確認すれば、正しく手続きを進められます。
特に初めて年度更新を行う事業主や、経理担当者が変わった場合は、早めに準備を開始し、不明な点は積極的に専門家である社労士へ相談するのがおすすめです。
労働保険料の納付は、従業員の福利厚生を支える重要な制度です。正しく理解し、適切に手続きを行うことで、従業員の安心と会社の信頼性を高めましょう。計算や申告などの専門的な作業に不安がある方は、社労士に相談することを強くおすすめします。
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労働保険料の納付手続き(年度更新)は、専門的な知識が必要で、慣れないと多くの時間と労力を費やしてしまいます。 また、計算ミスや申告漏れ、納付遅延などのリスクも伴います。 「社労士に依頼するのは費用がかかりそう…」「自社で対応できるか不安…」 そんなお悩みをお持ちの場合は、「社労士クラウド」のスポット申請代行サービスのご利用をご検討ください。
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