顧問料0円、完全スポット(単発)対応の社労士サービスはこちら

月額変更届と賞与支払い届の必要性としない時のリスクについて

社会保険に加入している事業主のみなさんは、毎月保険料を納付されていますね。

社会保険の手続きには、毎年7月1日から7月10日までの間に算定基礎届を提出して行う定時決定以外にも、やらなければならない手続きがあることはご存知でしょうか?

毎月のお給料等が変わった時、賞与を支払った時、それぞれ月額変更届と賞与支払届を提出する必要があります。

社会保険料は報酬によって保険料が決まるので、変動があれば当然手続きが必要ですし、もちろん賞与にも月々の保険料とは別に、保険料が発生します。

いつまでに、どのような手順を経て、どこに対して手続きをしなければならないのでしょうか?

この記事を監修した人

生島社労士事務所代表

生島 亮

いくしま りょう

https://syarou-shi.com/

社会保険手続きの自動販売機|全国のあらゆる社会保険手続きと労務相談を「顧問料なしのスポット」で代行するWebサービス【社労士クラウド】の運営者|懇切丁寧 ・当日申請・フリー価格・丸投げOK| 1,800社以上の事業主様や顧問先の社保周りを解決されたい士業の先生にご利用頂いており、顧問契約も可能です|リピーター率8割以上

「月額変更届」を提出しなければならない時

お給料等の毎月の報酬が変わり「随時改定の要件」に該当した場合には月額変更届を作成し、日本年金機構または所轄の年金事務所へ提出を行います

生島社会保険労務士
生島社会保険労務士

社労士Cloudなら「月額変更届及び賞与支払い届」を顧問料なしのスポット(単発)で簡単かつ迅速にお手続きできます。

毎月の報酬が変わるのは例えばどんな時?

・昇給や昇格、または降給や降格などがあり、お給料等が変わる時

基本給が上がることや、役職者となり役職手当がつくことで毎月のお給料が上がった時、役員報酬の変更などがそれに該当します。

・基本給や手当は変わらないけど、仕事の量が増えて残業代が多く支払われる時

・フルタイムの正社員から、都合により時短正社員になるなど働き方が変わってお給料が変わった時

・引っ越し等により通勤交通費などの手当が増減した時

例示以外にもありますが、よくある代表的なものをご紹介しました。

また、社会保険は代表取締役も被保険者となるため、上記については当然社長にも該当します。

毎月の報酬に変動があった時には月額変更届を提出しなければなりませんが、少しでも金額に変化があったり、1か月でも変動があった場合は手続きが必要かというと、そうではありません。随時改定にはルールがあるのです。

随時改定3つのルール

1)上記のようなきっかけにより、毎月の報酬に標準報酬月額2等級以上の変動があった

例1)月給25万円の方が、役職者となり、役職手当が5万円増えて、月給30万円となった場合

・これまでの標準報酬月額は26万円(健康保険では20等級)

・あらたな標準報酬月額は30万円(健康保険では22等級)

2等級の差が生じているので、随時改定の要件を満たすため手続きが必要です。

例2)月給40万円の方でこれまで家族手当2万円をもらっていたが、お子さんが成人し家族手当の支給要件を満たさなくなり、家族手当がなくなることで月給38万円となった場合

・これまでの標準報酬月額は41万円(健康保険では27等級)

・あらたな標準報酬月額は38万円(健康保険では26等級)

この場合は等級には1等級しか差が生じていないので、随時改定の要件を満たさないため手続きは不要です。

2)3か月間の報酬の平均値が今の標準標準月額より2等級変動があった

例1)月給25万円の方が、8月より役職者となり、役職手当が5万円増えて、月給30万円となった場合

7月25万円

これまでの標準報酬月額は26万円(健康保険では20等級)

8月30万円、9月30万円、10月30万円

あらたな標準報酬月額は30万円(健康保険では22等級)

上記のように、3か月(8月~10月)の平均報酬がこれまでの報酬月額を2等級以上超えている時

例2)残業が7月は5時間だったのが

8月は繁忙期のため40時間、9月以降は通常の5時間に戻ったなど、3か月の平均報酬がこれまでの標準報酬月額を2等級以上超えていない時は随時改定の要件を満たさないため手続きは不要です。

3)3か月間の支払い基礎日数が17日以上あった

(特定適用事業所勤務の短時間労働者は11日以上)

法人を設立して5日以内に手続きが必要

社会保険の手続きは、法人設立がなされた5日以内に所定の用紙に必要事項を記載し、添付書類を準備して、日本年金機構(会社がある場所の所轄の年金事務所)へ届出をしなければなりません。

届出は、郵送、窓口、電子申請があります。

その際に出す届出は主に以下2つとなります。

①ご自身の会社を社会保険の適用事業所とするための届出である「健康保険厚生年金保険新規適用届(以下新規適用届とします)」

②ご自身を被保険者として加入するための「健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届(以下資格取得届とします)」

以上2点の届出が原則必要となります。

手続きをするタイミングはいつか?

随時改定は「〇日までに」、というルールはありません。該当したら速やかに月額変更届を作成し、日本年金機構または所轄の年金事務所へ届出をしなければなりません。

報酬に変動があった月から、4か月目に手続きをします。

例)7月支給分より昇給があった場合

7月、8月、9月の報酬の平均が2等級以上の変化がある場合、10月に月額変更届を作成し提出をします。

昇給などのわかりやすいタイミングでは手続きをし忘れることはあまりないかもしれませんが、残業が増えことなどは、きっかけとして気づきにくいかもしれません。従業員の労働時間管理は事業主の義務でもありますから、毎月賃金台帳をチェックして、随時改定の要件に合っている人はいないか確認する仕組みは必要です。

お忙しい事業主の方は、スポット契約を活用し、専門家の社会保険労務士に賃金台帳のチェック依頼もご検討ください。

月額変更届の書き方の注意点

月額変更届は、該当した方ごとに記載をしていきます。書き方について注意すべき点がいくつかあります。

・報酬月額について

記載する賃金については基本給だけを記載するのではなく、残業代や通勤手当なども含めた額を記載します。

・現物給与がある場合

通勤定期券や社宅、食事の提供などがある場合は報酬月額の「通貨によるもの」以外にも「現物によるものの額」を記載します。厚生労働大臣が定める現物給与の価額に基づき算出し記入します。全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

・従前改訂月

現在の報酬月額が決定された年月を記載します。

例えば令和5年7月の定時決定で算定基礎届を出していた場合で、令和6年1月に随時改定を行うこととなった場合は、令和5年9月が従前改訂月となります。

・備考欄の記載

随時改定に該当する理由に〇をつけます。

・随時改定の対象者が70歳以上の方の場合

個人番号か基礎年金番号を必ず記載し、備考欄の「70歳以上被用者月額変更」に〇をつけます。

届出の方法について

随時改定の要件に該当したら上記にそって月額変更届を作成し、日本年金機構または所轄の年金事務所へ提出をします。

提出方法は窓口、郵送、電子申請が可能です。

賞与支払届を出さなければならない時

届出の名前に「賞与」とついているので、賞与と名の付く手当のみが対象となるような印象もありますが、どのような名称であっても、以下を満たすものは賞与支払届の提出が必要です。

・労働の対償として受けるもの(通貨・現物給与)

・年3回以下の支給されるもの(4回以上は標準報酬月額の対象)

上記に該当するものを支給した場合は、賞与支払届の作成および提出が必要となり、保険料を納付しなければなりません。

もちろん旅費交通費の実費精算や結婚祝い金などは労働の対償ではないので、対象外となります。

もし、社会保険料の対象となるかどうかが分からない場合は、専門家の社会保険労務士へご相談ください。

賞与支払届の提出は5日以内

賞与支払届は実際の賞与支払い日から5日以内に日本年金機構または所轄の年金事務所へ提出しなければなりません。提出方法は窓口、郵送、電子申請が可能です。

新規適用届に賞与支払予定月を記入した場合は、支払予定月の前月に日本年金機構から「賞与支払届」及び「賞与不支給報告書」が郵送されますので、そちらを利用することも可能です。

賞与支払届に記載する際の注意点について

・標準賞与額の記載

賞与にかかる保険料は実際に支払われた賞与額(税引き前の総支給額)から1,000円未満を切り捨てた額を「標準賞与額」とし、その額に保険料率をかけた額となります。

例)支給された賞与額(税引き前)が754,326円だった場合、標準賞与額は754,000円となります。

※標準賞与額には上限があります。

健康保険は年度(4月から翌年3月)の累計額が573万円

厚生年金保険は1か月あたり150万円(同一月に複数回支給がある倍は合算額)

これらを超える部分には保険料はかかりません。

※健康保険については、同一年度内で複数の被保険者期間がある従業員から、賞与の累計額が573万円を超える申し出があった場合、事業主は「健康保険標準賞与額累計申請書」を日本年金機構又は所轄の年金事務所へ提出します。

・備考欄への記載

以下の方については賞与支払届の備考欄に記載が必要となります。

①対象者が70歳以上の被用者

※個人番号または基礎年金番号の記載も必須となります。

②二以上勤務者

③同一月内の賞与がある方

賞与を支払わなかった時の届け出について

予定していた月に賞与が支払われなかった場合は、賞与不支給報告書を作成して提出をします。この報告書はすべての社会保険被保険者に賞与を支給しなかった場合に提出をしますが、もし支給している方としていない方とがあった場合は、この届出は不要となります。支給しなかった人を除いて賞与支払届を記載し、届出をします。

日本年金機構に届け出ている従前の賞与支払予定月を変更したい場合には、賞与不支給報告書を提出する際に、変更に必要な事項を記載して提出をすることで変更することができます。

保険料の納付について

保険料については、月々の保険料のように「標準報酬月額・保険料額表」は使用せず、前述した方法で算出した標準賞与額に、健康保険・厚生年金保険の保険料率を直接かけた額が保険料となります。厚生年金は18.3%で固定されていますが、一方で健康保険は都道府県や介護保険第2号被保険者に該当するか否かで保険料率が変わります。

保険料は賞与支払月の翌月の納入告知書等で通知がされますので、月末までに納付する必要があります。

手続きをしない場合のリスクと罰則

・従業員が将来貰える老齢年金が減るなどの影響がある

・従業員が病気やケガで障害を負うことになった場合にもらえる障害年金が減るなど影響がある

・従業員が亡くなった場合にもらえる遺族年金が減るなど影響がある

社会保険はその納めた保険料により受け取る年金額が変わります。しかし保険料を納められる期限は2年なので、それ以上遡って納付することはできません。

すなわち事業主が届出を怠れば、納めるはずの保険料が納められず、従業員の将来の大きな不利益につながります。従業員の正当な権利を遺失する事になるので、最悪の場合は従業員から訴えられることもあります。

2年遡及して未納保険料の納付することになる

社会保険調査などで届出の不備が見つかった場合には、2年まで遡って保険料の納付を求められることがあり、納付額が大きくなることも問題です。

また、保険料は労使でそれぞれが負担する仕組みですが、納付そのものは事業主が行います。本来は毎月のお給料から従業員負担分を控除しますが、過去の事業主の届け出不備により、従業員のお給料から過去分の多額の社会保険料控除をしなければならないことにもなりかねません。またすでに退職している従業員がいる場合も考えられますが、連絡が取れない場合は当然、事業主は従業員負担分の保険料を回収できないことになります。

届出は事業主の義務、罰則や罰金もある

随時改定に伴う月額変更届や、賞与を支給した際の賞与支払届の提出は事業主の義務となっていますので、これらの義務を怠れば当然罰則があります。

届出をせず、また虚偽の報告をした場合は6か月以下の懲役または30万以下の罰金となりますので、正しい処理は必ず行って下さい。

最後に

社会保険の加入について理解していても、月額変更届や賞与支払届についてはご認識されていない事業主の方が多く、算定基礎届の作成時に「賞与支払届は出されていますか?」と伺うと「知らなかった」とおっしゃる方がいらっしゃいます。

お忙しい事業主の方にとって、社会保険における多くの煩雑な手続きを、適切にかつ確実に行うことは大変なご負担です。

社会保険労務士の顧問契約まではまだ必要ではない場合は、ぜひ都度払いが可能なスポット契約をご検討ください。専門家に依頼すれば当然正しい手続きが行えますし、かつ、必要な時にだけ費用が発生するという契約が可能です。月々の定額顧問料は不要で、必要な時だけ契約が出来るので、大変多くの事業主の方にご利用頂いています。

この手続きだけ、この相談だけ、この賃金台帳のチェックだけ、など、スポット契約でのご依頼もご依頼ください。もちろん顧問契約をご希望であれば、もちろん対応可能です。

ご不明点はお気軽にお問合せください。

最安値の社会保険手続きをするなら

全国のあらゆる社会保険手続きと労務相談を「顧問料なしのスポット」で代行するWebサービス社労士クラウド
懇切丁寧 ・当日申請・全国最安値価格| 1,800社以上の社会保険手続き実績|