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労災保険に加入していないと違法?未加入時の会社のリスクと対応方法を解説

労災保険は、従業員を1人でも雇う事業主(個人事業主を含む)が必ず加入しなければならない法定の制度で、正社員はもちろんパートやアルバイト、派遣社員など、あらゆる雇用形態の労働者が対象となります。

もし労災保険に加入していない状態が明らかになると、法令違反として罰則や追徴金などの厳しいペナルティが科されるだけでなく、労働基準監督署の調査や社会的信用の低下といったリスクにも直面しかねません。

本記事では労災保険に未加入の場合のリスク、罰則やペナルティの内容、具体的な対応方法について、実務上のポイントを交えながら詳しく解説します。

安全で安心な職場環境を築くために、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を監修した人

生島社労士事務所代表

生島 亮

いくしま りょう

https://sharoushi-cloud.com/

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従業員を雇用する事業主は労災保険への加入が義務! 加入条件と対象者

労災保険は、個人事業主・法人を問わず、従業員を1人でも雇用している場合は加入が義務付けられています。対象となるのは、正社員・パート・アルバイト・契約社員など、すべての雇用形態の労働者です。

労災保険は、労働災害が発生した際に迅速な治療費や休業補償、障害給付、遺族補償などの給付を行う制度です。労働基準法および労働保険法に基づき、事業主に加入義務があります。

「うちは従業員が少ないから…」「パートやアルバイトしかいないから…」

こうした理由で加入義務から免れることはできません。

派遣労働者については、派遣元の事業所が労災保険に加入します。そのため、派遣先の事業主が派遣労働者の労災保険手続きをする必要はありません。

生島社会保険労務士
生島社会保険労務士

労災保険に加入した場合は36協定の申請や概算保険料の申告も忘れずに行いましょう。 社会保険に関する手続き(届出・種類)は複雑で多くの専門的知識を必要とするため、社労士に依頼することも検討してください。

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例外も!労災保険に加入できないケース

労災保険は、原則としてすべての従業員を雇用する事業主に加入義務がありますが、例外的に加入義務がないケースも存在します。

労災保険は、従業員が在籍する事業所に適用されるのが基本です。しかし、以下のような場合は、通常の労災保険の加入義務がありません。

◯一人親方や自営業者など、事業主自身が労働者として扱われない場合
例えば、従業員を雇用せず、自分一人だけで事業を行っている場合などが該当します。

◯法人の役員(代表取締役など)
原則として、労働者とはみなされません。

◯同居の親族のみを雇用する事業
原則として、労働者とはみなされません。(ただし、一般の労働者と同様の働き方をしている場合は、労働者とみなされることがあります。)

◯家事使用人
家庭で家事を行うために雇用されている方は、労働者とはみなされません。

◯海外派遣者(特別加入をしていない場合)
海外で働く方は、日本の労災保険の適用外となります。

※ ただし、上記に該当する場合でも、労災保険の特別加入制度を利用することで、労災保険の保護を受けられる場合があります。特別加入制度については、後ほど詳しく解説します。

労災保険に加入していない場合の罰則やペナルティ

労災保険への加入は、労働者を一人でも雇用している事業主に義務付けられています。もし、加入手続きを怠って未加入のままだと判明した場合、事業主には法的処罰や追加徴収など、さまざまな罰則・ペナルティが科されるリスクがあります。

ここでは、具体的な罰則やペナルティの内容について、わかりやすく解説していきます。

未払い保険料の徴収と追徴金の加算徴収

労災保険に未加入であることが発覚した場合、まず、過去に遡って未払い保険料が一括で徴収されます。これは、事業主が本来支払うべきであった保険料を、後からまとめて納付するということです。

遡って徴収される期間は、原則として最大2年間です。さらに、単に未払い保険料を徴収されるだけでなく、追徴金が加算される場合があります。

追徴金は、未払い保険料に対するペナルティのようなもので、納付すべき保険料額の10%に相当する額が、原則として加算されます。

例えば、未払い保険料が100万円だった場合、10万円の追徴金が加算され、合計110万円を支払わなければなりません。未加入期間が長くなるほど、遡って徴収される保険料も、追徴金も高額になるため、経済的な負担は非常に大きくなります。

特に注意が必要なのは、行政庁(労働基準監督署など)から労災保険の加入手続きを行うよう指導を受けたにもかかわらず、手続きを怠っていた場合です。この場合、行政庁は職権で加入手続きを行い、労働保険料を認定決定します。認定決定された場合、遡って保険料を徴収されるだけでなく、追徴金も必ず徴収されることになります。

労災保険の未加入は、「知らなかった」「手続きが面倒だった」では済まされません。未加入が発覚した場合の経済的な負担は非常に大きくなるため、必ず加入手続きを行い、適切に保険料を納付しましょう。

故意・重過失の場合は労災給付金を徴収される

労災保険に未加入の期間中に、労災事故が発生した場合、事業主はさらに重いペナルティを受けます。故意または重大な過失によって労災保険の加入手続きを怠っていた場合、労災保険から給付された金額の一部、または全額を徴収されることになります。これを「費用徴収制度」といいます。

◯故意に未加入であった場合:給付額の100%を徴収

労災保険の加入義務を知りながら、意図的に加入手続きを行わなかった場合です。

重大な過失により未加入であった場合:給付額の40%を徴収

加入義務を知らなかったとしても、少し注意すれば加入義務があることを容易に認識できたにもかかわらず、漫然と加入手続きを行わなかった場合です。

事例1:故意に労災保険に未加入だった場合

建設業を営むA社は、従業員を10人雇用し、年間の賃金総額は5,000万円でした。しかし、A社の社長は、労災保険の加入義務を知りながら、「保険料が高い」という理由で、意図的に加入手続きを行っていませんでした。

ある日、A社の従業員Cさんが、現場で高所から転落し、脊髄を損傷する重傷を負いました。Cさんは労災保険給付を申請し、以下の給付を受けました。

  • 治療費:200万円
  • 休業補償給付:150万円(休業4ヶ月)
  • 障害補償給付:150万円(後遺障害等級7級)
  • 合計:500万円

しかし、A社は労災保険に故意に未加入であったため、以下の金額を徴収されることになりました。

◯未払い保険料(2年分):
5,000万円(年間賃金総額)× 9/1000(建設業の労災保険率)× 2年 = 90万円

◯追徴金:
90万円(未払い保険料)× 10% = 9万円

◯労災給付費用徴収額(故意による未加入):
500万円(給付額)× 100% = 500万円

合計徴収額:
90万円 + 9万円 + 500万円 = 599万円

事例2:重大な過失により労災保険に未加入だった場合

個人事業主のBさんは、新たに飲食店を開業し、従業員を3人雇用しました。しかし、Bさんは、労災保険の加入義務を知らず、手続きを行っていませんでした。

従業員の年間の賃金総額は900万円程度を見込んでいました。

開店から3ヶ月後、Bさんの店の従業員Dさんが、調理中に誤って熱湯を浴び、腕に大やけどを負いました。Dさんは労災保険給付を申請し、治療費として100万円の給付を受けました。

Bさんは、労災保険の加入義務を知らなかったものの、「従業員を雇用していれば、何らかの保険に加入する必要があるはずだ」という認識は持っていました。しかし、具体的な確認を怠ったため、重大な過失があったと判断され、以下の金額を徴収されることになりました。

◯未払い保険料(3ヶ月分):
900万円(年間賃金総額) × 6/1000(飲食店[小売業]の労災保険率)× 3/12= 13,500円

◯追徴金:
13,500円(未払い保険料)× 10% ≒ 1,350円(100円未満切り捨て)

◯労災給付費用徴収額(重大な過失による未加入):
100万円(給付額)× 40% = 40万円

◯合計徴収額:
13,500円 + 1350円 + 40万円= 414,850円

Bさんは、労災保険の加入義務を知らなかったとはいえ、確認を怠ったことで、多額の費用負担を負うことになりました。

労働基準法違反による処分(6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金)

労災保険への加入義務は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(労働保険徴収法)で定められています。労災保険に未加入の場合、この法律に違反することになり、罰則が適用される可能性があります。具体的には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

これは、労災保険の未加入が、単なる手続き上の問題ではなく、法律違反であることを意味しています。さらに、厚生労働省が悪質と判断した場合は、企業名が公表されることもあります。企業名が公表されると、社会的信用を大きく失うことになり、事業の継続にも影響が出かねません。なお、罰則の根拠となる条文は、労働保険徴収法 第46条、第51条です。事業主が労働保険料の申告を怠ったり、虚偽の申告をしたりした場合などに、罰則が適用されます。

ペナルティや社会的使用の低下

労災保険に未加入の事業所は、ハローワークなどの公共職業安定所に求人を出すことができない場合があります。

これは、公共の職業安定所が、労働者の保護を目的としているため、労働基準法や労働保険徴収法などの法令を遵守していない事業所の求人を扱うことができないからです。さらに、労災保険の未加入が発覚した場合、その情報が厚生労働省や労働局のウェブサイトなどで公表されることがあります。

この企業名公表は、未加入事業所に対する制裁であると同時に、労働者に対して注意喚起を促す意味合いもあります。企業名が公表されると、求人媒体(求人サイト、求人誌など)の利用が制限されたり、掲載を停止されたりする可能性があります。

多くの求人媒体では、法令遵守を掲載基準としており、労災保険未加入の事業所は、この基準を満たさないと判断されるためです。その結果、求職者からの信頼を失い、応募者が減少するなど、採用活動に大きな影響が出ることが懸念されます。

また、労災保険の未加入は、企業の社会的信用を大きく損なう行為です。

取引先や金融機関からの信用を失い、融資が受けられなくなったり、取引を停止されたりするなど、事業の継続が困難になることも考えられます。インターネット上などで情報が拡散され、風評被害を受ける可能性も否定できません。優秀な人材を確保し、事業を継続・発展させていくためには、企業の信頼性が非常に重要です。労災保険の未加入は、採用活動だけでなく、企業経営全体に大きな悪影響を及ぼす可能性があることを認識しておく必要があります。

従業員への損害賠償責任

労災保険に未加入の状態で労災事故が発生した場合、事業主は、従業員(またはその遺族)に対して、損害賠償責任を負う可能性があります。
労災保険に加入していれば、労災保険給付によって、事業主の負担は軽減されます。
しかし、未加入の場合は、治療費、休業補償、慰謝料、逸失利益など、多額の賠償金を支払わなければならない可能性があります。

労災保険の未加入は、事業主にとって非常に大きなリスクを伴います。

「知らなかった」「手続きが面倒だった」では済まされません。

従業員を一人でも雇用している場合は、必ず労災保険に加入し、適切な対応をしましょう。

労災保険の未加入が発覚するケース

「労災保険に未加入だけど、バレないだろう…」
そう考えている事業主の方もいるかもしれません。

しかし、労災保険の未加入は、様々なきっかけで発覚します。

そして、発覚した場合には、遡って保険料を徴収されたり、罰則が科せられたりするなど、大きな不利益を被ることになります。

ここでは、労災保険の未加入が発覚する主なケースについて解説します。

労働基準監督署の調査

労働基準監督署は、労働基準法や労働安全衛生法、労働保険徴収法などの法律に基づき、事業所に対して調査を行うことがあります。
この調査は、「定期監督」「申告監督」「災害時監督」など、様々な種類があります。

  • 定期監督: 労働基準監督署が、定期的に事業所を訪問し、労働条件や安全衛生管理の状況などを確認します。
  • 申告監督: 労働者からの申告(相談、通報など)に基づいて、事業所を調査します。
  • 災害時監督: 労働災害が発生した際に、原因究明や再発防止のために事業所を調査します。

これらの調査の際に、帳簿や書類の提出を求められ、労災保険の加入状況が確認されます。

未加入が発覚した場合、労働基準監督署から加入指導を受けることになります。
悪質な場合は、送検されることもあります。

業務中に従業員の事故が起きた場合

従業員が業務中にケガや病気をした場合、まず労災保険給付の申請が行われます。この申請時に、事業所が労災保険に加入しているかどうかが必ず確認されます。

事業主が労災保険に未加入であっても、従業員は労災保険給付を受けることができます。しかし、給付が行われることで、未加入の事実が労働基準監督署に発覚します。

社会保険や税務調査

社会保険(健康保険・厚生年金保険)の調査や、税務署による税務調査の際に、労災保険の加入状況が確認されることがあります。これらの調査では、従業員の賃金台帳や源泉徴収簿などを確認するため、労災保険の未加入が発覚する可能性があります。

社会保険の調査は、日本年金機構(または健康保険組合)が、税務調査は税務署が、それぞれ行います。これらの調査で労災保険の未加入が発覚した場合、労働基準監督署に通報され、加入指導を受けることになります。

労働者の通報

労働者が労働基準監督署に通報するなどで事業主、事業所が労災保険に加入していないことが発覚するケースもあります。労働者からの通報があった場合、労働基準監督署は事業所に対して調査を行い、未加入が確認されれば、加入指導がされます。近年、労働者の権利意識の高まりや、インターネット上での情報共有などにより、労働者からの通報が増加傾向にあります。労災保険の未加入は、いつ、どのようなきっかけで発覚するか分かりません。


「バレなければ大丈夫」という考えは非常に危険です。

労災保険に未加入の場合の対応方法

労災保険に未加入の状態が発覚した場合、事業主は迅速かつ適切な対応を行うことが不可欠です。未加入状態を放置すると、未払い保険料の徴収や追徴金、その他の法的ペナルティが科せられるリスクが高まります。

ここでは、労災に遭う前に未加入に気づいた場合と、実際に労災事故が発生した後に気づいた場合の、それぞれの対応方法について解説いたします。

労災に遭う前に気づいた場合は労働基準監督署に連絡・手続き

従業員が労災に遭う前に、労災保険に未加入であることに気づいた場合は、速やかに労働基準監督署に連絡し、加入手続きを行いましょう。

「今さら加入しても、過去の分はどうなるの…?」と不安に思うかもしれませんが、労災保険は、過去に遡って加入することができます。

ただし、遡及期間は原則として最大2年間です。労働基準監督署には、正直に未加入の状況を伝えましょう。隠したり、嘘をついたりすると、より重いペナルティを受ける可能性があります。

具体的な手続きの流れは以下のとおりです。

  1. 労働基準監督署に相談:
    速やかに所轄の労働基準監督署へ連絡し、未加入状態を報告します。この際、未加入の理由や今後の対応計画についても説明し、指導を仰ぐことが重要です。
  2. 必要書類の準備:
    労働基準監督署の指示に従い、必要な書類を準備します。
    • 労働保険関係成立届
    • 労働保険概算保険料申告書
    • その他(事業の種類や規模によって異なる場合があります)
  3. 書類の提出:
    準備した書類を労働基準監督署に提出します。
  4. 保険料の納付:
    労働基準監督署の指示に従い、遡及期間分の保険料と追徴金(該当する場合)を納付します。

遡及加入の手続きは、通常の加入手続きよりも複雑になる場合があります。分からないことや不安なことは、労働基準監督署や社労士に相談しましょう。

労災に遭った際に気づいた場合は労基署に相談して給付申請

もし従業員が労災事故に遭ってしまった後に、労災保険に未加入であることに気づいた場合、まずは落ち着いて、労働基準監督署に相談しましょう。

労災保険に未加入であっても、従業員は労災保険給付を受けることができます。
しかし、通常の加入事業所とは、手続きの流れが異なります。

具体的な手続きの流れは以下のとおりです。

  1. 労働基準監督署に相談:
    事故発生後、まずは被災した労働者の状況を確認し、必要な医療措置や一時的な補償措置を講じます。その上で、労働基準監督署に連絡し、未加入状態であったことを報告し、今後の給付申請の手続きについて指導を仰ぎます。
  2. 労災保険給付の申請:
    労働基準監督署の指示に従い、従業員が労災保険給付の申請を行います。
    • 療養補償給付
    • 休業補償給付
    • 障害補償給付
    • 遺族補償給付
    • 葬祭料
    • 傷病補償年金
    • 介護補償給付

これらの給付の種類に応じて、必要な申請書や添付書類が異なります。

  1. 事業主の証明:
    労災保険給付の申請書には、事業主の証明欄があります。未加入の場合でも、事業主は、事実を証明する義務があります。
  2. 労働基準監督署の調査:
    労働基準監督署は、労災事故の状況や、事業所の労災保険加入状況などを調査します。
  3. 給付の決定:
    労働基準監督署の調査結果に基づいて、労災保険給付の支給・不支給が決定されます。

事故発生後であっても、速やかに労働基準監督署に相談し、給付申請手続きを進めることで、労働者が必要な補償を受けられるようになります。

労災保険の未加入は、従業員だけでなく、事業主にとっても大きなリスクとなります。
未加入に気づいた場合は、放置せず、速やかに適切な対応をしましょう。

従業員への説明責任

労災保険の未加入が発覚した場合、まず、事業主は従業員に対して、誠意をもって状況を説明する責任があります。

従業員は、自身の安全や補償に対する不安を抱くことがあるため、以下の点について、具体的に、分かりやすく伝える必要があります。

  • 労災保険に未加入であったこと、および現在の未加入状態の理由
  • 今後、速やかに法定手続きを実施し、労災保険に加入すること
  • 労働基準監督署から指導を受けた内容(例:過去の保険料の納付、再発防止策の提出など)
  •  再発防止に向けた具体的な対策(例:労災保険担当者の指定、加入手続きマニュアルの作成、定期的な研修の実施など)

従業員に対しては、事実を隠さず、誠実に状況を説明し、不安や迷惑をかけたことを率直に謝罪するとともに、迅速に対応することが重要です。

労災保険の加入手続きの流れ

従業員を雇用する事業主は、労災保険への加入手続きを必ず行わなければなりません。この手続きは、主に次の3つのステップに分かれています。

  1. ステップ① 労働保険の保険関係成立届の作成と提出(雇用した翌日から10日以内)
  2. ステップ② 労働保険概算保険料申告書の作成と提出(雇用した翌日から50日以内)
  3. ステップ③ 概算保険料の納付

各届出と納付期限、提出、納付先は以下にまとめています。

届出・納付提出期限提出先
保険関係成立届従業員を雇用した日の翌日から10日以内所轄の労働基準監督署
概算保険料申告書従業員を雇用した日の翌日から50日以内所轄の労働基準監督署、都道府県労働局、または金融機関
概算保険料の納付労働保険概算保険料申告書の提出期限と同じ(従業員を雇用した日の翌日から50日以内所轄の労働基準監督署、都道府県労働局、または金融機関

これらの手続きは、従業員を雇用開始した翌日から定められた期限内に必ず完了させる必要があります。手続きを怠ると、遡って保険料を徴収されるなどのリスクが生じるため、早めの対応を心がけましょう。これらの手続きは、初めて従業員を雇用した場合に必要な手続きです。

また、労災保険料は、年に1度の「労働保険の年度更新」で申告・納付します。年度更新とは、毎年6月1日から7月10日までの間に、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を申告・納付する手続きのことです。

初めて従業員を雇用した年度は、原則として、概算保険料を申告・納付し、翌年度の年度更新で、実際の賃金総額に基づいて計算した確定保険料との差額を精算します。

ただし、年度末に近い時期(例えば3月)に雇用を開始した場合は、初年度の年度更新で、概算保険料と確定保険料を同時に申告・納付することができます。

労働保険の年度更新とは?手続き方法や対象期間、申告書作成時の注意点をわかりやすく解説

労災保険のことでよくあるQ&A

ここでは、労災保険に関してよく寄せられる質問とその回答を、Q&A形式で分かりやすくまとめています。

労災保険は週20時間未満でも加入できますか?

労災保険は、労働時間に関わらず、原則として加入対象となります。正社員、パート、アルバイト、日雇いなど、雇用形態を問わず、労働者であれば労災保険の保護を受けることができます。

「週20時間未満だから」「短時間労働者だから」という理由で、労災保険の対象外となることはありませんので、ご安心ください。ただし、雇用保険については、週の所定労働時間が20時間未満の場合、原則として加入対象外となります。労災保険と雇用保険は、それぞれ別の制度であり、加入要件も異なりますので、注意が必要です。

個人事業主も従業員を雇った場合は労災保険の加入が義務ですか?

個人事業主の方でも、従業員を一人でも雇用した場合は、労災保険への加入が義務付けられています。これは、法人だけでなく、個人事業主にも適用される、労働保険徴収法上の義務です。従業員の雇用形態(正社員、パート、アルバイトなど)に関わらず、加入手続きが必要となります。

個人事業主は従業員を雇用したら労災保険の加入が義務!手続きや負担金額を社労士が解説

労災保険に加入していない一人親方(個人事業主)はどうなりますか?

労災保険は、労働者を保護するための制度ですので、原則として、事業主である一人親方(個人事業主)は加入できません。

しかし、一人親方のように、労働者を使用しないで事業を行う方でも、その業務の実態から、労働者に準じて保護することが適当であると認められる場合は、「特別加入制度」を利用して、労災保険に加入することができます。

特別加入制度は、任意加入の制度であり、加入を希望する場合は、所定の手続きが必要です。特別加入することで、業務中や通勤中のケガや病気に対して、労災保険給付を受けることができます。

従業員を雇用する場合に使える助成金制度はありますか?

従業員を雇用する際に利用できる助成金制度はいくつかあります。その中でも代表的なものが、「キャリアアップ助成金」です。

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者(有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者など)のキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善などの取り組みを行った事業主に対して支給される助成金です。

例えば、「正社員化コース」では、有期契約労働者などを正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に、助成金が支給されます。

【令和7年版】キャリアアップ助成金の正社員化コースとは?条件や申請方法、支給金額を社労士がわかりやすく解説

まとめ:労災保険の未加入は違法で罰則・損害賠償のリスクも

労災保険は、従業員を1人でも雇うすべての事業主に加入が義務付けられている制度で、未加入のまま放置すれば法律違反となります。

もし未加入が発覚すれば、さかのぼった保険料や追徴金の徴収だけでなく、重大な場合には罰金や懲役などの刑事罰が科される可能性もあるため、企業の信用が大きく揺らぐリスクが生じます。

さらに、労災事故が発生した際に保険給付が適用されない状態だと、治療費や休業補償、障害給付などを事業主が全額負担することになり、多額の賠償責任が経営を圧迫しかねません。

従業員の安全と企業のリスク管理を両立させるためにも、労災保険への加入は早めに、そして確実に行うことが不可欠です。

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