事業主の皆さんで、従業員を雇用している方は多くいらっしゃいますね。昨今はなかなか人が採用できず、これまでの採用基準を見直すなどの試行錯誤、努力を皆さんされています。その中で、外国人採用についてお考えになったことがある方も多くいるのではないでしょうか。
日本の労働人口は減少の一途をたどっており、国内で労働人口が劇的に増加することは考えづらい状況です。そもそものパイが限られているので、今後の採用は高齢者、被扶養者、外国人を視野にいれる必要があります。
高齢者を雇用した場合いつまで働いてもらうのか。子育て世帯の被扶養者にどれくらい働いてもらうのか。中々難しい問題です。
そこで外国人雇用です。
外国人の雇用を考える際に、在留資格(ビザ)が必要であることはご承知の通りですが、「技能実習制度」や「特定技能制度」などこれらの制度について、事業主の皆さんはどの程度の知識がおもちでしょうか。名前から想像するに研修体験なのかなと思われる方も多くありますが、いずれも「雇用契約」を締結し、労働基準法などの日本の法律が適用され、日本人労働者と変わらず労働者としての扱いとなります。
法改正が行われることが決定しており、技能実習制度が新たな就労育成制度へ変わることとなり、日本における外国人雇用は大きな変革期を迎えています。
外国人の雇用について、社会保険労務士が解説いたします。
生島社労士事務所代表
生島 亮
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普段の生活で外国人の方が働いている場面に出会うことは珍しくないのではないでしょうか。では日本では何人ぐらいの外国人の方が働いているのでしょう。
厚労省発表2023年10月末時点の外国人雇用についての届け出状況では、事業主に雇用される外国人労働者(特別永住者、在留資格「外交」・「公用」を除く)は過去最高の200万人を突破しました。また、雇用する事業所は約32万所となり、国別ではベトナムが最も多く、次いで中国、フィリピンとなっています。コロナ禍では増加率は一旦減少となりましたが、依然日本における外国人労働者は増え続けています。
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政府は事業主の皆さんからの「外国人雇用状況届出書」にて外国人雇用人数を把握しています。
日本において外国人の方を雇う時は保険加入要件を満たす場合は、社会保険も雇用保険も加入する必要があります。
また、これら保険手続き以外に、「外国人の雇用状況についての届出」が必要になります。雇用保険の加入要件を満たす方については、雇用保険加入時および喪失時の得喪届を提出することで雇用状況届の提出をしたことになります。
一方で雇用保険の加入要件を満たない方を雇用する場合においては(週20時間未満の労働の場合等)、雇い入れ、離職の場合共に、月末末日までに外国人雇用状況届出書を提出する必要があります。
外国人の方を雇用する際の手続きは、在留資格以外のことは日本人とほとんど変わりません。各種保険加入の要件を満たせば加入の手続きが必要です。たとえば社会保険適用事業所であれば、その方が加入要件を満たせば厚生年金等の社会保険に加入する必要があります。年金をもらえる加入期間に満たないまま自国に帰国した時などは、要件を満たす場合は脱退一時金の申請が可能で、その申請をすることで一部保険料が返還されることとなります。
「数年しかいないから」「本人が加入したくないというから」、という理由で未加入は認められません。要件を満たす限り社会保険や雇用保険など必要な保険加入を忘れずに行いましょう。手続きが必要なのかどうか、判断ができない等の場合は、ぜひ社会保険労務士へご相談ください。顧問契約が不要なスポット相談やスポット手続きが便利です。
日本で働く外国人労働者は在留資格が必要となりますが、在留資格別の状況では内訳を見てみると、「身分に基づく在留資格(永住者や日本人の配偶者等)」が全体の30%程度、次いで「専門的・技術的分野の在留資格」が全体の29%程度とほぼ同数です。
「技能実習」は20%と3番目ですが、前年からの伸び率では「専門的・技術的分野の在留資格」が最も大きく全体の24%強となり、次いで「技能実習」が20%強となっており、技能実習の方が増加傾向であることが分かります。
では、どんな事業所が外国人を雇用しているのでしょうか。都道府県別では東京、大阪、愛知の順に外国人を雇用する事業所は多くあります。次に事業所規模でみると、30人未満の規模の事業所が最も多く、全体の6割を超えています。外国人を雇用する事業所数の産業別の割合では、「卸売り・小売業」「製造業」「宿泊業・飲食サービス業」の順となっています。
小さな規模の事業所では人手不足が深刻なところも多く、この調査結果からも積極的に外国人雇用を始めていると言えます。
日本で働く外国人の方のなかでも、技能実習の在留資格で活動をしている方は多くいらっしゃいます。では、技能実習制度はいったいどんな制度なのでしょう。名前からすると「研修」「勉強」というイメージがありますが、発展途上地域等の経済発展を担う人づくりの国際貢献のために1993年に設けられた制度です。日本で学んだことを母国の発展に活かすという制度趣旨があり、本来の目的はあくまで「技術移転」ですが、学校のようなものではなく、受け入れ先の企業と技能実習生は雇用契約を締結し、その企業で実際に仕事をします。技能実習生には当然に労働基準法や最低賃金法などが適用されます。
技能実習制度は、はじめ「技能実習1号」という在留資格により日本で活動を開始し、試験や資格の更新等を経てその在留資格の種類を変更していきながら、最長で5年間、技能実習生として活動することが出来ます。
また、技能実習が可能な職種や作業については、90職種165作業あり、農業や漁業、食品製造関係や機械・金属加工、宿泊、ビルクリーニング、介護、建築など多岐にわたります。
技能実習制度はその制度目的から一般の人材紹介などとは仕組みが異なります。
技能実習生の受入れには企業単独型と団体監理型と大まかに2つあります。
企業単独型は、日本の企業が関連会社や取引先の職員その他企業が単独で現地の人材を日本の自社等で受け入れて実習を実施するものです。
団体監理型は、監理団体が受入れ、その団体の会員企業(技能実習生を受け入れる日本の企業)などで実習を実施します。技能実習生の多くはこの団体監理型です。
技能実習制度の制度趣旨を理解せず、劣悪な労働環境で働かせることなどが過去にはあったことから、度重なる制度の見直し等が行われ、現在監理団体は許可制になっています。また、実習実施者(受け入れ先企業)についても届出制で、実習計画は個々に認定制となっています。
現在この技能実習制度については政府で検討が進められており、現行の外国人技能実習制度は廃止となる予定です。新たな制度としては「育成就労制度」が創設されることが2024年2月の政府方針に示されています。内容については後述致します。
外国人を雇用する手段の1つとして、特定技能制度があります。
特定技能は技能実習制度と名前が似ているので、大変混同しやすいのですが、これらは別の制度であり、制度趣旨は国内における人材の確保が困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有する即戦力となる外国人を受け入れていくため、2019年に新設された新しい在留資格が「特定技能」となります。
特定技能として受け入れ可能な産業分野は介護、ビルクリーニング、建設、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業となります。
技能実習で認められている職種や作業に比較すればかなり限定されている点が特徴であり、在留資格の「特定技能」を取得するためには特定技能試験を受けて合格する必要があります。
基本給の構成や手当の種類、支給される人の要件、賞与や退職金など、金銭に関する処遇の決め方を制度にしたものです。人事評価制度と等級制度とも密接に紐づいていることが多く、業績や勤続年数や貢献度をどのように反映させていくのかを決める、従業員にとっても働くモチベーションに直結する制度となります。
技能実習制度は1993年に創設され、これまで様々な法改正を経て、また特定技能が加わるなど、日本における外国人受け入れの制度は変化してきました。現行の技能実習制度は移行措置を経て廃止となり、今後は会社を変わる等の転籍の制限を緩和することや監理団体の適正化などの整備がなされ、2027年以降に新たな制度として「育成就労制度」が創設される予定です。技能実習制度では国際貢献および技術移転が制度趣旨でしたが、新たな「育成就労制度」は。日本が魅力ある働き先として選ばれる国になるという観点に立って、地方や中小零細企業における人材確保にも留意しつつ方針検討を進めるとしています。
技能実習制度では可能だった職種や作業が大幅に減少する予定であり、現在の特定技能で認められている職種につなげていけるような人材育成および人材確保、外国人の人権保護や労働者としての権利性向上について考えられることとなる予定です。
例えば飲食店でのサービスは、猫型配膳ロボットなどの導入や、テーブル上でのタッチパネル操作で注文を行うことや、テーブル上にあるQRコードを読み取りお客様のスマートフォンから注文をするようなことが格段に増えました。人手不足からの対応であるとの声も多くあり、注文の聞き取りミスやキャッシュレスによるレジ締めの効率化など利点もたくさんあります。
一方で、サービス業であればやはり「温かいおもてなしがしたい」という事業主の方も多くいらっしゃるようです。効率化できることもたくさんありますが、人でなければできないこともたくさんあります。その企業やお店のそれぞれの「らしさ」を何で表現するのかは、今後の事業戦略では欠かせない点だとも言えます。
日本において労働人口は減るばかりです。たとえ賃金を高く設定して募集をしても他社も同じようなことをします。欲しい人材は「今まで通り」でいいでしょうか。新しい時代に対応すること、今までと違った多様な人材の受入れができることがこれからの企業にとって必要なことではないでしょうか。外国人の雇用について、ぜひ専門家である社会保険労務士へご相談ください。まずは顧問契約を結ばずにスポットの相談を活用してみませんか?いつでもご相談をおまちしております。
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