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キャリアアップ助成金正社員化コースの条件とは?対象者の要件と申請期間、人数などを解説

キャリアアップ助成金の正社員化コースは、非正規雇用から正社員への転換を支援する制度で、特に中小企業にとっては人材の安定確保や雇用コストの削減に大きなメリットがあります。しかし、受給のためには厳格な条件をクリアする必要があり、申請手続きにおける不備が原因で助成金を受け取れないケースも少なくありません。

この記事では、キャリアアップ助成金正社員化コースの受給に必要な条件を分かりやすく解説し、特に対象となる事業主や労働者の条件、受給するための条件についても詳しくご紹介します。

ぜひ、助成金活用をお考えの方はぜひ参考にしてください。

この記事を監修した人

生島社労士事務所代表

生島 亮

いくしま りょう

https://syarou-shi.com/

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キャリアアップ助成金の正社員化コースとは?概要と適用条件

キャリアアップ助成金の正社員化コースは、非正規雇用労働者を正社員として安定した雇用形態に転換することで、企業の人材育成と雇用の安定を支援する制度です。

この制度により、企業は正社員化にかかるコストを補助され、非正規雇用から正規雇用への転換を促進することができます。特に中小企業にとっては、キャリアアップ助成金の活用により、優秀な人材の確保と職場環境の改善が実現できるため、大きなメリットがあります。

以下では、キャリアアップ助成金の概要と、正社員化コースの適用条件について詳しく解説します。

キャリアアップ助成金は誰がいくらもらえる?対象者や支給金額を解説

キャリアアップ助成金の概要

キャリアアップ助成金は、厚生労働省が提供する助成制度で、契約社員や派遣社員、アルバイト、パートタイマーなど非正規雇用の労働者が正社員へ転換できるように支援することを目的としています。この助成制度は、非正規雇用者を正社員化する際にかかるコストの一部を企業に補助し、労働者のキャリア形成やスキル向上、さらには企業の定着率改善にも寄与するものです。

この助成金は「正社員化支援」と「処遇改善支援」の2つの柱に分かれており、それぞれに複数のコースが設定されています。これらのコースは、労働者のキャリアアップを促進し、企業の生産性向上を図る重要な施策として活用されています。特に中小企業や小規模事業者にとっては、優秀な人材の確保と職場環境の改善に大きく役立ちます。

全コースの条件や申請方法については、以下の記事もご参照ください。

【令和6年版】キャリアアップ助成金の正社員化コースとは?条件や申請方法、支給金額を社労士がわかりやすく解説

生島社会保険労務士
生島社会保険労務士

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正社員化コース助成金の適用条件概要

キャリアアップ助成金の正社員化コースは、非正規雇用の労働者を正社員に転換することで助成金が支給される制度です。適用対象となる労働者は、「有期契約労働者」と「無期契約労働者」に分かれており、各労働者の雇用形態に応じて助成金が支給されます。

  • 有期契約労働者:
    契約社員や有期パート・アルバイトなどが該当します。この労働者を正社員に転換した場合、中小企業では80万円(40万円×2回)が助成されます。
  • 無期契約労働者:
    無期契約社員や無期パート・アルバイトが対象となり、正社員に転換した場合、中小企業には40万円(20万円×2回)が支給されます。

なお、これらの助成金支給額は中小企業向けのものであり、大企業の場合は支給額が75%に減額されます。このように、労働者の雇用形態や企業規模に応じた支援が行われることで、非正規雇用から正社員への円滑な転換が促進されます。なお、中小企業の範囲については、後ほど「対象事業主の条件」で詳しく解説します。

非正規雇用労働者を正社員に転換した際に、以下の条件を満たしていることが正社員化コース助成金の支給の要件となります。

  • 無期限かつフルタイムでの雇用契約:
    正社員として継続的な雇用が保証されていること。
  • 昇給が適用されていること:
    定期的な昇給が制度として設定されていること。
  • 賞与や退職金が支給されること:
    正社員に適用される福利厚生として賞与や退職金が提供されること。
  • 非正規雇用時と比べて待遇差があること:
    正社員化による待遇改善(例:賞与や手当の増加)があること。

以上がキャリアアップ助成金正社員化コースの適用条件の概要です。次の項目では、具体的な対象者の要件と受給条件について詳しく解説していきますので、ぜひご確認ください。

キャリアアップ助成金正社員化コースの対象事業主の条件

キャリアアップ助成金の正社員化コースを申請できる事業主には、いくつかの条件が定められています。助成金を活用することで、非正規雇用労働者を正社員に転換し、雇用の安定や労働環境の向上を図ることができますが、支給対象となる事業主と対象外となる事業主があるため、事前に要件を確認することが重要です。

以下で、支給対象となる事業主の要件や、申請可能な中小企業の範囲について詳しく説明します。

支給対象となる事業主の要件

キャリアアップ助成金の正社員化コースを受給するには、事業主が以下の要件を満たしている必要があります。

  • 雇用保険適用事業所であること
    支給決定日の時点で、事業所が雇用保険の適用事業所として認定されていることが必要です。
  • キャリアアップ管理者を設置
    各雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を配置していることが求められます。キャリアアップ管理者は、他の事業所や労働者代表との兼任は不可とされています。
  • キャリアアップ計画の作成および認定
    雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者向けのキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長から認定を受けることが必要です。
  • 労働条件および賃金に関する書類の整備
    労働条件、勤務状況、賃金支払い状況を示す書類を整備し、賃金の支払い方法を明確にしていることが求められます。
  • キャリアアップ計画の実施
    計画期間内に計画に基づく取り組みを行い、支給申請時点でコースの全ての支給要件を満たしている必要があります。
  • 労働保険料の納入状況
    労働保険料を滞納なく納入していることが条件です。
  • 健全な事業活動
    過去1年間に労働関係法令違反がなく、また風俗関連や接待を伴う営業を行っていないことが求められます。反社会的勢力との関与も禁止されています。
  • 転換日を基準として、前後6か月以内に会社都合での退職者がいないこと
    退職者がいる場合、6か月間の助成金受給が不可となる場合があります。
  • 倒産していないこと
    支給申請日および支給決定日の時点で、事業所が倒産していないことが求められます。
  • 不正受給の未実施
    過去7年以内に、キャリアアップ助成金の不正受給を行っていないことが要件です。

個人事業主の方も条件を満たすことでキャリアアップ助成金の申請をすることができます。

キャリアアップ助成金は個人事業主も利用できる助成金制度?申請条件と対象者を解説

受給対象外となる事業主の条件

以下の条件に該当する事業主は、キャリアアップ助成金正社員化コースの受給対象外となります。

  • 労働保険料の未納
    労働保険料が未納である場合、特に支給申請した年度の前年より前の保険年度の未納がある場合、助成金の受給が不可となります。
  • 過去1年間に労働関係法令違反を行った事業主
    労働基準法や雇用保険法など、関連法令の違反履歴がある場合、申請は受理されません。
  • 特定の事業内容に従事する事業主
    性風俗関連営業や接待を伴う飲食店営業を行っている事業主やこれらの営業を受託している事業主は対象外です。
  • 反社会的勢力に関与している事業主
    暴力団などの反社会的勢力と関わりがある事業主、もしくはその統制下にある団体に属する事業主も対象外です。
  • 申請内容や提出書類に虚偽がある事業主
    虚偽の申請や書類提出が確認された場合は助成金が受給できません。
  • 事業所が廃止された場合や雇用保険被保険者が0人の事業所
    申請時に事業所が廃止されている、または雇用保険被保険者が0人の事業所も対象外です。

事業主がこれらの条件を確認し、自社が適格かどうかを見極めることが、助成金申請をスムーズに行うために重要です。

対象となる中小企業の範囲(大企業と中小企業の区分)

キャリアアップ助成金では、企業規模によって支給額が異なります。特に中小企業と大企業の区分が助成額に影響するため、自社がどの区分に該当するかを理解しておくことが大切です。以下の条件で中小企業と大企業が区分されます。

業種中小企業とみなされる基準
製造業・建設業・運輸業資本金3億円以下 または 従業員300人以下
卸売業資本金1億円以下 または 従業員100人以下
サービス業資本金5,000万円以下 または 従業員100人以下
小売業資本金5,000万円以下 または 従業員50人以下

これらの基準により、事業主が中小企業か大企業かを判断し、それに応じた助成額を確認することが求められます。中小企業の基準を満たしている場合、助成金の支給額は大企業に比べて高く設定されていますので、自社の区分を確認し、適切な支給額で申請を行いましょう。

キャリアアップ助成金正社員化コースの対象労働者の条件

キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、助成金を受給するために対象となる労働者がいくつかの要件を満たしている必要があります。また、特定の条件に該当する従業員は対象外とされる場合があります。

以下に、対象となる労働者の要件と、対象外となる従業員の例について説明します。

対象となる労働者の要件

キャリアアップ助成金正社員化コースの支給対象となるのは、以下のすべての条件に該当する労働者です。

  • 非正規雇用であること
    対象は、契約社員、パートタイマー、アルバイト、派遣社員など、正社員以外の雇用形態で勤務している労働者です。ただし、正社員として雇用することを前提として採用された契約社員は対象外となります。
  • 賃金の異なる雇用区分の就業規則が適用されていること
    賃金の額や計算方法が正社員とは異なる契約で、通算6か月以上勤務していることが必要です。または、事業主が実施した有期実習型訓練を修了している契約社員も対象となります。
  • 事業主や取締役の3親等以内の親族でないこと
    労働者は、事業主やその家族に当たらない必要があります。親族が事業主である場合は助成金対象外です。
  • 密接な関係にないこと
    転換日や直接雇用日の前日から3年以内に事業主と密接な関係(関連会社の従業員や役員など)がないことが求められます。
  • 特定の支援事業所利用者でないこと
    障害者支援のための法律に基づく就労継続支援A型事業所の利用者は、対象外とされています。
  • 支給申請日までに離職していないこと
    支給申請日までに雇用状態が継続し、離職していないことが条件です。また、転換後に再び非正規雇用に戻る予定がないことも求められます。
  • 転換後の雇用に定年制が適用される場合、定年まで1年以上あること
    転換または直接雇用日から定年までの期間が1年以上ある場合に限り、対象とされます。
  • 以前に定年を迎えた者でないこと
    事業所内で一度定年を迎えた労働者を再雇用して正社員に転換する場合は、支給対象外となります。

これらの要件を満たすことで、労働者はキャリアアップ助成金の正社員化コースの支給対象となります。

対象外となる従業員の例(親族や過去の解雇者など)

以下に該当する労働者は、キャリアアップ助成金正社員化コースの対象外となります。

  1. 親族関係にある労働者
    事業主や経営者と親族関係にある労働者は対象外です。具体的には、3親等以内の親族(配偶者、親、子、兄弟姉妹など)が該当します。
  2. 過去の解雇者
    以前に同じ事業所で解雇された労働者を再雇用し、正社員に転換する場合は対象外となります。解雇者の再雇用による助成金の申請は認められていません。
  3. 試用期間中の労働者
    正社員への転換が試用期間中である場合も対象外とされることが多いため、正社員化の際には試用期間の設定に注意が必要です。
  4. 一時的な雇用契約者
    短期間の雇用契約で雇われた臨時労働者や季節雇用の労働者は、原則として対象外です。

これらの対象外条件を確認し、事前に該当する従業員を把握しておくことで、助成金申請の適格性を確保することが重要です。

キャリアアップ助成金正社員化コースの受給要件と申請条件

キャリアアップ助成金の正社員化コースを利用するには、事前にいくつかの要件を満たしている必要があります。助成金を受給するためには、正社員化に向けた準備や条件整備が求められ、事前の手続きと正社員転換後の要件をしっかりと理解しておくことが重要です。

以下が正社員化コース助成金の支給申請までの流れです。

この流れでは、就業規則に基づく正社員化の前後で、受給申請に必要な条件がそれぞれ存在します。上記支給申請までの流れの画像に示されている通り、事業主はキャリアアップ計画の作成・提出や就業規則の改定、正社員転換後の賃金支払いなどの手続きを順に行い、支給申請までの準備を整える必要があります。

キャリアアップ助成金正社員化コースの詳しい申請方法や流れについては下の記事でわかりやすく解説しています。

【2024年版】キャリアアップ助成金とは?条件や申請方法、支給金額を社労士がわかりやすく解説

次に、受給のための前提条件と具体的な受給要件について、それぞれ詳しく説明します。

受給のための前提条件

キャリアアップ助成金正社員化コースの申請を行う前には、以下の準備が必要です。

  • 正社員転換前にキャリアアップ計画書の作成と提出をする
  • 正社員転換前に就業規則への転換制度の記載と届出をする
  • 対象の非正規社員の雇用契約書を作成する

詳しく解説していきますね。

キャリアアップ助成金の正社員化コースを申請するためには、事前に「キャリアアップ計画」を作成し、労働局へ提出することが必須です。この計画書は、非正規雇用労働者を正社員へ転換するための取り組みを計画的に進めるもので、具体的な目標とスケジュールが記載されています。

キャリアアップ計画書の作成にあたっては、以下のポイントを考慮してください。

  1. キャリアアップ管理者の設定
  2. 有期雇用労働者等のキャリアアップに関するガイドラインに基づいた取り組みの設計
  3. 3年以上5年以内の計画期間の設定
  4. 計画対象者、目標、期間、目標を達成するために事業主が行う取り組みなどの記載
  5. 計画対象となる労働者の意見が反映されるよう、契約社員等を含む事業所内の全ての労働者代表の意見を反映

このようにキャリアアップ計画を作成し、労働局へ提出することで、助成金申請に向けた基盤を整え、計画的に正社員化への取り組みを進めることができます。

正社員転換前に就業規則への転換制度の記載と届出をする

キャリアアップ助成金の正社員化コースを申請するためには、就業規則に正社員転換制度を明文化することが求められます。この規定には、非正規雇用者が正社員へ転換する際の具体的な条件や手続き、労働条件の変更内容が明示されている必要があります。これにより、転換プロセスの透明性と公正さが確保され、労働者の権利保護にもつながります。

就業規則の整備にあたっては、以下のポイントに留意しましょう。

  • 非正規雇用者が正社員に転換する際の条件や手続き、労働条件の変更について明示されていること
  • 10人未満の企業でも就業規則を整備する
  • 転換制度が規定された就業規則を6か月以上適用していること

就業規則の作成義務がない10人未満の企業でも、助成金申請のためには転換制度を規定した就業規則を作成し、労働局へ届出を行う必要があるので注意してください。

適切な就業規則を整備することで、助成金申請がスムーズに進み、不支給のリスクを最小限に抑えることができます。就業規則の作成や改訂については、必要に応じて管轄の労働局や社労士のアドバイスを受けながら進めることが推奨されます。

対象の非正規社員の雇用契約書を作成する

正社員化対象の非正規社員について、雇用契約書を作成しておくことが必要です。契約書には、非正規社員としての雇用条件や職務内容、就業期間などを明確に記載し、正社員転換が行われるまでの雇用関係をしっかりと整備します。

また、新たに非正規社員を雇用する場合には、6か月後に正社員化を前提とした非正規雇用として採用しないよう注意が必要です。正社員を前提とする非正規社員の雇用は助成金申請が通らないため、正社員と非正規社員の求人は分けて求人票を作成・提出することが重要です。

このようにして、正社員化を見据えた非正規雇用契約を適切に整備することで、助成金の支給要件を満たし、申請の準備が整います。

次に、具体的な受給要件を満たすための条件や申請に必要な帳簿について説明します。

受給要件を満たすための具体的条件

キャリアアップ助成金の正社員化コースを受給するためには、具体的な条件を満たす必要があります。ここでは、助成金を申請する際に重要なポイントとなる、正社員化の実施方法や賃金の支払い条件、申請期限について説明します。

就業規則に基づく、正社員化の実施

改定した就業規則に基づき、対象となる非正規雇用労働者を計画通りに正社員へ転換します。転換手続きを計画に従って進め、労働者に対して新たな雇用条件を正式に提示し、転換を完了させます。

なお、正社員転換後には、契約社員時と比べて「基本給」が3%以上(5%以上が推奨)増額されていることが必要です。これにより、正社員化による待遇改善が実現され、助成金支給要件の一つである賃金の増額基準を満たします。

正社員に転換後、賃金の支払い条件を満たしている

正社員化コースの助成金を受けるためには、正社員転換後の賃金支払いに関して、以下の条件を満たす必要があります。

  • 正社員に転換後、6か月以上の期間継続して雇用し、その6か月分の賃金を支給すること
  • 正社員化後の6か月間の賃金が、正社員化前の6か月間の賃金と比較して3%以上増額されていること

これらの賃金に関する要件を満たすことで、キャリアアップ助成金の支給対象として適格となります。

支給申請期間内に申請すること(期限を1日でも過ぎると不可)

キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、支給申請が1期目と2期目の2回に分かれており、それぞれの申請期間内に行う必要があります。申請期限を1日でも過ぎてしまうと申請を受け付けてもらえなくなるため、スケジュール管理を徹底することが非常に重要です。

申請期間の具体的な流れは以下の通りです。

  1. 1期目の支給申請
    正社員転換日が4月1日の場合、6か月間の賃金算定期間を経て、9月30日に6か月目の賃金が確定します。賃金支払日は10月15日で、その翌日である10月16日から2か月以内(12月15日まで)に1期目の支給申請を行う必要があります。
  2. 2期目の支給申請
    1期目の6か月の後、さらに次の6か月間も雇用が継続されることで、3月31日に2期目の賃金が確定します。賃金支払日が4月15日で、その翌日である4月16日から2か月以内(6月15日まで)に2期目の支給申請を行います。

この制度により、企業は人材を長期的に安定確保し、成長と生産性の向上につなげることが期待できます。助成金を確実に受給するためには、各期の申請期限を把握し、適切なタイミングで申請するよう心掛けましょう。

申請時に必要な帳簿の提出

キャリアアップ助成金の正社員化コースを申請する際には、以下の帳簿や書類を提出する必要があります。これらの書類は、正社員転換が適切に行われたことを確認するために重要な証拠となります。

  • 就業規則
    正社員用および非正社員用の就業規則がある場合は、双方の就業規則を提出する必要があります。
  • 出勤簿(タイムカード)
    正社員転換の前後6か月分の出勤簿を提出します。
  • 労働条件通知書(雇用契約書)
    正社員転換前と転換後の労働条件が明記された労働条件通知書(雇用契約書)を提出します。
  • 賃金台帳
    転換前および転換後の6か月分の賃金台帳が必要です。賃金台帳によって、正社員転換に伴う賃金の増額(3%以上)が適切に実施されているかが確認されます。

これらの書類を適切に整備し、申請時に提出することで、助成金申請の審査をスムーズに進めることが可能です。

キャリアアップ助成金正社員化コース申請の際の注意点

キャリアアップ助成金の正社員化コースを申請する際には、いくつかの注意点を理解しておくことが重要です。助成金を確実に受給するために、以下の要点を押さえて申請に臨みましょう。

6ヶ月後に正社員に転換することを前提で有期雇用するのはNG

助成金の申請にあたって、非正規雇用者を「6か月後に正社員に転換することを前提」として有期雇用契約を結ぶことは禁止されています。あくまでも、正社員転換は計画に基づいた取り組みの一環として行われるものであり、雇用時に「正社員化前提」の条件を付けないようにしましょう。このような条件がある場合、助成金の支給対象外となる可能性があるため注意が必要です。

キャリアアップ計画期間(3年〜5年)が終了したら更新手続きをする

キャリアアップ計画は通常、3年から5年の期間で設定されますが、計画期間が終了した場合には、更新手続きを行う必要があります。計画を継続的に実施し助成金を受給するためには、計画期間の管理と更新手続きを忘れないようにしてください。更新を怠ると、助成金の申請に影響が出る可能性があります。

就業規則が正社員用と非正社員用(有期・無期)に区分されているような就業規則を6か月以上適用を受ける必要がある

正社員化にあたって、就業規則が正社員用と非正社員用(有期・無期)に区分されている場合、それらの就業規則を6か月以上適用していることが助成金申請の条件となります。転換制度の適用が6か月以上続いていることで、転換制度の実施が計画的に行われていることが確認され、助成金支給の要件を満たします。

残業代は1分単位で支給する必要がある

助成金を申請するためには、正社員転換後の労働条件が適切であることが求められます。その一環として、残業代は1分単位で正確に支給しなければなりません。残業代を切り捨てたり、まとめて計算するなどの方法は認められていないため、正確な計算と支給が重要です。

固定残業代を採用している会社は3%アップに注意が必要になる

固定残業代を採用している企業では、賃金の3%以上の増額に注意が必要です。基本給を3%増額するだけでは、助成金の支給条件を満たさない可能性があります。固定残業代が含まれる場合、基本給だけでなく、全体の賃金が3%以上増額されるように計算を行い、条件を満たすようにしましょう。

第1期と第2期の期間で条件を満たさないと満額の金額(80万円/有期→無期)は支給されない

キャリアアップ助成金の支給は、1期目と2期目に分かれ、それぞれの期間で条件を満たすことが求められます。条件が満たされない場合、満額の金額(例:有期→無期で80万円)が支給されないため、各期の要件をしっかりと確認しましょう。適切な計画と条件の管理が、助成金の受給に不可欠です。

これらの注意点を事前に確認し、要件を満たしたうえで申請手続きを進めることで、助成金の受給が確実になります。

キャリアアップ助成金 正社員化コースを支給申請するにあたり、注意すべき点は他にもたくさんあります。詳しく下の記事で正社員化コースの注意点や不支給になるケースをわかりやすくまとめています。

参考)キャリアアップ助成金の正社員化コース支給申請時の注意点!不支給になる失敗例も解説

キャリアアップ助成金 正社員化コースのよくあるQ&A

キャリアアップ助成金の正社員化コースを利用するにあたり、よくある質問とその回答を以下にまとめました。申請前に疑問を解消し、助成金の受給に役立ててください。

賃金3%増額の際に賞与は含まれますか?

賃金の3%増額要件において、基本的には賞与は含まれません。キャリアアップ助成金では、月々の基本給や手当を含めた賃金が正社員転換前と比べて3%以上増額されていることが求められています。賞与はあくまで年に数回の支給であり、毎月の賃金に含まれるものではないため、3%増額の計算には対象外となります。ただし、計算方法や適用基準に関しては変更がある場合があるため、申請前に最新の要件を確認することをお勧めします。

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正社員転換の対象とならない例は?

キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、すべての非正規雇用者が対象となるわけではありません。

以下のような例では、正社員転換の対象外となります。

  • 事業主または取締役の3親等以内の親族(家族や近親者が含まれます)
  • 過去3年以内にその企業と密接な関係があった者(再雇用や元社員などのケース)
  • 正社員として雇用することを前提に雇用された契約社員等(初めから正社員化が約束されている場合)

これらに該当する場合、助成金の支給対象から外れるため、あらかじめ確認が必要です。

これらのポイントに留意することで、助成金申請がスムーズに進み、不支給のリスクを減らすことができます。初めての申請でも事前に準備を整えて、確実に手続きを進めましょう。

まとめ:受給条件を理解することが正社員化コース助成金を成功させる鍵

キャリアアップ助成金の正社員化コースを利用するには、受給条件をしっかりと理解し、各要件を満たすことが成功への鍵となります。非正規雇用者を正社員に転換することで企業の人材を安定的に確保し、雇用環境を改善する助成金制度ですが、そのためには計画的な準備と、厳密な条件管理が不可欠です。

各ステップの細かい条件を確認し、就業規則の整備やキャリアアップ計画の作成、賃金増額の確認、そして申請期限の厳守などに注意を払いながら取り組むことで、助成金の支給を確実にすることができます。

キャリアアップ助成金の審査が厳しい理由や申請を成功させるコツを詳しく解説しています。

キャリアアップ助成金の審査は厳しい?申請成功のコツや不支給になる理由を解説

さいごに:社労士への申請代行も検討する

助成金申請は要件が多く、提出書類も多岐にわたるため、初めての申請では不備が生じやすい面があります。そのため、申請手続きをスムーズに進めるために、社会保険労務士(社労士)への申請代行を検討することも一つの手段です。

社労士は、助成金申請のプロフェッショナルであり、各種書類の作成や条件確認、労働局との調整などを専門的にサポートしてくれます。申請の不備や期限遅れによる不支給リスクを最小限に抑え、助成金を確実に受け取るために、社労士の力を借りることも有効な選択です。

助成金の受給にあたっては、計画的な準備とプロフェッショナルのサポートを活用し、企業の成長と労働環境の改善に繋げていきましょう

社労士の顧問料の費用相場 社労士との顧問契約の必要性・顧問料の相場・サポート内容・メリットデメリットを徹底解説

生島社会保険労務士
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