会社・法人の住所変更(本店移転)は、個人の引っ越しとは異なり、法務局への登記変更をはじめ、年金事務所・税務署・労働基準監督署・ハローワークへの届出など、社会保険・労働保険の手続きを含めた複雑な対応が必要です。
「どの順番で進めればいいのか?」「手続きに漏れがあって過料を受けないか?」と不安を感じていませんか?
実際、一つの届出漏れや期限超過が、100万円以下の過料や、金融機関・取引先との予期せぬトラブルにつながることもあります。
本記事では、会社の住所変更に必要な登記変更、社会保険・労働保険を含むすべての手続きを、提出先・必要書類・期限ごとに整理し、やるべき順番でチェックリスト形式にまとめて解説します。
この記事を最後までお読みいただければ、自社の状況に合わせて何をすべきかを正確に理解し、自信を持って手続きを進められるようになります。

生島社労士事務所代表
生島 亮
いくしま りょう
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法人の住所変更(本店移転)で必要となる手続きは、①法務局への「登記変更(本店移転登記)」申請と、②税務署・年金事務所・労働基準監督署・ハローワークへの「税務・社会保険・労働保険」に関する届出の2つに大きく分けられます。
法人の住所変更に伴う各手続きは提出先や期限がそれぞれ異なり、本店移転の登記が完了しないと進められない届出もあるため、手続きの全体像を把握し、計画的に進めることが重要です。
ここでは、会社の住所変更を行う担当者の方が「いつまでに、どこへ、何をすべきか」を一目で確認できるよう、必要な手続きと書類を網羅した一覧チェックリストを作成しました。
まずはこのチェックリストで全体像を掴み、手続きの抜け漏れ防止にお役立てください。
【本店移転手続きマスターチェックリスト】
提出先 | 主な必要書類(届出) | 提出期限の目安 |
法務局 | ・本店移転登記申請書 ・株主総会議事録など | 移転日から2週間以内 |
税務署 | ・異動届出書 ・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 | 移転後、速やかに |
都道府県税事務所 ・市区町村 | ・法人の異動届出書 ※自治体により名称や様式が異なる | 移転後、速やかに (原則1ヶ月以内など自治体による) |
年金事務所 | ・健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届 | 移転日から5日以内 |
労働基準監督署 | ・労働保険名称・所在地等変更届 | 移転日の翌日から10日以内 |
ハローワーク | ・雇用保険事業主事業所各種変更届 ※労働基準監督署の届出控の添付が必要 | 移転日の翌日から10日以内 |
金融機関 | ・所定の変更届 ・登記事項証明書 ・本人確認書類 ※金融機関によって異なる | 速やかに |
郵便局 | ・転居届 | 移転の前後 |
法人の住所変更手続きを専門家に依頼する場合、主に「司法書士」と「社会保険労務士(社労士)」が関わります。この二つの専門家は、法律で定められた業務範囲が明確に異なり、住所変更手続きにおける役割も全く異なります。
結論から言うと、法務局への本店移転登記の申請代行は司法書士の独占業務であり、社会保険・労働保険の手続き代行は社労士の独占業務です。
手続きのどの部分を任せたいかによって、依頼すべき専門家が変わるため、それぞれの役割を正確に理解しておくことが重要です。
項目 | 司法書士 | 社会保険労務士(社労士) |
専門分野 | 登記の専門家(法務局関連) | 社会保険・労働保険の専門家 |
対応する主な手続き | ・本店移転登記の申請 ・登記に必要な株主総会議事録などの書類作成 | ・健康保険、厚生年金保険の住所変更届 ・労働保険の名称・所在地等変更届 ・雇用保険の事業主事業所各種変更届 |
主な提出先 | 法務局 | 年金事務所、労働基準監督署、ハローワーク |
依頼がおすすめなケース | ・登記手続きをまるごと任せたい ・議事録の作成から代行してほしい | ・従業員がいる企業で、社会保険の届出が必要 ・人事・労務全般の相談をしたい |
法人の住所変更は、事務所の引っ越し作業を始める前に、法的な意思決定と書面の準備を完了させておく必要があります。
この「移転前準備」のフェーズを疎かにすると、後の登記申請が受理される恐れもあるため注意が必要です。
ここでは、移転日を迎える前に必ず完了させるべき3つのステップを解説します。
①株主総会で本店移転の議事録を作成する
会社の意思決定機関において、本店を移転することを正式に決議しなければなりません。取締役会を設置している会社の場合は取締役会で、設置していない会社では取締役の過半数の一致または株主総会で決議します。
この決議内容は、後の法務局への登記申請時に提出が義務付けられている「議事録」として、法的に有効な形式で記録する必要があります。
議事録には、移転先の具体的な新住所と、実際に本店機能が移転する日を明確に記載する必要があり、この議事録が後のすべての手続きの根拠となる極めて重要な書類です。
②定款を確認し、変更の必要があるかを見極める
自社の「定款(ていかん)」を確認し、本店所在地の記載方法をチェックします。
定款とは、会社の目的、商号、本店所在地といった基本的なルールを定めた、会社の憲法ともいえる重要な書類です。この定款の内容によって、住所変更の手続きが大きく変わるため、必ず確認が必要です。
定款の本店所在地の記載が「当会社は、本店を東京都渋谷区に置く。」のように最小行政区画(市区町村)までで定められている場合です。
このケースでは、同じ渋谷区内で移転するのであれば定款を変更する必要はありません。
定款の記載が「当会社は、本店を東京都千代田区丸の内一丁目1番1号に置く。」のように、番地まで具体的に記載されている場合。たとえ隣のビルに移転するだけであっても、定款の変更手続きが必要になります。
定款で定められた最小行政区画を越えて移転する場合(例:東京都千代田区から渋谷区へ移転する場合など)。
定款変更が必要な場合は、株主総会の特別決議(議決権の過半数を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上の賛成)が必要となり、その議事録も登記申請の際の添付書類となります。
③移転先に同一・類似商号がないかを事前に調査する
移転先の住所に、自社と同一またはよく似た商号(会社名)の会社が既に登記されていないかを確認することは、将来的なトラブルを避けるための重要なリスク管理です。もし同一の住所に同一の商号の会社が存在する場合、登記ができない可能性があります。
特に、多数の企業が入居する大規模なオフィスビルへ移転する場合は注意が必要です。この調査は、法務局の「登記情報提供サービス」や「登記・供託オンライン申請システム」を利用して事前に行うことができます。この一手間を惜しまないことが、スムーズな登記手続きの実現につながります。
事務所移転後にまず着手すべき、最も重要な手続きが、法務局への本店移転登記の申請です。この登記手続きは、会社法によって本店を実際に移転した日から2週間以内に申請することが義務付けられています 。
この登記が完了しない限り、他の行政手続きで必要となる新しい「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」を取得できず、すべての手続きが滞ってしまいます 。
管轄内移転と管轄外移転の違い(費用・書類)
本店移転登記の手続きは、移転先が現在の法務局の管轄内か管轄外かによって、手続きの複雑さと費用が大きく異なります 。管轄外への移転は、特に手間と費用が増加するため注意が必要です 。
本店移転登記は、「同一管轄内」か「管轄外」かで手続き・費用・必要書類が大きく異なります。
以下の表で違いを確認し、あらかじめ該当ケースを把握しておきましょう。
項目 | 管轄内移転 (例: 渋谷区 → 渋谷区) | 管轄外移転 (例: 千代田区 → 渋谷区) |
登録免許税 | 30,000円 | 60,000円 (旧本店・新本店分 各30,000円) |
提出書類 | 申請書1セット | 申請書2セット (旧本店・新本店分) |
印鑑カード | 継続して使用可能 | 新しい法務局で再発行が必要 |
申請先 | 新しい本店所在地を管轄する法務局のみ | 旧本店と新本店の両方を管轄する法務局 |
本店移転登記の必要書類一覧
本店移転登記の申請に必要な書類は、会社の形態(株式会社、合同会社など)や定款変更の有無によって異なります 。
一般的に、株式会社の本店移転登記では以下の書類が必要となります。
- 本店移転登記申請書
- 株主総会議事録(定款変更がある場合など)
- 株主リスト(株主総会議事録を添付する場合)
- 取締役会議事録または取締役決定書
- 委任状(司法書士などの代理人に依頼する場合)
本店移転登記を怠った場合の罰則リスク
正当な理由なく、移転日から2週間以内に本店移転登記の申請を怠ることを「登記懈怠(とうきけたい)」と呼びます 。
登記懈怠の状態になると、会社の代表者個人に対して100万円以下の過料という金銭的な罰則が科される可能性があります 。
過料とは、行政上の軽い罰金のようなものです。この罰則は会社の信用問題にも直結するため、登記申請の期限は必ず遵守しなければなりません 。
登記申請が遅れることで、会社の信頼低下や取引先からの信用不安につながるケースもあるため、移転日が決まり次第、速やかに準備を始めましょう。
法務局への登記申請と並行して、社会保険および労働保険に関する住所変更手続きを進める必要があります。
特に年金事務所への届出は移転後5日以内と期限が非常に短いため、最優先で対応しなければなりません。
社会保険と労働保険に関する手続きは、提出期限が短い上に、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークと複数の窓口で対応が必要です。
そのため、自社での対応が難しい場合は、専門家である社会保険労務士(社労士)に申請代行を依頼することも有効な選択肢となります。
年金事務所への届出(健康保険・厚生年金)
健康保険・厚生年金保険に加入している事業所は、本店の住所変更があった場合、事実発生から5日以内に、移転後の所在地を管轄する年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を提出する必要があります。
この届出には、移転先住所が記載された新しい登記簿謄本(履歴事項全部証明書)のコピーを添付するのが一般的です。管轄外へ移転した場合、都道府県によって健康保険料率が変わる可能性があるため、注意しましょう。
労働基準監督署・ハローワークへの届出(労働保険・雇用保険)
労働保険(労災保険)と雇用保険の手続きは、セットで進める必要があります。期限はどちらも移転日の翌日から10日以内です。
この手続きには「労働基準監督署 → ハローワーク」という正しい順番がありますので、間違えないようにしてください。
移転後の所在地を管轄する労働基準監督署に「労働保険名称・所在地等変更届」を提出します。
移転後の所在地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)に「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。
この際、添付書類として、Step1で労働基準監督署に提出した届出書の「事業主控(受付印が押されたもの)」が必要となります。この依存関係を知らないと二度手間になってしまうため、必ずこの順番で手続きを行ってください。
従業員が引っ越しした場合は、社会保険の住所変更届が必要になります。
社会保険・雇用保険の住所変更手続きは必要?添付書類や提出先、不要なケースを解説
法務局での登記手続きが完了したら、速やかに税金に関する住所変更の届出を行います。この手続きは、国税と地方税で提出先が異なるため、それぞれ分けて対応する必要があります。
税務署への届出(国税)
法人税や消費税といった国税に関する手続きは、税務署で行います。法人の本店所在地が変わった場合、
移転前の所在地を管轄する税務署へ「異動届出書」を提出しなければなりません 。
従業員へ給与を支払っている法人の場合は、あわせて「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出も必要です 。この届出書は移転から1ヶ月以内の提出が求められますが、「異動届出書」と同時に提出するのが効率的です 。
主な提出書類 | ・異動届出書 ・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(従業員を雇用している場合) |
添付書類 | ・新しい登記簿謄本(履歴事項全部証明書)のコピー |
提出期限 | 移転後、速やかに |
都道府県・市区町村への届出(地方税)
法人事業税や法人住民税といった地方税についても、住所変更の届出が必要です。この手続きは、移転後の所在地を管轄する都道府県税事務所および市区町村役場で行います。
【注意】都道府県や市区町村をまたいで移転する場合 都道府県や市区町村をまたいで本店を移転する場合は、移転前と移転後の両方の自治体に届出が必要になるのが一般的です 。提出漏れがないよう、十分注意してください。 |
提出する書類の名称や様式は「法人異動届出書」などが一般的ですが、各自治体によって異なるため、必ず移転先と移転元の両方の自治体のウェブサイトなどで確認が必要です 。
主な提出書類 | ・法人の異動届出書(自治体所定の様式) |
添付書類 | ・新しい登記簿謄本(履歴事項全部証明書)のコピー・定款のコピーなど(自治体により異なる) |
提出期限 | 移転後、速やかに(自治体によっては1ヶ月以内などの定めがあります) |
法務局や税務署などへの行政手続きと並行して、事業を円滑に継続させるための実務的な対応も欠かせません。
金融機関や取引先への連絡、社内への周知といった対応の遅れは、入金の遅延や重要書類の不達など、直接的なビジネスへの影響を及ぼす可能性があるため、計画的に進めましょう。
金融機関・郵便局への届出
会社の資金管理や郵便物の受け取りに不可欠な、金融機関と郵便局への届出は、移転後速やかに行う必要があります。
法人口座を開設している全ての金融機関で、住所変更の手続きが必要です 。この手続きを怠ると、重要書類が届かないだけでなく、融資審査などに影響が出る問題が生じる可能性があります 。
手続きには、一般的に以下の書類が必要ですが、金融機関ごとに異なるため、必ず事前にウェブサイトなどで確認してください 。
- 新しい登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 会社の届出印
- 通帳・キャッシュカード
- 窓口へ行く担当者の本人確認書類
- 法人名義のクレジットカードやETCカードについても、同様に住所変更手続きが必要です 。
旧住所宛の郵便物が届かなくなる事態を防ぐため、郵便局の転送サービスは非常に有効なセーフティネットです 。
郵便局の窓口やオンラインで「転居届」を提出すれば、1年間、旧住所宛の郵便物を新住所へ無料で転送してもらえます 。重要な書類の受け取り漏れを防ぐためにも、必ず行っておくべき手続きです。
これまで解説した手続きは、全ての法人(株式会社・合同会社)に必要な基本的なものです。
しかし、会社の事業内容や状況によっては、これらに加えて特別な届出が必要になったり、一部の手続きが不要になったりするケースがあります。自社が該当しないか、必ず確認してください。
許認可事業の住所変更で必要な追加届出
建設業、不動産業、飲食業、古物商、人材派遣業など、特定の許認可を受けて事業を行っている法人は、法務局や税務署などへの届出とは別に、許認可を受けている監督官庁へも住所変更の届出が必要です。
この手続きを怠ると、事業停止命令や、最悪の場合は許認可の取り消しといった重大な事態に発展する可能性があります。
住所変更を行う際は、自社が取得している許認可の種類をすべて洗い出し、それぞれの監督官庁が定める届出の要否、期限、必要書類を必ず事前に確認しなければなりません。
【主な許認可事業と届出先の例】
業種 | 主な届出先 |
建設業 | 都道府県または地方整備局 |
不動産業 | 都道府県または地方整備局 |
飲食店営業 | 保健所 |
古物商 | 警察署 |
社会保険未加入(または任意適用)企業の住所変更手続き要否
年金事務所や労働基準監督署、ハローワークへの住所変更手続きが必要かどうかは、その会社が社会保険・労働保険に加入しているかどうかによって決まります。
◯社会保険・労働保険に加入している場合
本記事で解説した、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークへのすべての届出が必須です。
◯社会保険・労働保険に加入していない場合
代表者1名のみで従業員がおらず、社会保険・労働保険に加入していない法人の場合、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークへの住所変更手続きは不要です。
法人の住所変更手続きに関して、担当者の方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
登記期限を過ぎてしまったら罰則はある?
罰則が科される可能性があります。
会社法では、本店の移転日から2週間以内に登記申請を行うことが義務付けられています。正当な理由なくこの期限を過ぎてしまうと「登記懈怠(とうきけたい)」となり、代表者個人に対して100万円以下の過料(かりょう)という金銭的な罰則が科される場合があります。
期限を過ぎてしまっても、登記申請自体は可能です。気づいた時点で、一日でも早く申請手続きを行ってください。
代表取締役の住所も同時に変わる場合は?
本店移転登記と代表取締役の住所変更登記は、1枚の申請書で同時に申請することが可能です。
会社の移転とあわせて代表者個人の引っ越しも行うケースは少なくありません。
それぞれ別々に申請すると手間も登録免許税も余分にかかってしまいますが、同時に申請することで、手続きを一度で済ませることができ、登録免許税も節約できます。
申請書の「登記の事由」の欄に「本店移転及び代表取締役の住所変更」と記載して申請します。
バーチャルオフィスへの移転でも手続きは同じ?
物理的なオフィスへの移転と全く同じ手続きが必要です。 バーチャルオフィスであっても、法的にはその住所が会社の「本店所在地」となるため、本店移転登記をはじめとする一連の行政手続きが義務付けられます。
ただし、建設業や不動産業など、事業用のスペース確保が許認可の要件となっている業種では、バーチャルオフィスでの登記が認められない場合があります。 契約前に、自社の事業がバーチャルオフィスで問題ないか、必ず確認しましょう。
法人の住所変更にともなう手続きは自分(代表)でもできる?
代表者や企業の担当者自身で、すべての手続きを行うことは可能です。
ただし、これまで見てきたように、法人の住所変更には、社内での決議から法務局への登記申請、税務署、年金事務所など複数の行政機関への届出が必要であり、それぞれに期限やルールが定められています。
そのため、実務上は、会社の状況に応じて専門家へ依頼するケースも多くあります。その場合、手続きの内容によって依頼する専門家が異なります。
務局への登記申請 | 司法書士 |
社会保険・労働保険の手続き | 社会保険労務士(社労士) |
すべての手続きを自社で行うか、専門知識が必要な部分のみを専門家に任せるか、自社のリソースや時間などを考慮して検討するのが良いでしょう。
個人事業主の住所変更手続きは?
個人事業主の場合も、事業に関する住所変更の手続きは必要です。ただし、法人とは手続きの内容が大きく異なり、最も大きな違いは法務局への登記申請が不要である点です。
主に、以下の手続きが必要となります。
- 税務署への届出
- 都道府県・市区町村への届出
- 社会保険・労働保険の手続き(従業員がいる場合)
- 事業用の銀行口座や取引先への住所変更の連絡
法人・会社の住所変更は、単なるオフィスの引っ越しではありません。法務局への登記変更を皮切りに、税務署・年金事務所・労働基準監督署・ハローワークなど、さまざまな行政機関への届出が必要となる、複雑な法的・実務的プロジェクトです。
これまで解説してきたとおり、この手続きを成功させる鍵は「計画的な準備」と「正しい順序での対応」にあります。
移転前の準備 | 株主総会や取締役会での正式な決議、および定款の確認がすべての出発点です。 |
本店移転登記 | 移転後、最優先で着手すべき手続き。2週間以内という期限を絶対に守りましょう。 |
各種行政手続き | 登記完了後、年金事務所(5日以内)、労基署・ハローワーク(10日以内)など、期限付きの手続きが次々と発生します。 |
こうした住所変更の各種手続きを、通常業務と並行してすべて期限内にこなすのは、特に小規模事業主や起業直後の法人にとって大きな負担です。
そのため、登記手続きは司法書士へ、社会保険・労働保険関連は社労士へと、専門家に代行を依頼することは合理的な選択肢となります。
特に、社会保険や雇用保険の届出は期限が短く専門性も高いため、社会保険労務士(社労士)の活用もぜひ検討しましょう。

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