人を雇用した際に必要となる手続きを知る「社会保険編」

個人事業主の方でも法人の方でも、人を雇用した時に「保険加入の手続きが必要」と知ってはいても、実際には何をするのかよくわからない、と思う方も多いのではないでしょうか。
広い意味での社会保険の定義は様々ありますが、「人を雇うときに加入しなければいけない保険が何か分からない」と悩まれている事業主の視点から、今回は社会保険についてお伝えしたいと思います。
1.1 社会保険の種類は大きく3つ
人を雇うとき、加入の必要を考える社会保険には「厚生年金/健康保険/介護保険」の3つがあります。ちなみに労働保険は「労災保険/雇用保険」となりますが、今回は社会保険について、それぞれの保険や届出の仕組み等についてお伝えしていきたいと思います。
・厚生年金保険はどんな保険なのか?
厚生年金保険は、労働者が高齢となって働けなくなったり、何らかの病気やけがによって身体に障害が残ってしまったり、その家計において主たる収入を得ていた方を亡くしたことでその遺族が困窮してしまうといった事態に際し、保険給付を行う制度です。その方の加入期間と支払った金額などの加入要件により給付の内容が決まります。
また、厚生年金保険は社会保険適用事業所にお勤めの方を対象とした保険で、日本に住んでいる二十歳以上の方であれば基本的に強制加入となる国民年金に上乗せとなる保険です。
・健康保険はどんな保険なのか?
労働者やその家族が病気やけがをしたときや出産をした時、亡くなった時などに、必要な医療給付や手当金の支給をすることで生活を安定させることを目的とした社会保険制度で、業務外の怪我や病気などの際に病院で治療等を例えば費用の3割負担などで受けられます。全国の都道府県にある協会けんぽや医師や税理士、企業が運営する組合健保組合などに加入して必要な医療等のサービスを受けることになります。
・介護保険はどんな保険なのか?
40歳以上の方で健康保険に加入されている方は加入が義務付けられています。40歳から64歳までが加入期間となり、保険料は健康保険と併せて徴収されます。一定の年齢から費用の1割〜3割の負担で介護サービス等の給付を受けられます。
・手続きの方法について
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1.2 どんな事業主(個人/法人問わず)が社会保険適用事業所になるのか?
例えば「うちは小さい個人事業だから社会保険には入らないから」とお考えの事業主の方もいますが、社会保険は加入を自分で決めるのではなく、以下に該当する事業所は全て加入する必要があります。
・全ての法人は加入が必要となります
株式会社/有限会社/合同会社などの法人の事業所は、全て社会保険の適用事業所となりますので、社会保険に加入する必要があります。「労働者がいないから加入していない」という誤解もありますが、いわゆる「一人社長」と言われる労働者を一人も雇っていない法人でも、加入する必要があります。
・個人の事業所でも、業種と労働者数で社会保険の適用事業所になります
また、個人の事業所についても、労働者が常時5人以上いる場合は、農林漁業、サービス業などの場合を除いて強制加入の対象です。
サービス業の具体的な業種としては、飲食店、接客業、理・美容業、旅館業等 サービス業、法律・会計事務所等の自由業等は適用対象外となるので、加入は任意となります。
※令和4年10月より新たに以下の士業が適用対象となります。
【適用の対象となる士業】
弁護士、沖縄弁護士、外国法事務弁護士、公認会計士、公証人、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、海事代理士、税理士、社会保険労務士、弁理士
社会保険適用事業所以外の事業所でも、任意加入(加入したい場合は必要な書類を添付し届出をする)することが可能です。
・手続きの方法について
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1.3 誤解が多い?社会保険に加入しなければならない労働者とは?
・社会保険加入対象者
・常時雇用されている労働者
・週の所定労働時間または月の所定労働時間が常時使用されている労働者の3/4以上の者となります。
よくある誤解として、「正社員だけ加入させれば良い」とお考えの事業主の方もいらっしゃいますが、雇用区分ではなく、その方の労働時間により加入の必要が生じます。
例えば、正社員が週40時間勤務の事業所で、パート社員の方が週30時間勤務でしたらこのパートの方は社会保険の加入が必要になります。
また、雇用期間についても「有期契約は必要ない」とお考えの事業主の方もいらっしゃいますが、これもよくある誤解で、「2ヶ月以内の期間を定めて雇用される場合」は加入不要ですが、その後契約を延長した場合はその日から加入が必要になります。
また2ヶ月間は試用期間でその後は正社員登用するなど、元々長期雇用が見込まれている場合は、当初から加入する必要があります。
近年の法改正により、また今後施行が決まっているものでも、社会保険加入対象者の条件は引き下がってきておりますので、パートやアルバイト、短時間勤務の方でも事業所の労働者n数により対象となるケースがあるので注意が必要になります。
・社会保険料はどうやって決まるのか?
雇入の際の賃金をもとに「資格取得届」を日本年金機構に提出することで、その方の標準報酬月額が決定し月額の社会保険料が決まります。基本的には厚生年金保険料と健康保険料は労使折半ですが、こども・子育て拠出金は事業主負担になるので注意が必要です。
また、届け出る賃金については、基本給はもちろん、通勤手当などの各種手当も含んだ額となります。例えば通勤手当が6ヶ月ごとの支給となっている場合は、1ヶ月分に計算した額を加えます。
・年間を通じてどんな手続きが必要になるのか?
一般的なものとして、以下に挙げる手続きが必要となります。
その都度届出をするもの
・「資格取得届」人を雇い入れ後5日以内
・「賞与支払い届」賞与を支払った後5日以内
・「月額変更届」昇給や、産休育休などで一定期間賃金に変動があったとき
・「資格喪失届」人が退職した後5日以内
年1回届出をするもの
「算定基礎届」4/5/6月分に実際に支払われた賃金をもとに7月10日までに届出をするもの
中には年に1回しかない手続きもあり、その度に調べながら手続きをするのはとても大変ですが、届出もれや金額が違う場合などは遡及して訂正の届出などをすることになり、そうなれば保険料の追加納付などが生じることもあります。
また、労働者の方の社会保険料の控除もれ、控除しすぎなどがあれば、所得税にも関わってくる問題なので、単に給与計算の修正だけではなく、手間のかかる修正作業や予定していなかった費用の発生などにもなりかねませんので、社会保険の手続きには注意が必要です。
・手続きの方法について
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