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月額変更届とは?
月額変更届とは、健康保険と厚生年金保険に関する書類のことで、「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届」の略称です。
被保険者および70歳以上被用者の受ける報酬(標準報酬月額)が、昇給や降給などにより大幅に変動があった際に行うものです。標準報酬月額とは、被保険者のひと月の給与を金額ごとに1〜32等級に区分けしたものです(厚生年金保険の場合)。
社会保険料は、標準報酬月額の等級ごとに決められており、標準報酬月額の等級が2等級以上変動し、そのほかの条件を満たす場合は随時改定を行います。
月額変更届は、この随時改定の手続きを行う際に必要な書類です。
標準報酬月額の随時改定とは、一年に一度行われる標準報酬月額の定時決定(7月上旬申請)を待たずに、保険料の算出の基準となる標準報酬月額の変更の届出を行うことを指します。
定時決定とは、毎年4〜6月までの給与額をもとに行う、標準報酬月額の定期的な見直しのことです。
一方、随時改定は、主に昇給や雇用契約の変更などの要因で、毎月支給される給与に変更があった際に行います。
随時改定の手続きを行うことで、報酬の変動があった月から数えて4ヶ月目から新しい標準報酬月額が適用されます。
随時改定に該当する3つの条件
基本給などの固定的賃金が変動している。
固定的賃金とは、月給や時給および家族手当を含めた各種手当など、支給額や支給率が固定で決まっているものを指します。
残業代やインセンティブなど、個人の稼働実績に応じて毎月変動するような賃金は非固定的賃金のため対象外です。
固定的賃金の変動例としてあげられるものは以下のとおりです。
固定的賃金の変動例
- 昇給または降給による基本給の変更
- 日給や時給など、給与の基礎となる単価の変更
- 歩合給や請負給などの支給単価または支給率の変更
- 家族手当や役職手当、通勤手当など支給額が固定されている手当の追加や変更、廃止
変動月以降も引き続き3ヶ月とも支払基礎日数が17日以上ある
変動月とは、給与変動後の給与が支払われた月を指します。
たとえば、月末締め翌25日払いの会社で4月に昇給した場合は、4月勤務分の支払いが5月25日となるため、昇給分の給与が支払われる5月が変動月となります。
昇給後、変動月の5月からの3ヶ月間(5〜7月)の支払基礎日数が17日以上であるかを確認します。支払基礎日数とは、給与の支払い対象となる日数のことです。
特定適用事業所に勤務する短時間労働者(週の所定労働時間が20時間以上となるパート・アルバイトなど)の場合は、支払基礎日数が11日以上であれば随時改定の要件を満たします。
変動により標準報酬月額に2等級以上の差が生じたとき
変動前の標準報酬月額と、変動月から3ヶ月間の給与総額の平均による標準報酬月額の等級との間に2等級以上の差が生じた場合は、随時改定の対象となります。
等級は全国健康保険協会が公開している保険料額表から確認できます。
標準報酬月額等級表の上限や下限に該当する人は、2等級以上の増減でない場合も随時改定の対象となります。
月額変更届を提出後、新しい保険料率で給与計算するのはいつから?
随時改定の対象となり新しい保険料率が適用されるのは、報酬の変動があった月から数えて4ヶ月目からです。
社会保険料は納付対象月の翌月に納付するため、標準報酬月額改定月の翌月(報酬の変動月から5ヶ月目)に支払われた給与から改定後の保険料を納付します。
給与からの社会保険料控除を「当月」としている事業所の場合は、報酬の変動月から4ヶ月目に支払われる給与から、改定後の保険料となります。
社会保険料が変更になる場合は、事業主は対象の被保険者へ標準報酬月額変更により社会保険料が変更になる旨の通知を行います。
随時改定によって変更となった標準報酬月額は、改定月が1〜6月の場合はその年の8月まで、改定月が7月〜12月の場合は翌年8月まで適用されます。
ご自身で手続きを行うこともできますが、対応内容は書類の作成から申請まで幅広く、申請経験のある顧問社労士やスポット対応可能な社労士に相談をお勧めします。
月額変更届のスポットでのご相談
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よくあるご質問
「月額変更届」について良くあるご質問にお答えします。
- 休職した場合で、給与が変わった時も月額変更届を出す必要がありますか?
- 休職による休職給を受けた場合は、固定的賃金の変動がある場合には該当しないため、随時改定の対象とはなりません。
- 1時帰休のため、定額の報酬が支払われてる時、月額変更届をだしますか?
- 一時帰休(レイオフ)のため、継続して3カ月を超えて通常の報酬よりも低額の休業手当等が支払われた場合は、固定的賃金の変動とみなし、随時改定の対象となります。
また、一時帰休が解消され、継続して3カ月を超えて通常の報酬が支払われるようになった場合も随時改定の対象となります。
- どういった時に、随時改定の対象とはならないのでしょうか?
- 固定的賃金は上がったが、残業手当等の非固定的賃金が減ったため、変動後の引き続いた3カ月分の報酬の平均額による標準報酬月額が従前より下がり、2等級以上の差が生じた場合。及び、固定的賃金は下がったが、非固定的賃金が増加したため、変動後の引き続いた3カ月分の報酬の平均額による標準報酬月額が従前より上がり、2等級以上の差が生じた場合となります。
- 等級が一番下に等級の場合でも、2等級以上の変更があった場合に随時改定の対象になりますか?
- 随時改定は、固定的賃金の変動月から3カ月間に支給された報酬の平均月額に該当する標準報酬月額と従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じることが条件ですが、標準報酬月額等級表の上限または下限にわたる等級変更の場合は、2等級以上の変更がなくても随時改定の対象となります。
- 健康保険組合に加入している場合はどうすればよいですか?
- 健康保険組合に加入している場合、届出の詳細については加入の健康保険組合にご確認ください。
- 月額変更届に関する詳細な記事はありますか?
- こちらをご参照くださいませ
- 「報酬」・「賞与」にはどのようなものが含まれますか?
- 「報酬」及び「賞与」は、「労働者が、労働の対償として受けるすべてのもの」と規定されており、労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計に充てられ
るすべてのものを包含するものです。
- 通常の給与で標準報酬月額の決定又は改定が行われている者について、固定的賃金の変動があった月の翌月に一時帰休による休業手当等が支払われた場合、随時改定の対象となりますか?
- 随時改定は、固定的賃金の変動が報酬に反映された月を起算として、それ以後継続した3か月間(いずれの月も支払基礎日数が17日以上)に受けた報酬を計算の基礎とすることから、随時改定の算定対象月内に休業手当等を受けることとなった場合であっても、随時改定の対象とします。
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